21話 ギルドカード
「これが2人のギルドカードだ」
冒険者ギルドに到着すると、そのままギルドマスターの部屋に通されてギルドカードを渡される。
大きさはよくあるカードとか大差ないもので、名前が書かれているだけで他は特に特徴らしいものもない代物だ。
「紛失した場合はどうなりますか?」
「再発行だな。その場合は金がかかるから気をつけろ。と言っても、お前さん方なら何度再発行しても金には困らんだろうがな。それと落として拾われた場合も心配するな。今持ってもらったことで個人登録も完了している」
そう言ってギルドマスターが俺のギルドカードを持つと名前が消える。
「こんな風に持ち主以外が持つと名前が消える。前に名前を書いて使おうとした奴もいるが、誰が持っても名前がそのままだからすぐにバレる」
「それは便利ですね」
池田は「ほー」「へー」とか言いながら色んな角度からギルドカードを眺めている。
「大規模討伐は9日後に行われる。遭遇するであろう魔物はどれもランクは高くないと思われるが、一部強い個体が紛れていることもある。油断は命取りになるぞ」
「わかりました」
装備はいいとして、自分自身も鍛えていたほうがいいのかな。
『そうですね。経験を積めばそれだけ強くなれます』
ちなみにだけど、俺の今の強さってどれくらいなの?
お世辞とか全くなしで、率直な意見をお願い。
『なんでもありというなら中級魔族とも何とか張り合えると思います。ただ、周囲の目を気にして能力を隠してとなると、昨日戦った下級魔族にも勝てるかどうか……という感じです』
昨日の魔族は、あれで下級なのか……池田と2人がかりで凄い苦戦したんですけど……。
魔族やべーな。
『では今日から強くなるための訓練をいたしましょうか?』
だねー、死にたくないから生存率を上げていこう。
「では、大規模討伐まで自身を鍛えながら待つことにします」
「ほう、魔族を倒すほどの腕があるのに貪欲だな」
「昨日も言いましたが、あれは運がよかっただけですからね」
苦笑いを浮かべる。
「訓練いいね! 秘密特訓とかで超パワーアップとかする感じ!」
あー、もしかしなくても池田も訓練についてくる気だな。
ヘルプちゃん問題ない?
『ぶっころです! ……あっ、いえ、問題ありませんよ。公開できる風魔法を使っていくので、見られても不都合はありません』
ふむふむ。
「事前に予行演習とかやったりとかは……?」
「そういうのはねーな。良くも悪くも冒険者ってのは組織的な動きは苦手だ。パーティー単位で動くならまだいいが、大人数を自由に動かそうとすると、とたんに破綻しちまう自由人のあつまりよ。なので、パーティー単位でどこに配置して戦うとかくらいになるな」
「そうですか。ならどこに配置されるのか楽しみにしておきますね」
そう言って席を立つ。
「おう、期待しているぜ!」
「おう、任せておきなさい!」
池田がグッと親指を突き出している。
それにギルドマスターも笑顔で親指を突き出し返す。
お前ら仲いいな!
一階のホールに戻ると、マッチョさんが話しかけてきた。
「おう、色々と活躍したみてーだな。俺が苦労して準備したのがパーになっちまったが、まあ結果オーライだぜ」
「はあ、そうですか」
「早速クエストでも受けるつもりか? なら俺が色々と教えてやるぜ」
俺は社交辞令として残念そうな顔を作って断る。
「これから用事がありますので、これで失礼します」
「おうよ、特訓よ! 秘密特訓よ!」
池田お前はもう、一人でどっかで秘密特訓でもなんでもしてていいんだぞ……。
「ほう、そいつは興味があるな」
「まあ、秘密特訓なので秘密です」
付いてきたそうな目をしてたので、池田の言葉を拝借し先回りして断っておく。
「そいつは残念だ」
「ではこの辺で失礼します」
俺たちは冒険者ギルドを後にするのだった。




