第32話:重複する道と黒いクレーター(章末)
Chapter Soundtrack:
The Doors - "The End"
(BGM: ザ・ドアーズの伝説的楽曲に乗せてお送りする第32話! 『街道編』ついに完結!! 複製された道、浮遊する樹木、未完の世界を通り抜け……一行はついに目的地「黒い隕石のクレーター」へと到着する。未完の世界で唯一『完全に読み込まれている』籠12の存在。9日後の正しい月を待つ彼らを待ち受ける運命とは――!? 新章第1ブロックのフィナーレをお楽しみください!)
風景よりも先に、地面の感触が変わった。
一歩目は普通だった。だが次の歩みでは、足が地面を捉えてからその踏みしめる音が耳に届くまでに、コンマ五秒のタイムラグが生じた。まるで世界が「そうだ、確かにそこに土がある」と確認する前に、自分自身のノートをめくり直さなければならないかのように。
「また始まったか……」
足を止めることなく、数分おきに後ろを振り返りながらアイレフが呟いた。
タラは前方を直視し、剣の柄から手を離さずにペースを維持していた。鞘から完全には引き抜かれてはいないものの、いつでも抜ける状態だった。その後ろでは、ウンバが胸に籠12を抱えて歩いていた。誰が言い出すでもなく、二人は一時間ごとに交代していた。ただ、自然とそうなっていたのだ。ランロットは列の最後尾を歩いていた。この二日間で初めて口をつぐんでおり、その沈黙は未完成の地面と同じくらい彼らを不気味がらせていた。
午前の半ば頃、彼らは未完成の世界からの最初の贈り物に遭遇した。一本の完全な樹木。枝も、葉も、樹皮もすべて揃っていたが、地面から一メートル半ほど空中に浮遊しており、まるで誰かが「ここに植える」という命令を忘れ、最後に手放した場所にそのまま放置したかのように根っこが空中にぶら下がっていた。
【 配置エラー:オブジェクト「オークの木_03」 】
【 状態:保留中 —— 地面への固定点が見つかりません 】
【 推奨解決策:迂回すること。押さないこと。 】
「どうして誰かがこれを押すと思うのよ?」ウンバが尋ねた。
「画面の注意書きを読まない連中がいるからよ」
学術的な好奇心から、すでに幹に向かって手を伸ばしかけていたランロットを横目で睨みながら、トリクシーが言った。
騎士は静かに手を引っ込めた。彼らは木を迂回した。誰も押さなかった。
最初の深刻な問題を見つけたのはロサリンドだった。それから三十分後、小道がまったく同じ二つの道に枝分かれしていたのだ。同じ石、同じ苔、左側にあるまったく同じ折れ曲がり角。手違いで複製された同じ道であってはならないはずなのに、まさにそうだった。
「地図にはこんなの載っていなかったわ」タラが言った。
「そもそも地図自体、自分の存在に自信がなさそうだったじゃない」首をかしげながら二つの道を比較し、あちこち飛んで回っていたトリクシーが答えた。「どっちを選んでも同じよ。下手に二度貼り付けられた同じコピーだもの。結局は同じ場所に行き着くわ」
「もし同じ場所に行き着かなかったら?」アイレフが聞いた。
「その時は、片方の道で私たちが存在しなくなった時に分かるわよ」
誰もそれ以上尋ねなかった。ロサリンドがすでにそちらを歩き始めており、ここ二日間、グループの誰よりも優れた直感を発揮していたロバと議論したい者など誰もいなかったから、彼らは左の道を選んだ。
そして少し後になって彼らを救うことになったのは、まさにその「複製」だった。誰の計画でもなく。
乾いた小さな谷の縁で、アイレフがピタリと足を止めた。他の者にはまだ聞こえない何かを耳に挟んだのだ。彼は指を三本立てた。タラは頷き、一言も発さずに声を落とすよう合図した。
声だった。遠く、しかし絶え間なく聞こえる。先ほどと同じ無音の規律を保って移動している三人組が、あらゆる形跡から見て右側の小道を追っているようだった。彼らが選ばなかった方の道を。
一行は動かずに待った。トリクシーによれば正確に四分間であったが、まるで一時間にも感じられる時間だった。声は遠ざかっていった。二度と戻ってはこなかった。
「複製された道に入っていったわ」ついにまともに息ができるようになり、ウンバが囁いた。「私たちの道と同じ場所につながっている方に」
「あるいは一行ズレた同じ場所ね」トリクシーが修正した。「システムは両方のコピーが完璧だとは約束していないわ。始まりが同じだってだけで」
タラは夜明け以来初めて、口元に笑みのようなものを浮かべた。
「ストリーミングのエラーが囮になってくれたわけね。覚えておきなさい。今度誰かがロードの遅い世界に愚痴をこぼしたら、このことを思い出させてやるわ」
その日の残りは、壊れた小さな奇跡の連続だった。足が本物の泥に沈んでいるのに砂利を踏みしめる音がする道の一角。天気の一部だけが一時停止されたかのように、何時間も空の同じ場所に留まり続ける雲。そして一瞬だけ、誰にも口に出して語られることはなかったが、Kimが自分自身の影が自分よりコンマ五秒早く動くのを見たような気がした瞬間。
それらの出来事のすべてを通じて、籠12が点滅することは一度もなかった。
草が二つの緑のトーンの間で決めかねて迷っている区間を渡っていた時、真っ先にそれに気づき、低い声でつぶやいたのはウンバだった。彼女の腕の中で、ニワトリは常に全く同じ重さ、全く同じ羽の質感、全く同じ固形の実体感を保ち続けていたのだった。点滅もなければ、輪郭が失われることもない。まるで、完全には読み込まれきっていない世界の中で、彼女だけが唯一「完全に完成しているもの」であるかのように。
