第33話:管理者の地下室と作られた魔王
Chapter Soundtrack:
Nino Rota - "Love Theme from The Godfather"
(BGM: 新章開幕! 映画『ゴッドファーザー』の哀愁漂う名曲に乗せてお送りする第33話! 九日間の待機を経て、ついに開かれた「黒い隕石のクレーター」の隠し扉。そこにいたのは恐ろしい魔王ではなく、疲弊した「ルート管理者」だった——!? 暴かれるシステムの真実と、新たな謎の幕開けをお楽しみください!)
一羽一羽を数えている時、九日間という時間はあまりにも長く感じられるものだ。
クレーターの脇に設営されたキャンプは、誰が正式に決めたわけでもなく、いつの間にか半ば家庭的な日常へと化していた。非常食以外の獲物を狩ってくるアイレフ。「念のため」と黒い縁の石を分類するウンバ。誰も聞いていないと思っている時に低い声で歌うランロット(全員に聞こえていた)。そして、数えたくもない何かを数える者の手際で、静かに夜を数え続けるタラ。
正しい月は、何のファンファーレもなくやってきた。トリクシーすらそれについて冗談を言うことはなかった——彼女はただ空を見上げ、一度だけ頷き、こう言ったのだった。
「……今夜よ」
どの描画システムもわざわざ名前を付けようとはしなかった、まさにその色の光に世界が包まれた時、彼らはクレーターの底へと下りて行った。円状に並べられた十二個の籠は、中央を向いていた。ウンバは『クラックヴィオの聖歌』を言葉ひとつひとつ、逆順で朗誦した。世界の終わりを前にして、自分が今まさに滑稽なことをしでかそうとしているのだと知っている者の荘厳さをもって。
しばらくの間、実際以上に長く感じられる沈黙が続いた。
そして、五百年もの間いかなる植物の生育も許さなかったクレーター中央の黒ずんだ岩が、ただ単にそこに存在することみをやめた。爆発したわけではない。口のように開いたわけでもない。自動ドアのような行政的な礼儀正しさをもって脇へと滑り mine、火でも魔法でもない光に向かって下りていく石造りの階段を露わにした。それは影をドラマチックに落とすことのない、均一で白い光だった。
【 アクセスが許可されました 】
【 区域:コア —— 訪問者向けではありません 】
【 注記:この扉が使われるのは久しぶりです。 】
「魔王の巣窟って感じの音じゃないな」必要性からではなく習慣からナイフに手をやりながら、アイレフが言った。「メンテナス用の地下室の音だ」
「メンテナス用の地下室よ」トリクシーが認めた。彼女の声はここ二十数日の中で初めて、皮肉よりも緊張を孕んでいた。「下りる前にその話をしておくべきだったわね。……あるいは、もう遅すぎるのかもしれないけれど」
彼らは下りて行った。
玉座はなかった。骨も、黒い軍旗も、ランロットが北の塔以来約束し続けていた硫黄の臭いすらもなかった。そこにあったのは、浮遊する画面で満たされた円形の部屋——一枚や二枚ではない。天井の概念を忘れてしまった図書館のように、幾重にも重なり合って上方へと消えていく何百という画面——そして中央の、何年も快適であったことなどなさそうな椅子に腰掛けた一人の男だった。
二メートルの甲冑でもなければ、角でもなかった。中年で、深い目のクマを作り、かつてはエレガントだったのだろうが今やただ分厚いだけの毛布を肩に羽織り、手に冷めた何かのカップを握った男。その姿はキムに、胸を突くような不快感と共にトリクシーの持つカップを思い出させた。
男はゆっくりと顔を上げた。久しく邪魔をされたことがなく、人から邪魔をされるという現象そのものを忘れてしまっていた者の手つきで。
「ああ」彼は言った。「選ばれし者たちか。またね」
その声には「名付け得ぬもの」の威厳など一切なかった。それは何よりもまず、疲れ果てた響きを持っていた。
「お前がマラコールなのか?」剣は鞘に収めたままであったが、手を柄に添えながらタラが尋ねた。「隕石の? 九日ごとに転生するっていう?」
「そのあたりは彼らが勝手にでっち上げた設定だよ。私はただ……ここから長いこと動いていないだけだ。人間がどこにも行っていないと信じるより、何度も蘇っていると信じる方が簡単だからね」
「ハロー子爵はお前が『宿命の兵器』を構築していると言っていた」ウンバが口を挟んだ。「存在を断片化しようとしていると」
男は瞬きをし、一瞬だけ笑いに似た何か——疲れていて、ユーモアの欠片もないが、確かに笑いと呼べるもの——がその顔を掠めた。
