第15話: 安物トラップと0%の貢献度
Chapter Soundtrack:
El Reno Renardo - "Sanotes"
(BGM: スペインの爆笑パワーメタルに乗せてお送りする第14話・後編! 安物トラップ満載のダンジョン攻略と、音痴歌が一切効かない「キッチン用品ゴーレム」とのカオスな戦闘をお楽しみください)
塔の最下層には扉すら存在しなかった。代わりに、本来扉があったであろう場所の上に、安全上の配慮からか傾いた木製の看板が打ち付けられていた。
『立ち入り禁止。致死性の罠あり。冗談ではない。—— 塔管理組合』
「警告してくれるなんて、なんて親切なのかしら」
ウンバは本心からのプロ意識を込めて看板を読んだ。「多くのダンジョンはそんな配慮すらしないわ」
「あるいは、強盗に入ろうとする者に警告する間抜けかだな」
アイレフが敷居の脇に屈み込み、床の上の荒らされた薄い粉のラインに指を走らせながら付け加えた。
「糸だ。裁縫用のな。反対側の端には鈴が結び付けられている」
【 トラップ検知:糸と鈴の警報機 】
【 製造品質:手作り(レベル:暇を持て余したおばあちゃん) 】
【 実際の危険度:皆無。自尊心への危険度:分かっていて引っかかった場合は相当高い。 】
「ああ、そんなものご心配なさるな! 私は目を閉じてでも回避してみせる!」
ランロットが宣言し、直後に儀式のような大股で糸を真上から踏みつけにした。
鈴のけたたましい連打が、呪われたクリスマスキャロルのように塔全体に響き渡った。上の階のどこかで、重い何かが動く音がした。
「『目を閉じて』っていうのは例えであって、文字通りの指示じゃないのよ……」
タラはすでに剣を半分抜きながら毒づいた。
最初の階段は、ウンバの神経質な笑い声と、背中の半トンのガラクタのせいで階段を登ろうとしては失敗するロサリンドの絶え間ない軋み音と共に通り抜けた。そのため、ロバは下に繋ぎ止めておくことにした。誰も見張っていない状態——それこそが世の中で最も優れた警備の形態である。
二つ目の障害は、交互に色のついたタイルが敷き詰められた狭い通路だった。
【 トラップ検知:選択的圧力床 】
【 壁に刻まれた指示:『青いタイルだけを踏みなさい。赤いタイルは短剣を作動させます。(注:短剣は少し錆びついており、最後まで飛び出さない可能性があります。事前に謝罪いたします。)』 】
「罪悪感を抱えたトラップ職人か」
アイレフは感心した様子で観察すると、青いタイルから青いタイルへと軽やかに跳び移りながら通路を渡った。過去に何度も、様々な場所で(おそらく無許可で)これをやってのけてきた者の身ごなしだった。「なんだか愛着すら湧いてくるな」
最後尾を歩いていたキムは、純粋な統計的悪運によって赤いタイルを踏み抜いた。錆びついた短剣が、疲弊したスプリングの熱意とともに巾木から飛び出したが、四センチほど進んだところで情けない軋み音を立てて途中で停止した。
「罠すら俺をまともに殺そうとしてくれないのかよ……」
キムはため息をつき、リュートの先端で短剣を穴へと押し戻した。
三つ目の障害は、技術的にはマグマの掘だった。あくまで技術的には。
【 トラップ検知:マグマの掘 】
【 実際の成分:オレンジの絵の具で着色された水と、光の演出のための浮かべられたローソク。 】
【 温度:やや冷たい。風邪をひく可能性はあるが、発火の危険はない。 】
「なんでこんな嘘をつくのかしら?」
ウンバは指を濡らし、落胆した表情で温度を確認しながら尋ねた。「どうせ誰も確かめに来ないのに」
「予算よ」
キムの肩の上で、トリクシーがカップから目を離さずに言い放った。「本物のマグマは高すぎるの。これはワゴンセールのマグマよ」
一行は「マグマ」の中を歩いて渡り、足首を濡らしながら、本物の危険が存在しないことにどことなく騙されたような気分を味わった。ランロットはそれでも英雄的なジャンプで飛び越えようと主張し、そのままドボンと中に落ちて全身びしょ濡れになった。
四つ目の扉には、大きな文字でなぞなぞが描かれていた。
『立った時よりも、座った時の方が背が高いものはなーんだ?』
「犬」タラは足を止めることなく答えた。
