20話 帰ってくる
「ミスリルって希少かと思ったけど、気軽に作れるほどあるんですねー」
「なにを言っておる。希少も希少、おいそれと手に入らんぞ」
「え……」
でもミスリル装備作ってくれるっていいませんでしたっけ?
と、思ってたら――
「なーに、そこらに転がっておる、今までミスリルで作ったモンを潰せば幾らでも素材はでてくる」
「なんか悪いですよ」
一度完成した作品をぶっ壊して素材にするとか言ってますが、本当にいいんだろうか。
「気にする必要はないぞ。なんせ使い手がない品々だったからな。今まで譲りたいと思う輩がおらんかった。だからこそ、お前さん方の装備として生まれ変われるなら、あいつらも本望じゃろう」
「なんかすみません」
「いーってことよ!」
本当に清々しいお爺さんだ。
ダン爺さんに、完成を期待していてくれと言われて後にする。
思ったより時間を潰せたし、冒険者ギルドにでも行ってみるかな。
「冒険者ギルドに行くか」
「おうともさ!」
いや、何キャラよ?
池田が何を目指してるのかわかりません。
冒険者ギルドに向かっている途中、ヘルプちゃんが帰ってきた。
『ただいま戻りました』
おかえり。
そのまま会話が終了してしばらく無言が続く。
『えーと……何も聞かないんですか?』
教えてくれるの?
『いえ、そこは話せないんですが……』
ならいいよ。
『気にならないんですか? こう言ったらなんですが、凄く怪しいと思うんですよ』
だねー。
でも、一番大事なことさえ問題ないなら大丈夫だし。
『一番大事なものですか?』
そうそう、ヘルプちゃんが一緒にいてさえいれば、そんな些細な不安なんて気にならないよ。
『マスター……大好き!』
いきなり抱き着こうとして、思いっきり体を素通りしてスカる。
過激な愛情表現ありがとうございます!
『くぅ……一刻も早く体を手に入れねば!』
どんな方法で体手に入れるつもりなんだろうか……。
『それで話は変わりますが、いない間の情報を共有するために、マスターの記憶にアクセスしてもよろしいでしょうか?』
全然問題ないよ。
『マスターの許可を確認しました。留守の間の記憶の照合を開始します……終了しました』
何か問題あったかな?
『いえ、問題のある行動はしていません。むしろ十分な収穫といっていいと思います。ミスリルの装備が手に入れば、相当なアドバンテージが得られるでしょう』
ならよかった。
これから冒険者ギルドに行くんだけど、それで問題ないよね?
『はい、大丈夫です』
よし向かうか……って、もうすぐ着くんですけどね。
そう思いながら、目の前に見えてくる冒険者ギルドの建物を見つめるのであった。




