第4話:ニンジン村とニート防止システム
Chapter Soundtrack:
Lil Jon - "Snap Yo Fingers"
(BGM: 炎天下の中、ピンクのスカートで5時間の歩行を余儀なくされた男の「イキりウォーキング」と共にどうぞ)
銀髪の剣士が腕を組み、呆れと好奇心が入り混じった視線でキムを見つめた。
自力で立ち上がった盗賊の青年が、周囲を見回して尋ねる。
「で……これからどうする? ここに長居はできないぞ。見通しの良い場所だし、日没になれば夜行性の魔物が徘徊し始める」
トリクシーが、エア・コーヒーを一口すすりながら頷いた。
「それに、システムはメインやサブのクエストを進行させない長時間の休息を認めてないわ。このまま2時間以上停滞したら、30分ごとにデバフがつくから」
「デバフ……? どういう意味だ?」
盗賊が弱々しく問い返す。
「新たなクエストを達成するまで、物理耐性や睡眠中のHP自然回復みたいなパッシブスキルが一時的に没収されるってことよ。要するに『ニート防止ペナルティ』ね」
魔法使いの少女が眉をひそめ、手描きの雑な地図を取り出した。
「これについて情報があるわ……近くの『ニンジン村』で、ゴブリンから農作物を守る警備員を募集してるらしいの」
「ゴブリン……?」キムが片眉を上げた。
「ええ。背が低くて緑色で、うるさくてニンジンに執着してる連中よ。ここ数週間、毎晩のように畑を襲って収穫物を根こそぎ盗んでいくらしいの」
「防衛隊とかはいないのか?」剣士が問う。
「正規軍も騎士団もいないわ。農具を持った村人が自警団まがいのことをしてるだけよ」
盗賊の青年は完全に体力を取り戻したようで、もう青い血も吐いていない。
「じゃあ簡単じゃないか。ただの雑魚ゴブリンだろ?」
「理論上はね」剣士が口を挟む。「でも、今回のゴブリンは組織化されてるらしいの。『グリットゴブ』っていう重装甲のリーダーが率いてるって」
キムが朝日に輝く自分のピンクのスカートに目を落とした瞬間、視界に新たなウィンドウが展開した。
【クエスト詳細】
【メイン目標:ニンジン村の夜間警備を行い、ゴブリンによる被害を30%以下に抑えよ。】
【報酬:】
・各プレイヤー経験値 +15
・銀貨 100枚
・ニンジン村での基礎装備購入権
【☆ボーナス目標:リーダー『グリットゴブ』を撃破した場合、Lv1マウントを獲得】
「銀貨100枚!? それに本物の経験値まで!」
魔法使いの少女が声を弾ませた。
「マウントって……馬のことか?」キムが驚いて尋ねる。
「ロバよ」トリクシーが即答した。「足は遅いけど、長距離移動で体力を消耗しないし、インベントリに入り切らないゴミアイテムを積み込むのに便利ね」
「ニンジン村まではどれくらいだ?」剣士が地図を畳みながら尋ねる。
「ここから徒歩で5時間くらいよ。平原の谷を越えて、サケ川を渡った先にあるわ」
地平線の彼方に、薄っすらと緑の丘が見える。長く、そして確実に退屈な道のりだ。
「マジかよ……このクソ暑い中を5時間も歩くのか?」
まだ大して気温も上がっていないのに、キムは腕を擦りながら不平を漏らした。
「ええ」トリクシーが無慈悲に告げる。「またお尻の痒みで遅れをとったら、アクティブニートペナルティでHPが削れるわよ」
銀髪の剣士が先頭を切って歩き始めた。パーティーの中で最も背が高く、リーダーシップを取るのが自然な立ち振る舞いだ。
続いて魔法使いがポーション袋を揺らしながら歩き、盗賊の青年が少し足を引きずりながらそれに続く。
そしてキムは、ピンクのスカートをたなびかせながら、一番後ろをトボトボとついて行った。
第4話をお読みいただきありがとうございます!
無事にパーティー(仮)が結成され、最初の目的地「ニンジン村」へと向かうことになりました。放置するとペナルティが発生する仕様は、まさにクソゲーRPGそのものです。
今回のチャプターBGMは Lil Jon の "Snap Yo Fingers" です。ピンクのスカートを履いたキムが、ダルそうに5時間の道のりを歩くシュールな光景と共にお楽しみください。
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Thank you for reading Chapter 4!
The ragtag party finally has a destination: Carrot Village. But with the system's "anti-sloth" penalty ticking down, resting is out of the question.
Today's chapter soundtrack is "Snap Yo Fingers" by Lil Jon—the ultimate low-tempo bounce for a disgraced idol walking five hours through a sunny field in a pink survival skirt.
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