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ヨトゥンは立ち上がると、傍に控える侍従<円卓の騎士>に誰何の声をかけた。
目にするたびに数と名前を変えるその集団の規模は今回は15人だった。
「誰か、ここへ」
ヨトゥンの周り300メートル四方に神話時代の宮殿が現れた。
絢爛たるその荘重は無敵の堅牢を兼備した城塞都市でもある。群青の地に灰の織糸で刺繍された竜の紋章が軍旗の中で蠢いた。
侍従の7番目、ウィルが現れて一礼、膝を折る。
「×××さま。戦のお時間にございます。」
ウィルは立ち上がると、神鉄で出来た霊剣に姿を変えた。
「ふむ。相手は誰だ?」
ウィルが表情のない顔で言った。
「世界序列第12位4層バルテイムにあるドルファルク共和国、大狼公アルトクラト率いる幻衛師団14000騎及び、序列7位8層アタテュルクの前イェルム帝国の残党ども、公式の所属なし。総員の規模は180000、構成は傭兵、市民兵、捕虜。8割は非戦闘員が占めています。先導者は天使です。」
そこまで聞いてヨトゥンは天井を見上げた。丸いドーム型の天井の一面に救世主と女神と槍に貫かれた逆さ吊りの男が描かれている。見慣れた宗教画だった。
(なるほど)
ヨトゥンは思案した。
(ここは第3層と言ったところか。ならば、今の俺の名はランス、絶大な力を持つ神帝と言ったところだ)
その場を取り巻く心象の景色がヨトゥンに告げていた。ここはまだ夢の中なのだ。
ヨトゥンは夢の見る夢の中で地に突き刺さった霊剣を引き抜いた。
「片腹痛い」
ヨトゥンの中で剣が巨大化し、刀身に光の神聖文字が浮かび上がった。
「3年で終わらせてくれる。この悪夢とともに、世界ごとな。」
ヨトゥンの手の中で剣の姿のウィルが笑った。
ヨトゥンが大剣を一振りすると次元が断裂し、宮殿を取り巻く夢の世界が終わりを迎えた。
眼下に立ち顕れたのは荒野の戦場だった。征野の喧騒がヨトゥンの心を望郷の念に満たした。戦いが始まった。