「トリクシー」
「見えているわ」
「……どういう意味なの?」
「分からないわ」妖精が言った。ここ二日間で、その言葉は不安というよりは安らぎに近い響きを持っていた。「でも、浮遊する木の十メートル手前であなたに抱えられているよりは、ここでその理由を知らないでいる方がマシよ」
歩き続けるという計画に反論する者はいなかった。
空が夜なのか昼なのか分からなくなるような不確定な色に染まり始めた夕暮れ時、地面は再び安定し始めた。草はついに単一の緑に落ち着き、音は動作と同時に届くようになった。そして一行は、誰のアナウンスもなく、自分たちが「向こう側」へと渡りきったのだと理解した。
前方、最後の草の生えていない丘の向こうで、地面は巨大で完全な円形の窪地へと落ち込んでいた。まるで風景そのものが五百年もの間、そこに再び草木を萌え出でさせるのを恐れているかのように、黒ずんだ岩で縁取られていた。中央では、距離のせいもあり目視するのがやっとだったが、光を反射するのではなく、それを呑み込んでいるかのような深い黒が仄かに輝いていた。
【 到着しました:黒い隕石のクレーター 】
【 残り距離:0 】
【 正しい月までの時間:9日 】
【 監視状態:過去6時間、接触確認なし 】
タラは口を開く前に、長い間クレーターを見つめていた。
「追手を巻けたようね。あるいは、面倒なことになる前に私たちをここまで来させることにしたのか。何か起きるまでは分からないわ」
「実に頼もしいお言葉だ」アイレフが言った。
「安心させるつもりはないわ。正確でありたかっただけよ」
ランロットは、いつもの誇張のない、心底疲れ切った声で二日間の沈黙を破った。
「……もう、歌ってもよろしいでしょうか?」
「ダメ」タラとウンバが、彼を見もせずに同時に言った。
Kimはその日の残りの時間、再び自分の腕の中に戻ってきた籠12を抱え、一瞬だけ立ち止まった。九日後、不条理な儀式と、背後を追う名もなき脅威、そして数キロ四方で世界が完全に読み込むことに何の問題も抱かなかった唯一の存在であるニワトリと共にどうにかしなければならない、黒い窪地を見つめながら。
「よし」誰にともなく、自分自身に言い聞かせるように彼は低い声で言った。「着いたぞ」
彼の胸のところで、ニワトリは唯一見えている片方の目を閉じた。
そして道は、二日間で初めて、まさに「ただの道」となった。罠もなく、複製もなく、存在しきれていないものなど何もない。
あとは、ただこの後に訪れるものを待つだけだった。
第32話をお読みいただきありがとうございます!
そして、これにて新章第1ブロック『北の街道・追撃編』完結となります!!
バグだらけの未完の世界を切り抜け、ついに目的地「黒い隕石のクレーター」へと到達したキムたち!
複製された道によって間一髪で追手を撒き、9日後の「正しい月」を待つ長いカウントダウンがここから始まります。
そして、世界がロード不足で揺らぐ中でも唯一「完全にロードされていた」籠12=ユニット12の圧倒的な実体感。彼女の内に秘められた真実とは……!?
新章第1ブロックを締めくくるBGMは、The Doors の名曲 "The End" でした!
重厚でサイケデリックな旋律が、黄昏のクレーターの静寂とこれからの波乱を予感させます。
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【新章 Soundtrack List】
・第二十八話: Robert Johnson / The Blues Brothers - "Sweet Home Chicago"
・第二十九話: The Rolling Stones - "Jumpin' Jack Flash"
・第三十話: Moby - "God Moving Over the Face of the Waters"
・第三十一話: Fleetwood Mac - "The Chain"
・第三十二話: The Doors - "The End" (章末)
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次回からは、クレーターでの9日間の待機と、迫りくる省の影を描く新展開へ突入します!
ここまでお付き合いいただき本当にありがとうございました!
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Thank you for reading Chapter 32 and finishing this arc!
Navigating through glitched copy-pasted roads, the party finally arrives at the Black Meteorite Crater, successfully shaking off the Ministry's trackers for now.
Today's soundtrack features "The End" by The Doors to wrap up this arc!
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