扉は、長年深く考えない者が現れるのを待ち望んでいたかのように、あきらめを含んだカチリという音を立てて勝手に開いた。
そして扉の向こうに、ついに「それ」がいた。
円形の部屋のほぼ全体を占めていたのは、二メートル半の手打ちのリベット留めプレートアーマーだった。胴体は鋤の刃で補強された古びたワイン樽でできており、片腕の先には研ぎ澄まされた鉄のフライパン、もう片方の先にはガントレットに溶接された庭用のレーキ(熊手)が取り付けられている。頭部は逆さにした調理用の鍋で、雑に開けられた二つの穴から、不気味に明滅する濁った緑色の光が漏れていた。
【 エリート敵:塔の守護者(基本モデル) 】
【 称号:愛(と厨房のガラクタ)を込めて組み立てられた 】
【 クラス:セキュリティ・オートマトン / 中古のゴーレム 】
【 製造元の警告:『二年間の保証期間経過後の動作は保証いたしません。すでに十一年が経過しています。』 】
ゴーレムは油の切れた蝶番の軋み音と共に鍋の頭を彼らに向け、フライパンの腕を掲げると、壁に調理器具を叩きつけているかのような金属的な咆哮を上げた。なぜなら、技術的にはまさにその通りの構造だったからだ。
「よし」タラが剣を完全に抜き放ちながら言った。「ウンバ、拘束の鎖を。アイレフは側面に回れ。ランロット、一回くらい役に立って大振りを受け止めなさい。キム……」
「おう!」
キムは反射的にリュートを構え、喉をゴホンと鳴らした。闘牛とイラクサの件以来、ずっと鍛え上げてきた自分の能力を発揮する瞬間が、まさに今来たと確信していた。
「邪魔だからどいていなさい」
「どいていなさいってどういう……!」
だが、キムはすでに歌い始めていた。十一話にわたって培われた本能は、言葉による命令くらいでは止められない。
『おい見ろよ、脚の生えたガラクタ野郎,
身の程知らずのフライパン人間,
作った奴もお前を哀れんでやがる,
そんなツラで偉そうに威張り散らすな……』
静寂。
8ビットのチープな効果音が、まるで自分自身を恥じるかのように弱々しく鳴り響いた。画面が現れたが、金色でも赤色でも、勝利の画面でもなかった。灰色。ファンファーレすらない。
【 スペシャルスキル:悲惨な歌 】
【 効果:なし 】
【 理由:対象には鼓膜、耳、あらゆる種類の聴覚システムが存在せず——解析の結果——測定可能な自尊心も存在しません。失うべき尊厳を最初から持たないものを辱めることは不可能です。 】
「あ」トリクシーが、純粋な科学的好奇心をほんの少し覗かせて言った。「面白いわね。スキルの下限値を初めて見つけたわ。データ採取に感謝するわ、キム」
「いま科学実験してる場合か、トリクシー!?」
演奏を完全に無視したゴーレムは、床を揺らす一歩を踏み出し、キムに向かって一直線にレーキの腕を振り下ろした。部屋の配置上、キムが最も近くにおり、死なずにダメージを与えることも受けることも最も不可能な存在だったからだ。
キムは華麗に回避しなかった。キムは悲鳴を上げ、頭をリュートで覆いながら床に転がり、全員のブーツの隙間でピンクの丸まった塊となった。戦闘は、文字通り彼の頭上で行われていた。
【 キム・ミンジュンの現在の状態:丸まっている! 】
【 効果:脅威として認識されないため、あらゆるダメージを無効化。 】
タラはレーキを数センチの差でかわし、鋤の刃の装甲から火花を散らす一撃を叩き込んだ。手のひらを輝かせたウンバは、ゴーレムの「手首」に向かって直接光の鎖を放った。もっとも、ゴーレムには麻痺させる神経などなく、単なる蝶番しかなかったため、ほとんど効果はなさそうだった。アイレフは側面に消え、背中の継ぎ目にナイフを突き刺しながら、臓器ではなくネジを探して作業を進めた。そしてランロットは、今日唯一の役に立つ指示に忠実に、盾を掲げて前に立ち、このプロジェクト全体で初めて真に勇敢に聞こえる叫び声を上げた。
「誇りのために……!」
フライパンの一撃が彼を壁まで吹き飛ばした。
「……誰かの!」
彼は星を飛ばしながら、床に転がったまま結びの言葉を口にした。
丸まったままのキムは、床の高さから戦闘を見上げるために薄目を開けた。脚、火花、ウンバの鎖の輝き、そして裁縫針のようにゴーレムの関節に出入りするアイレフのナイフの閃光。誰も彼を見ていなかった。誰も彼を見る必要がなかった。
