第37話:王都への帰路と偽りなき誓い
Chapter Soundtrack:
Johnny Cash - "Hurt"
(BGM: ジョニー・キャッシュの名曲に乗せてお送りする第37話! 王都への帰路。隊列の中央を行くのは、借り物のブーツを鳴らす創世主マラコール。語られる籠12の隠蔽理由、ナラティブ部署の捏造した予言、そして騎士ランロットが辿り着いた「誓い」の真実。偽りの英雄談を捨て去った一行は、ついに王都の門へと到達する!)
王都へと戻る道のりは、行きとは似ても似つかないものだった。
まず何より、隊列の中央を歩いているのがルート管理者その人だった。ロサリンドから大した熱意もなく譲られた毛布を羽織り、アイレフの予備の二サイズ大きいブーツを履いて。世界の創世主は、三世紀ぶりに日光を浴びて「外の空気」という概念の仕組みを完全に忘れてしまった人間の表情で、足を擦りながらトボトボと歩いていた。
「移動速度のベース値をプログラミングした人間にしては、歩くのが遅いな」
肩のストラップを調整しながら、アイレフが口を挟んだ。
「ベース速度を組んだのはプロジェクトを降りた元パートナーだ」毛布を整えながらマラコールが呟いた。「私が組んだのは衝突判定とスタミナ消費だけだ。だから坂道を登ると疲れるんだよ。どういたしまして」
「そりゃどうも」タラは振り返りもせずに言った。「三百年分の筋肉痛の補償金を請求させてもらうわ」
十一羽の普通のニワトリたちは、ロサリンドの後ろを不気味なほど整然とした列をなして歩いていた。ロサリンド自身は、官僚主義への絶対的な蔑視と諦観を混ぜ合わせたような態度で、反乱軍の公式車両としての新しい役割を受け入れたようだった。キムの肩の上では、ユニット12が静かに佇んでいたが、彼女がそこにいるだけで、以前は「生きている」と「枯れている」の間で点滅していた道の区画が、百パーセントの解像度で青々と固定されていた。
「なあ、創世主」クラックヴィオの書を開いたまま横を歩いていたウンバが尋ねた。「一つ辻褄が合わないんだ。ユニット12が最初のバージョンだとしたら……どうして地方の養鶏場の番号付きの籠に収まることになったんだ?」
マラコールが溜め息をつくと、道の埃が小さく舞い上がった。
「省は何も破壊しないからだ。ただ分類し、ラベルを貼り、時代遅れになるまで倉庫に保管する。私が最初の子爵評議会にサーバーの権限を売却した時、オリジナルのバックアップコピーを消去しようとした。だがシステムはすでに、独自のアーカイブ・ルーチンを実行していたんだ」
「それで、どうしたの?」
肩の鳥を邪魔しないように首をかしげながら、キムが聞いた。
「翻訳したんだよ」マラコールは説明した。「システムはソースファイルを消去できなかったため、データベース内で見つけた最もシンプルでメモリ要求量の少ないコンテナに還元した。レベル一の家禽だ。ステータスへの影響もなく、戦闘能力もなく、レンダリング優先度が最小のオブジェクトだ。誰もが目にする場所に隠したんだよ」
ランロットの兜の上で、染め羽を休憩所にしながら腕を組んでいたトリクシーが口を挟んだ。
「そして籠12に割り当てることで、全く同じ見た目の十一羽に囲ませたのね。全員が普通のニワトリに見えれば、個別のログを調べる者なんて誰もいないもの」
「その通りだ」マラコールは頷いた。「ハロー子爵が税金を踏み倒すために『逆産卵の儀式』なんて突拍子もないアイデアを思いつき、同じ巣のニワトリを十二羽集めろと命じるまではね。彼は十二番目のニワトリが、自分の執務室をフォーマットできる唯一の存在だとは知らずに、選ばれし者たちのパーティーを送り出したんだ」
数キロの間、珍しく沈黙を守っていたランロットが、クロスボウのストラップを直し、管理者を横目で見つめた。
「……では、契約書は?」
コアの部屋にいた時よりもずっと穏やかな声で、騎士は尋ねた。
「北の塔の予言は? 騎士団の誉れは……?」
マラコールは一瞬だけ彼を見つめた。その目には初めて皮肉の色がなかった。
「契約書は募集部門の標準印刷物だ、ランロット。予言は百十四年にギルドの士気を保つために物語部門のインターンが書いたものだ。そして誉れは……」彼は言葉を切り、すでに王都の石の尖塔が影を落とし始めている地平線を見つめた。「誉れはベースコードには含まれていない。それはお前たちが、旅の途中で自分自身で付け加えなければならなかったものだ」
ランロットはすぐには答えなかった。彼は籠手で剣の柄に触れた。コアの部屋では青い線の設計図に還元されてしまったが、今は本物の、確固たる重みを持ってそこにある剣に。
「……満足だ」
騎士はかつての気品を漂わせつつも、大袈裟な演説の虚飾を排した声で顎を上げた。
「間違いから生まれた誓いであっても、立てた言葉に変わりはない。私はこの一行に最後まで付き合うと言ったのだ」
「厳密には、依頼は『大魔王を倒すこと』だったんだがな」アイレフがニヤリと笑った。「今じゃそいつと一緒に歩いて、俺たちの食料を食わせ、銀貨四枚もした俺のブーツを履かせているわけだが」
「請求書は子爵に回しなさい」
最後の丘を登り詰めながら、タラがペースを上げた。
「到着したわ」
彼らの前方に、磨かれた石の塔、金色の軍旗、そして紙の束と蜜蝋の印章を手にした城門の衛兵たちがそびえ立っていた。世界はインクで治められていると信じきっている者の、いつもの日常がそこにあった。
キムは肩の上のニワトリが、力強く穏やかに羽を整えるのを感じた。もはや不具合の警告も、視界の隅で点滅する青い画面もなかった。
そこにあるのはただ、疲れ果てた旅人たちと、借り物のブーツを履いた創世主、静かに藁を噛むロバ、そして過去三百四十年で最も予期せぬ監査を受けようとしている一つの公式執務室だけだった。
第37話をお読みいただきありがとうございます!
明かされる「籠12」隠蔽の真実と、システムが作り出した偽りの予言。
それでも自分たちの意思で「誓い」を全うしようとするランロットと一行は、ついに王都へと帰還します!
本日のBGMは、Johnny Cash の名曲 "Hurt" でした!
哀愁と重厚感を併せ持つサウンドが、偽りの物語を脱ぎ捨て、真実の足取りで歩む彼らの姿を引き立てます。
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【新章 Soundtrack List】
・第三十三話: Nino Rota - "The Godfather Theme"
・第三十四話: Metallica - "Sad But True"
・第三十五話: Jim Johnston - "Meat on the Table"
・第三十六話: Eminem ft. Nate Dogg - "Till I Collapse"
・第三十七話: Johnny Cash - "Hurt"
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次回、ついに子爵の執務室での「前代未聞の監査」が始まる……!?
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Thank you for reading Chapter 37!
The party reaches the Capital, bringing Malakor with them to deliver the ultimate unexpected audit to Viscount Harrow.
Today's soundtrack features "Hurt" by Johnny Cash!
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