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死に戻り聖女のループから始まるのんびり辺境スローライフ~二度目の人生は好きに生きます~  作者: 雪野みゆ


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24/27

24.弟子入りして初の出勤です

 いよいよラルフさんに弟子入りする日の朝、早くに目が覚めた私は期待で胸が高鳴った。


「……今日からラルフさんのお店で働くのね」


 働くといっても正式な薬師としてではなく、あくまでも弟子として修行をするのだ。


 だが、私にとっては初めて自分で選んだ仕事だった。


 前世では聖女としての力があったから、神に選ばれた。なるべくしてなったという、言わば使命感のようなものだ。


「少し薬草畑の様子を見ておこうかしら?」


 身支度を整え薬草畑の様子を見に行くと、ハンスが既に作業の準備をしていた。


「おはよう、ハンス」


「おはようございます、お嬢様。今朝は随分とお早いですね」


「今日から弟子入りをするから、楽しみで早くに目覚めてしまったの」


 もう少しベッドでゆっくりしていてもよかったが、わくわくして落ち着かなかったのだ。


「そうですか。良い師匠に出会えて良かったですね」


「ええ」


 私が修行に出ている間は、ハンスに薬草の世話をお願いすることにしたのだ。


 これまでも薬草やハーブ類の世話を一緒にしていたので、ハンスになら安心して任せることができる。


 しばらくハンスとともに薬草の世話をしていると、エルマがこちらにやってきた。


「ユリアン様、朝食の支度ができております」


「ありがとう、エルマ。今行くわ」


 朝食を済ませて準備をすると、転移魔法陣がある部屋に移動する。


「では行ってくるわね」


「行ってらっしゃいませ」


 ダリアとエルマに見送られて転移魔法陣の中に立つと、淡い光に包まれたので反射的にぎゅっと目を瞑る。


 しばらくしてから目を開けると、ラルフさんの書斎に転移していた。


「おや? お嬢様。早いですね」


 書斎の扉が開き、ラルフさんが顔を出す。


「おはようございます。ラルフさ……先生。今日からよろしくお願いいたします」


「先生?」


「今日から弟子ですから」


 ラルフさんは今日から私の先生だ。名前呼びは失礼かと思ってそう呼んでみた。


「う~ん。その呼び方は何やらむず痒いな」


「では……ラルフ様?」


「もっとむず痒い」


(どうお呼びしたらいいかしら? 弟子だから……あっ! そうだ)


「それでは師匠」


「まあ、それでいい」


「はい、師匠。私のことはユリアンと呼んでください。弟子ですから敬称はいりません。あと敬語も」


 今までラルフさんあらため師匠は私のことを「お嬢様」と呼んでいたが、師弟になるであれば普通に接してもらいたい。


「分かった。ユリアン」


「それで何をすればよろしいでしょうか? 掃除でも何でもやります!」


 意気込む私に師匠は苦笑する。


「やる気があるのはいいが、そう急くな」


 師匠は書斎の扉を開けると、店に続く扉を指差す。


「こちらの扉は店に続いている。まずは店の仕事を覚えてもらうが、その前にハーブティーを淹れてくれ」


 書斎の隣はちょっとした応接室のような造りになっている。師匠はここで商談をしたり、時には休憩したりするそうだ。


 どのハーブを使ってもいいと言われたので、私が朝よく飲むハーブティーを作った。


「いい香りだ。レモンバームとペパーミントとグリーンマテのブレンドか」


「香りだけで分かったのですか? さすがですね」


 他にもいろいろとレシピがあるが、このブレンドだと活力や集中力を高めてくれる効能があるのだ。


「ブレンドの調合加減が実にいい。今度レシピを教えてくれ」


「はい!」


「ハーブティーの淹れ方は文句なしだ。客に出す茶はユリアンに任せる」


「よろしいのですか?」


 いきなりお客様のお茶出しを任せてもらえて嬉しい。


「もちろんだ。さて茶を飲んだら店の中の説明をする」


「よろしくお願いします」


 弟子入り一日目は薬草の在庫管理の仕方、値段のつけ方、接客の仕方などいろいろと教わった。何もかもが新鮮で覚えるのが楽しい。


「ユリアンは人への接し方が上手いな。どこかで接客を学んだことがあるのか?」


「……いいえ」


 前世で聖女として多くの人間と関わってきたので、それなりに接することができる。とは言えない。

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