13
サイアクだ…頭がズキズキする。目が覚めたら自分の部屋のベッドに寝かされていた。どうやら、私はお酒に物凄く弱いようである。カクテル一杯で二日酔いとは…
私が酔って倒れた後のことをお兄様に聞いた。どうやら、近くにいた龍崎にお姫様抱っこされてホテルの個室に運んでもらったらしい…ヤバいぞ…たくさんの人に見られたはず、いろいろ誤解されそう。それに貸しを作ってしまった。龍崎に弱みを握られるとはなんたる失態。龍崎のことだお礼だけでは済まないかもしれない。なんとかしなくては。会うたびに笑われるだけなら我慢できるからいいが、これから先関わるようになるのは絶対嫌!
✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎
あれから一ヶ月。2学期の始業式。行きたくないよ…行かないわけには行かず。よし、ちゃんとお礼言ってチャラにしてもらおう。さすがに何も言わないのはマズイしね。
「小百合様ー。ごきげんよう。これお土産ですわ。」
「ワカナさん、ごきげんよう。わざわざありがとう。」
ふぅ…ここにはまだ伝わってないか。良かった。
「小百合様、ごきげんよう。」
「ごきげんよう、小百合様。」
「ごきげんよう。」
「私はハワイに行きましてね……」
「まぁ、私はイギリスで…」
夏の思い出をみんなで話し出した。ホントに良かった、知られたらめんどだ。
「小百合様は櫻凛会のパーティーどうでしたの。」
「私も聞きたいわ。」
「そうね…普通だったわよ。」
お願い聞かないでーーー
「私、実は小百合様が龍崎様にお姫様抱っこされたって話聞いたんですのよ!小百合様ったら龍崎様とお付き合いしてたんですの?隠すなんて水臭いですわよ。」
えぇ…知られてた。
「付き合ってなんていませんわ!!」
冗談じゃないあんな俺様野郎。
「私、間違えてカクテルを飲んで倒れてしまったの。その時、龍崎様が助けてくださっただけで付き合ってなんかいませんわ!それに、私、助けていただいたこと覚えてなくて…」
「まぁ、残念でしたわね。でも、お気を落とさないで、小百合様。これで龍崎様とお近づきになれますわよ。」
ワカメちゃん…お近づきになりたくなんかないの。
「小百合様なら龍崎様とお付き合いされてもいやじゃありませんわ。」
「私もお似合いだと思います。」
「頑張ってくださいませ、小百合様。」
やめて…本当に。
「私、龍崎様とお付き合いするつもりはございませんのよ。お願いですから変な噂は広がらないようにしてください、ね?」
みんな…絶対本心だと思ってないでしょ。私が照れ隠ししてると思ってるでしょ…凄い顔ニヤニヤしてるよ…
放課後。櫻凛会の休憩室に入ると龍崎と藤堂がいつもの席(指定席と化している)で楽しそうに話している。話しかけづらいよ…でも、ちゃんと筋は通さないとだもんね。
「龍崎様、藤堂様。ごきげんよう。」
「あ、酔っ払い。」
ムカつく…笑顔笑顔…たぶん今私の顔すごい引きつってるだろうな。藤堂は肩を震わせている。笑うな!
「パーティーの時はお助けいただきありがとうございました。これはささやかなお礼ですわ。」
持ってきた菓子折りを差し出す。
「あぁ。」
「それでは…」
「おい、貸し1な。おまえ重かったから、これだけじゃ足りない。」
…失礼だ!私は瘦せ型、標準よりも体重軽めだ。私が重いんじゃなくて、あんたの筋肉が足りないんじゃないのか?体鍛えろ。
「わかりましたわ。でしたら明日違うものをお礼として持ってきますわ。」
チッ…
今、舌打ちしたよね。なんなのさ、本当に。とりあえず今回はかわせたかな。
後日、菓子折りを2箱渡した。すれ違うたびに「酔っ払い」って言ってくるのやめろーー!
もう、ホントにお願いだから“酔っ払い”って呼ばないで!