「ハロー子爵には今や自分の部署があるのかい? えらい出世をしたものだな」
【 システム警告:存在するエンティティはルート管理者権限と一致します 】
【 注記:この警告が表示されるのは340年ぶりです。おかえりなさい。 】
トリクシーは画面を見つめ、それから男を見つめ、再び画面へと目を戻した。キムが一度だけ、あのハト小屋の夜に見たことのある表情を浮かべながら。
「……あなたがこれを作ったのね」問いかけではなく、事実の確認として彼女は言った。「このすべてを。システムを。職業を。ステータスを。……私を」
「最初のバージョンを作ったのは私だ」と男は修正した。これ以上何も修正する気力もないまま、技術的な詳細だけを正すトーンで。「それから嫌気がさした。それから私の言葉を聞かなくなった。それから、不在の創造主よりも目の前にいる悪役の方がずっと利益になると誰かが判断して……そして今に至る、というわけさ」
彼はキムの方を、習慣で胸に抱えられ続けている籠の方を見つめた。そしてその顔つきが、ほんのわずかに変化した。
「……そのニワトリは、私の目を見つめることができないはずなんだがね」
室内に沈黙が落ちた。
「知っているのか……?」喉をカラカラに乾かせながら、キムが尋ねた。
「……エラーなら知っている」男はゆっくりと言った。持ちこたえないと分かっている氷の上を歩く者のように、言葉を慎重に選びながら。「エラーの中に何があるのかまでは分からんがね。それをつきとめる機会を失ってから、随分と長い時間が経ってしまった」
タラが一歩前に踏み出した。キムが彼女を知って以来初めて、その声には明確な不安が混じっていた。
「……なら、お前が危険でないのなら、なぜ私たちはあんたを殺すために送り込まれた? お前が悪魔であり続けることで、誰が得をするんだ?」
男は居心地の悪い椅子に深く背を預けた。毛布が肩から少し滑り落ちた。彼らが地下へ下りてきて以来初めて、彼は本当の意味で微笑んだ——ユーモアはなかったが、本物の笑みだった。
「それだよ」と彼は言った。「お前たちがここに入ってきてから口にした、唯一の正しい質問は」
それ以上、彼が答えることはなかった。
そしてキムの胸の中で、ニワトリは接続音も、言葉も、システムが記録できる何ものも発することなく、ピンクのスカートの汚れた布地に頭を預け、完全に動きを止めた。
まるで彼女もまた、ついにその答えを待っているかのように。
第33話をお読みいただきありがとうございます!
そして、ここから【管理者の地下室編】開幕となります!!
9日間の待機を経てついに足を踏み入れたクレーターの地下。
そこにいたのは「魔王マラコア」ではなく、システムに捨てられた疲れ切った「最初の創造主(ルート管理者)」でした。
そして、彼が語る「エラー」としてのユニット12の正体。
『The Godfather』の切なくも重厚なテーマに乗せて、世界の不条理と真実が交錯し始めます!
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【新章 Soundtrack List】
・第三十三話: Nino Rota - "Love Theme from The Godfather"
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創造主を殺すために送り込まれた理由とは……?
次回もどうぞお楽しみに!
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Thank you for reading Chapter 33 and welcome to the new arc!
The party meets Malakor in the basement beneath the crater—only to discover he isn't a dark lord, but the exhausted Root Administrator of the entire system.
Today's soundtrack features "Love Theme from The Godfather" by Nino Rota!
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