第30話:不完全な夜と静寂の野営
Chapter Soundtrack:
Moby - "God Moving Over the Face of the Waters" / "Nobody's Fault But Mine"
(BGM: Mobyの深みのある静寂なアンビエント・サウンドに乗せてお送りする第30話! テクスチャの穴を抜け、野営地で焚き火を囲む一行。キムの腕の消失、漏れ出た声、そして『静観』を推奨するシステムの異例の対応。満天の星空の下で訪れる、静かで密やかな夜をお楽しみください)
半時間ほど進んだところで、彼らはそこそこまともな開けた場所を見つけた。草の色もまだ信じられる範囲で、地面を踏みしめた時の音もフローリングや無音ではなく、ちゃんとした土の音がした。タラは誰かに進みたいかどうかを尋ねなかった。ただ足を止め、荷物を降ろし、即席の円を指差した。
「ここで休むわよ。穴は後ろに置き去りにしてきた。もしこれ以上に未完成な何かが現れたとしても、ここなら少なくとも三方向に逃げるスペースがある」
誰も反論しなかった。疲労は、議論を呼ぶような質のものではなかった。
大声で愚痴をこぼすエネルギーすら失った者の静かな手際で、彼らは野営地を設営した。アイレフは火から離れた場所に、十一羽の普通の籠を半円状に結びつけた。ロサリンドは「ようやくか」と言わんばかりの鼻鳴らしと共に横たわり、ここ数日で初めて本気で眠る構えを見せた。ランロットは「星空の下で選ばれし者たちを見守る誉れ」についての演説と共に最初の見張りを買って出ようとしたが、タラは彼の言葉を途中で遮り、ロバの隣を指差した。
「寝なさい。何かが来たら、インスピレーションに満ちているより体力が回復している状態のアンタの方が頼りになるわ」
Kimは少し離れた場所に座り、両膝の間に籠12を挟んでいた。ニワトリは「動くな」の一言以来、身動ぎひとつしていなかった。開けた場所も、焚き火も、ひそひそ話す会話も、自分には一切関係がないかのように、ただ北の方角を固定された片方の目で見つめ続けていた。
ウンバが二切れのパンと、少し汗をかき始めたチーズの塊を持って近づいてきた。数日前の小川の時と変わらず、近くもなく遠くもない、ちょうど一メートルの距離に腰を下ろした。
「……痛む?」輪郭を失っていた腕を顎で指差しながら、彼女が尋ねた。
「いや」Kimは答えた。「それが変な感じなんだ。全く痛まなかった。ただ……完全にはそこに存在しなくなっただけ。まるで世界が一瞬、ロードするのを忘れたみたいに」
ウンバは籠を見つめながら頷いた。
「喋ったわね」
「一言だけな」
「旅に出てから喋ったどの言葉よりも多いわ」
それに続いた沈黙は、気まずいものではなかった。濃密なものだった。火の向こう側では、トリクシーが飲まず、書き留めず、空のカップの上を浮遊していた。内部ログを確認し、その結果が気に入らない者の表情で。
「システムが正式な保留案件を開いたわ」誰とも目を合わせずに、ようやく彼女が言った。「『未分類エンティティとユニット12の相互作用。安定性回復の要因:不明。継続的な観察を推奨、刺激は避けること』」——彼女はいつもより乾いた音を立ててノートを閉じた。「翻訳するとこうよ。『何が起きたのかさっぱり分からないから、いじるな』」
「最高だな」短くナイフを研ぎながら、アイレフが自分の場所から呟いた。「世界がボロボロに崩れかけてるってのに、公式の解決策が『ニワトリを刺激するな』かよ」
タラは即席のテントの最後の杭を打ち込み、膝に剣を立てかけて座った。
「交代で見張るわよ。最初は私。二番目はアイレフ。三番目はKim。四番目はウンバ。ランロットは……」彼を一瞥し、「朝まで寝なさい。歌いながら起き出したら、ロバに縛り付けるから」
ランロットは口を開き、それを閉じ、珍しく反論せずに従った。ロサリンドの隣でマントにくるまり、二分もしないうちに、今日の栄光は明日まで待てるのだと決めた騎士の尊厳をもって寝息を立て始めた。
本当の夜が訪れた。星々だけは、完全に読み込まれているように見えた。鮮明で、冷たく、音の遅延もない。焚き火は心地よく普通の音を立ててパチパチと燃えていた。十一羽のニワトリはおとなしくなっていた。残されているのは薪の時折爆ぜる音と、ロバのゆっくりとした呼吸音だけだった。
Kimは籠を見た。ニワトリは数時間ぶりに北を見るのをやめ、彼の方へと首を向けた。片方の目を固定し、もう片方は見えない。
「なあ」一メートル離れたウンバにすらハッキリとは聞こえないほどの低い囁き声で、Kimが言った。「もしお前が本当に誰かなら……ありがとうな。さっきは」
ニワトリは答えなかった。接続音も、言葉も発しなかった。ただもう一秒だけ彼を見つめ返し、それからゆっくりとした意図的な動作で籠の中で丸くなり、翼の下に頭を潜り込ませた。
まるで、今夜ばかりは彼女にとっても、一日の奇妙さとしてはこれで十分だと決めたかのように。
Kimはしばらくの間、それを見つめていた。それから一番近くの幹に背を預け、腕と胸の間に籠をしっかりと抱え直し、完全に眠りに落ちることはなく目を閉じた。
火の向こう側では、タラがまだ草が「生きている」と「枯れている」の間でわずかに点滅している開けた場所の境界線を警戒していた。何も言わなかった。ただ柄の近くに手を置き、再び空が白み始めるまであと何時間あるのかを、静かに数えていた。
十一日間。
このような、あるいはこれ以上に過酷な十一の夜。
そして、世界が存在するのを忘れた時、その羽毛の中にいる誰かがまだそれを引き留める術を知っているのだと証明してみせた、一羽のニワトリ。
北の街道での最初の一日は、こうして終わった。歌もなく、申請書もなく、説明もなく。
ただ疲れ果てたグループと、消えることを拒む焚き火、そしてこれからは眠ることすら毎夜勝ち取らなければならない贅沢になるのだという共有された確信だけを残して。
第30話をお読みいただきありがとうございます!
描画未完了区域を抜け、静寂の野営地で明かされるかすかな温もり。
「動くな」とキムを引き留めた籠12のニワトリが、夜の静けさの中で見せたささやかな仕草。そしてシステムが下した「静観」の対応。
過酷な11日間の待機路において、一行の絆と覚悟が静かに深まっていく名シーンとなりました。
今回のBGMは Moby の "God Moving Over the Face of the Waters" でした! 深みのあるアンビエントな旋律が、星空の下の静寂と切なさを美しく演出します。
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【新章 Soundtrack List】
・第二十八話: Robert Johnson / The Blues Brothers - "Sweet Home Chicago"
・第二十九話: The Rolling Stones - "Jumpin' Jack Flash"
・第三十話: Moby - "God Moving Over the Face of the Waters"
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つかの間の休息を終え、一行はさらなる北の荒地へと進んでいきます。
次回もどうぞお楽しみに!
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Thank you for reading Chapter 30!
The party sets up camp after surviving the glitched rendering zone. As night falls, Unit 12 nestles quietly in her cage after a low "thank you" from Kim.
Today's soundtrack features "God Moving Over the Face of the Waters" by Moby!
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