表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死に戻り聖女のループから始まるのんびり辺境スローライフ~二度目の人生は好きに生きます~  作者: 雪野みゆ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/21

19.カフェに連れてきてもらいました

 ラルフさんに弟子にならないかと誘われたが、その場で決めることはできず後日返事をすることにした。


 馬車に乗りながら、今日得た知識を自分の頭の中で反芻する。宿に入ったら早速自分の手帳に書き込むつもりだ。


「ユリアン嬢、宿に行く前に茶でも飲まないか?」


「お茶ですか?」


「ああ。この先に皇都で有名なカフェがある」


 皇帝陛下に言われて気づいたが、エルマが皇都のカフェに行ってみたいと話していたのを思い出す。


 そのカフェのケーキが絶品らしいのだ。


 実は私もエルマも甘い物に目がない。


 皇都に行ったら、そのカフェに行こうと話していたのをすっかり忘れていた。


「ご令嬢方に人気がある店らしいが、行ってみないか?」


「ぜひ!」


 エルマに同意を求めるように視線を向けると、嬉しそうに微笑む。


「ユリアン様は甘い物がお好きですからね」


「あら? エルマもでしょう?」


「はい」


 クスクスと二人で笑っていると、なぜか皇帝陛下も楽しそうに笑った。


(皇帝陛下も甘い物がお好きなのかしら?)


 皇帝陛下もそのカフェに行ってみたいけれど、殿方では入りにくいから誘ってくれたのかもしれない。


◇◇◇


 皇都で有名なカフェ『ラ・オーベリエ』は、貴族街から少し離れた高台にあった。


 白い壁に緑の蔦が絡まる落ち着いた雰囲気の建物だ。店の前には小さな庭があり、テラス席もある。


「可愛らしいお店ですね」


「気に入ったか?」


「はい」


 扉を開けると、焼き菓子や紅茶のいい香りがふわりと漂ってくる。


「いらっしゃいませ」


 店員は皇帝陛下を見ると驚いた顔をしたが、すぐに平静を装い、窓際の席に案内してくれた。


(たぶん皇帝陛下の顔をご存じなのね)


「何を頼む?」


「えっと……」


 メニューを開くと、ケーキやタルトのイラストが目に入った。どれも美味しそうで目移りしてしまう。


「種類が多くて迷ってしまいます」


「では、店員におすすめを尋ねるとよい」


 皇帝陛下が傍にいた店員を呼び寄せてくれたので、おすすめを尋ねることにする。


「こちらで一番人気のメニューは何ですか?」


「それでしたら、こちらの季節のフルーツタルトはいかがでしょうか?」


「季節のフルーツは何ですか?」


「マスカットです」


 マスカットの他にもいくつかフルーツが載っているという。


「ではそれをお願いします」


「紅茶の茶葉はどれになさいますか?」


 ケーキには紅茶がセットでついてくるというので、茶葉のメニューを見る。


「こ……ラインハルト様。おすすめの茶葉はありますか?」


「ヴェルーナ産の茶葉がおすすめだ」


「それではラインハルト様のおすすめでお願いします」


「承知した。ヴェルーナ産の茶葉で頼む。俺は紅茶のみで」


 店員は「畏まりました」と頭を下げると、オリバー様とエルマが座る席へ向かった。


 オリバー様とエルマも一緒にと誘ったのだが、なぜか二人とも遠慮して別の席へ行ってしまったのだ。


「ラインハルト様はケーキを頼まなくてよかったのですか?」


「ああ。俺は甘い物は苦手なのだ」


 殿方は甘い物が得意という方はあまりいない。


 ラインハルト様は甘い物が食べたくて、この店に誘ってくれたわけではなく、私に気を遣ってくれたのだろう。


 窓の外には皇都の街並みが広がっている。本当に美しい街だ。


「ユリアン嬢、皇都はどうだ?」


 最初に皇都へ入った時のことを思い出し、慎重に言葉を探す。


「あれは……俺もオリバーも悪かった。率直に言ってくれて構わない」


 私が申し訳なさそうにしているのを感じたのだろう。皇帝陛下はすまなそうな顔で苦笑する。


「いいえ。あれは私も悪かったのです。もう少しこの国のことを勉強するべきでした」


 前世での知識があったとはいえ、それは表面上のことだ。いずれこの国へ移住するつもりなのだから、もっとしっかり勉強をするべきだったと反省する。


「いや。俺の配慮が足りなかった」


「そんなことはございません」


「いや。……もうこの話はやめよう。押し問答になってしまいそうだ」


「……そうですね」


 二人で顔を見合わせると、同時に吹き出してしまった。


 穏やかな雰囲気になったので、私は思ったことを口に出してみる。


「ラルフさんの薬草店は素敵でした。珍しい薬草をたくさん見ることができましたし、いろいろと教えていただくことができました。皇都に連れてきていただき感謝しております」


「ラルフは随分と君を気に入っていたようだ」


 薬草についてラルフさんと語るのは楽しかった。


「ユリアン嬢はラルフに弟子入りするのか?」


「正直迷っております」


 最初は祖母の館で薬草を細々と作りながら、のんびり過ごすつもりでいた。だが、薬師になりたいという夢ができてしまった以上、もっと知識が必要だ。


「ライゼンシュタイン皇国では薬師になる道が二つある」


「え?」


「一つは薬師の試験を受けることだが、薬師に弟子入りして推薦してもらうという手もある」


 薬師に弟子入りすることで実務を学び、推薦してもらうことで薬師の資格を得ることができるそうだ。


「薬師の補助とはいえ、実務を学ぶことができるからな。実務に勝るものはない」


 成人するまでラルフさんの下で学び知識を得る。


 本格的に考えてみる必要がありそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