第14話 友美の記憶
第14話目です。
病院に運ばれた友美。まだ事実を受け入れることができない学に待っていることとは…?
いつの間にか辺りはすっかり暗闇に包まれていた。あれから僕はベンチに座り、ずっと事故現場を眺めていた。
「学くん…」
突然、僕の後方から声がした。僕はゆっくりと振り返る。そこには友美のお母さんが立っていた。僕は深く頭を下げた。
「学くん、顔を上げて」
友美のお母さんはそう言ったが、僕は頭を上げることが出来なかった。何か嫌な予感がした。
「学くん、あのね…友美に会ってほしいの」
友美のお母さんの話だと友美は意識を取り戻したらしい。しかし…
「友美は…友美の記憶は…」
友美は記憶を失っているのだという。僕は倒れそうになった。
「だから…友美に会って」
「はい…」
僕はそう言って、静かに頷いた。そして友美のお母さんと共に病院へと向かった。
病院に着くと、
「学くん、行って来て」
友美のお母さんに背中をポンと押された。友美のお母さんは疲れきってる様子だった。娘が記憶を失っているかもしれないのだ…行きたくないと思うのは当然だろう。僕は静かに友美の待つ病室へと向かった。病室の前に立つと未だに現実なのか夢なのかわからなかった。どうか夢であってほしい、何度もそう願った。
「………」
ゆっくりドアノブに手をかける。僕は静かにドアを開けた。4人部屋の右奥。僕は緊張と不安で震える足を必死に動かし、友美のもとへと向かった。
「…友美」
自分でも聞こえるかどうかわからない声で僕は呟いた。友美は僕に気がついたのか、ゆっくりと身体を起こした。
「…どちら様ですか?」
友美の一言目。僕は耳を疑った。嘘だろ…友美は本当に記憶を失っている…そんなこと受け入れたくなかった。きっと友美は僕に心配をかけたくないから、こんな冗談を言っているんだ…僕はそう考えた。
「友美、僕だよ。学だよ」
僕は笑いながら言った。
「まな…ぶ?」
友美は不思議そうに僕を見ている。僕は息が詰まりそうになった。
「お…おい、友美。冗談はよせよ」
僕は友美の頭に手を乗せて言った。その時だった。
「ちょっと!いきなり何するんですか!?」
友美はそう怒鳴って僕の手を払った。僕はいきなりのことにあ然とするしかなかった。
「出て行ってください」
僕は病室から追い出されてしまった。友美は本当に記憶を失っている…。僕は現実を受け入れるしかなかった。
「だから俺は反対だったんだよ!」
僕の後方から怒鳴り声がした。僕は恐る恐る後ろを見た。そこには友美の両親がいた。怒鳴ったのは友美のお父さんだ。僕はただ黙って見ているしかなかった。そんな僕に気づいたのか、友美のお父さんは僕を睨みつけた。怒りに満ち溢れた眼差し…。
「友美…」
しばらくして友美のお父さんは膝から崩れ落ちた。僕は苦しかった。逃げ出したかった。
「学くん、今日は帰って。疲れたでしょ?」
友美のお母さんの言葉に僕は静かに頷いた。友美のことは心配だが、今の僕は何もできない。僕は友美の両親に深く礼をして、病院から出た。
家に帰ってきた僕はまるで魂が抜けたような状態だった。生きている気がしない…そう感じた。僕はただ窓を眺めていた。僕には窓の外の景色さえ、現実のものなのかわからなかった。涙が頬を伝う…友美が記憶を失ってしまったこと友美の両親、自分の両親に迷惑をかけたこと…全ての責任が自分にある気がした。
「何でこうなるんだよ…」
僕は何も考えずに窓を開けた。ここから飛び降りれば僕は楽になれるんだろうか…しかし、僕には飛び降りる勇気なんてなかった。僕は窓を静かに閉じて、冷静に考えた。僕が今できること…
「明日も友美のところに行こう」
僕は毎日、友美に会いに行くことにした。自分のため、そして友美の記憶を取り戻すため…僕は心の中でそう決意して眠りに就いた。
読んでくださってありがとうございます!
記憶を失った友美…決意をした学…2人の運命は?
学は友美の記憶を取り戻せるのか?
第15話目も頑張りますのでよろしくお願いします!




