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あんなに暑かったのに、最近は冷え込んできてすっかり秋。蝉もいつの間にかなきやんだ。


秋は好き。美味しい食べ物いっぱいだし、涼しくて過ごしやすいし。


秋といえば食欲の秋、読書の秋、運動の秋…ウンドウ…忘れてた、秋には運動会とマラソン大会があるよ。運動会は適当にやればいいけど、問題はマラソン大会。マラソン大会はしっかり順位がついちゃうのだ。それも小4までは男女混合。今まで学年トップクラス(初等部のテストはそこまで差がつかないので藤堂、龍崎、私が同列1位みたいなもの)をせっかくキープしてきたのにここで負けるわけには行かない。特に龍崎、絶対バカにするから。特訓しなくては!



✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎


ランニングマシーン、物干し竿(懸垂用)、トレーニング自転車…(全てネットショッピングで購入)


平日は家には私だけ(お手伝いさんはいる)両親は勿論仕事、お兄様は塾でいない。だから、うるさくしてもオーケーなのでランニングマシーンを使う。土日はみんないるから静かにできるトレーニング自転車と物干し竿で懸垂。よし、マラソン大会頑張るぞー


あれから毎日トレーニングをしている。腰まである髪を頭の高い位置で一つに結び。Tシャツに短パン。私の部屋にミスマッチなトレーニング用品と格好はきっと普段おしとやかな令嬢を演じている私しか知らない両親とお兄様が見たら驚いて腰を抜かすかもしれない。ちょっと見てみたい気もするけどね。お手伝いさんには見られてすごく驚かれた。私がいないと思って掃除に入ってきたらしいけど、まさかドアを開けたらお嬢様が体操着で物干し竿にぶら下がって懸垂の練習してるなんて普通だったわ思わないものね。(熱があるかと心配された。)



✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎


トレーニングから一週間。


はぁ…体力はついた気がするけど、懸垂は全然できない。小1で懸垂は難しいのかな。でも、腕振ると足速くなるっていうでしょ?なら、腕の筋肉必要だと思うけど…


ぶら下がりながら考える。


ガチャ


「小百合?いないのか…えっ…」


お兄様の声で飛んでいた思考が現実に引き戻される。てか、お兄様大丈夫?ドアを開けた状態から口を開けたまま固まってる。すごい間抜けな顔だ。こんなお兄様すごいレアもの。それにしてもアホ顏なのに見惚れるほどのイケメンである。ほんとにカッコいいなぁ…


「お兄様、どういたしましたの。何かご用ですか。」


「あぁ…えっと、とりあえずその格好…。」


あ、ぶら下がったままだった。いやー、でも予想以上の驚きぶりだったなぁ。レアものだしもう少し拝んでおきたいところだが、とりあえず床に降りる。


「小百合、悩みごとか。よかったら聞くぞ。」


お兄様はいつもそればっかり。お兄様、そんな心配そうな顔しなくても大丈夫よ。


「特に何も。ちょっと運動していただけですわ。」


「そ、そうか…」


お兄様、すごい顔ひきつってますよ。綺麗な眉がピクピクしている。


「お兄様、ご用があったのでは?」


「今日、夕食は外に食べに行くこと確認に。小百合忘れてただろ?」


「そういえば…はい。」


「6時半にはお父様方がこっちに着くから、用意忘れずに。」


「はい、お兄様。」


部屋から出て行くお兄様はロボットのようにカクカクした動きをしていた。


お兄様、大丈夫かしら?




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