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今日のお食事はフレンチレストランだとお兄様に聞いたのでレトロな感じの黒のワンピースにカーディガンにした。フレンチレストランに行くことじたいは嫌じゃない。なかなか予約の取れない三つ星レストランの美味しい食事は楽しみだ。だが、しかし…コレはただの家族で外食ではないのだ。良家の御家族(私と同い年くらいの子がいる)との会食。すなわち、私の婚約者候補者との顔合わせお見合いみたいなものなのだ。せっかくの美味しい食事なのに知らない奴と食べるせいで、ゆっくり味わえない。お見合い付きなら行きたくないのに…だいたい、お兄様のほうが年上なのだから先に決めればいいのに…なんで私なのよ!
お父様とお母様が帰ってきたのでお兄様と車に乗り込み出発した。着いたのはこの前、家族のみで食べに行った時に私が美味しいと行ったレストラン。私は家族だけがいいという意味を込めたのだが、どうやら伝わらなかったらしい。嫌がっている私の責めてもの機嫌取りなのだろう。
通されたのは個室。個室とはいえかなりの広さである。ボーイにイスを引いてもらい席に着く。相手方は3人。どう見ても甘やかされて育ったマザコンのボンボンにしかみえない。はぁ…こういう奴嫌い。とりあえず形式的な挨拶をしてあとはひたすら話に入らず食事を食べる。
会食の場合、食べ終わってもすぐには帰らずお話をする時間が取られる。
「小百合ちゃん、美味しかったね?」
チッ…初対面で気安く呼ぶなよ。
「えぇ、そうですわね。」
顔に笑顔を張り付かせて返す。名前なんだったけなぁ…忘れた
「あの…」
「ごめんなさい。少し化粧直ししてきますわ。」
こんなボンボンの話し相手とか無理。退散、退散。
化粧室から部屋へ戻る廊下。えっ…誰か後ろから付いてくる。誰?気づかないふりをしてそのまま歩く。背後の気配に集中する。
「おい」
握られた手を振り払い、そのまま肘でみぞおちを突く。そのまま前に進み距離をとる。顔見た方がいいよね、ストーカー捕まえる手がかりがあった方がいいだろう。振り返る…
えぇえぇーーー
「リュ、龍崎…なぜここに…?」
ハッ…しまった素がでた。急いで言直す。
「龍崎様、ごきげんよう。」
軽くスカートの端をつまみ、お辞儀をする。
ドンッ
顔を上げると龍崎と壁の間に挟まれている。これは、俗に言う壁ドンですか?
「いきなり殴るとかどうなってんの?」
かなり、御立腹のご様子。いや、その前にこの格好はまずすぎる。はたから見たら、逢いびきしているようにしかみえないだろう。一応、お見合い(本意ではないが)のようなもので来ている以上これは見られたらまずい、てか、こいつとそういうのだと思われたくない。
「龍崎様、この格好は誤解されます。どいてください。」
「あ゛あ゛?質問に答えろよ。」
離れろって言ってんだろうがっ!手を掴まれて壁に押し付けられているので、自由な足でひざ蹴りした。龍崎はしゃがみこむ。その隙に龍崎と距離をとる。
「ご、ごめんなさい…つい力加減できなくて…」
「…うッ…お、お前…」
相当痛いらしい。だからどけって言ったのよ。
「いきなり、腕を掴まれたのでストーカーかと思いまして…すみません、反射的に…」
「ストーカーだと、なんで俺がお前を。暴力女が…フン…覚悟しておけよ!」
「いきなり、後ろから近づいて手をとるとか、誤解しない方がおかしくてよ。お手を払ったことはあらまりますわ。でも、今後お気をつけになった方が良いと思いますわ。」
「ハァ…?手を払った?殴っただろ。」
「自己防衛です。」
「ふざけんな!」
「ふざけてなどいませんわ。お静かに、ここはレストランですので。私は家族を待たせていますのでこれで失礼しますわ。お手を払ったこと申し訳ありませんでした。では、ごきげんよう。」
「おい、待て。」
ヤ、ヤバイ…明日学校行くの怖いよ…絶対なんかされる…でもさ、自己防衛だよね?大丈夫だよね?覚悟を決めて明日菓子箱3つで許してもらえるかな…
うん、明日は菓子箱5個もって謝りに行こう。神様…いるなら明日なんとかして…