「人生で初めて……」
自分の顔の数センチ横を通り過ぎたタラのブーツを本能的にかわしながら、キムは呟いた。
「情けない奴であることが俺の命を救ってるんじゃない。床にへばりついてることが命を救ってるんだ……」
背中の継ぎ目をアイレフに破壊され、十一年の手入れ不足による錆の重みに膝が折れたゴーレムは、ぐらりと揺れると後退し、厨房全体が階段を転がり落ちるような大音響とともに崩れ落ちた。
【 塔の守護者を撃破しました! 】
【 戦闘MVP:タラ 】
【 キム・ミンジュンの貢献度:0% 】
【 システムの評価:『時には、邪魔をしないことが最高の戦略である。』 】
キムはゆっくりと立ち上がり、ピンクのスカートの埃を払った。侮辱されたと感じるべきか、安堵すべきか分からなかった。ウンバは未だに目を回しながら、今日の出来事について作曲されるであろうバラードについてうわ言を呟いているランロットを立ち上がらせた。アイレフはすでに、価値のあるものを探してゴーレムの残骸を物色していた。
円形の部屋の奥、倒れたガラクタの山の向こうに、最後の扉があった。これまでの扉よりも小さく、そこへたどり着くまでに潜り抜けてきたあらゆるものと比べて、繊細と言っていいほど華奢な木製の扉だった。警告の看板はない。目に見える鍵もない。ただ、塔の他の場所とは異なる静寂——向こう側で誰かが耳を澄まし、今のところは何も言わないでおこうと決めた時にしか生じない、独特の静寂だけが漂っていた。
「よし」タラが剣の血を拭いながら言った。「あそこね」
まるまる一秒間、誰も動かなかった。
「開ける?」ウンバが尋ねた。
「開けるわ」アイレフがすでにノブに手をかけながら認めた。
そして、今日のところはここまでにしておこう。
第15話をお読みいただきありがとうございます!
安物トラップだらけのダンジョンを乗り越え、ついにボスの「キッチン用品ゴーレム」と激突!
……が、耳のないゴーレムにはキムの音痴歌スキルが一切通用せず、貢献度まさかの【0%】(笑)。床に丸まってやり過ごすという、究極の(?)生存戦略を見せてくれました。
今回のチャプターBGMは El Reno Renardo の "Sanotes" でした。爆笑パワーメタルに乗せてお送りしたダンジョン攻略、いかがでしたでしょうか!
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【第三章 Soundtrack List】
・第十三話: El Reno Renardo - "Camino Moria"
・第十四話: El Reno Renardo - "Tutti Frutti Summer Love"
・第十四話(後編): El Reno Renardo - "Sanotes"
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ガラクタの山の奥に佇む最後の扉。果たしてその向こうには、本当に「本物の姫」が待っているのか、それとも更なるカオスが待っているのか!?
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Thank you for reading Chapter 15!
Min-jun's "Pathetic Song" skill encounters its absolute lower limit against a brainless, earless kitchen-utensil golem! With a 0% combat contribution and a masterclass in staying curled up on the floor, the party successfully clears the dungeon!
Today's soundtrack features "Sanotes" by El Reno Renardo.
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