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【完結】映画のようなワンシーンを。/美形(ヤンデレ系執着)×平凡(クズ系浮気性)  作者: ハタセ


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7/11

#3

「ひっ…うっ…ぐすっ…めっちゃよかったぁ…。最後のさぁ、ひっく、蓮司が告ったとこマジで良すぎ。やば心臓痛い…麻里も最後に蓮司が傍に居て本当に嬉しかったと思うもんっ…うーやばぁ…」

「あ、うん…そうだねぇ…やばぁ…」


 映画館から出てからも一緒に見に来た子が泣き止まなくてそれをひたすら慰めている。

 これもう今日はエッチとか無理そうだなと感じ、駅まで送るよと言って自宅に帰してあげた。俺紳士すぎて心臓痛い。

 これから他の子誘うのも怠いし、今日はもう俺も帰ろうかと思っていた時だった。

 家電量販店の前を通っていた時に、テレビに映った相手を見てしまいその足を止めてしまった。


『今日のゲストはなんと!今話題沸騰中の映画”恋時々嵐”の蓮司役で人気急上昇中の若手実力派俳優の結城 秋良(ユウキ アキラ)さんです!』


 司会者の紹介と同時にスタジオの端から登場した秋良がモニターへと映し出される。

 観覧席の観客の割れんばかりの拍手により出迎えられた秋良は、軽い会釈をしながら司会者に促された席へと腰を掛けた。

 もうすっかり芸能人オーラを見に纏った知り合いを目の当たりにし、本当に別世界の住人となってしまったんだなと実感する。

 つい4年前には俺の隣にいた人物は、俺を視界に捉える事もなく悠然と画面の中に鎮座していた。


 司会の人が、まずは俺が先程見て来た映画の話題に触れ、そして秋良の今の芸能活動について触れていく。

 スムーズなトークが進み、そして秋良の私生活の部分へと話が展開していった。

 流石ベテラン司会者だ。俳優や女優があまり自分から喋る事が苦手なタイプでも、この人のトークスキルなら相手が一言二言喋れば視聴者が理解できるような会話を展開していく。

 秋良はどちらかと言うと物静かなタイプで、俺たちが付き合っていた頃も自分から何かを話し出すことはあまりなかった。

 俺に対しても、傍に居られればそれでいいとでも言うかのように、俺がテレビやらゲームやら漫画に夢中になってる時は隣に座ってそれを静かに見ていた。俺が満足した時に「どうだった?」と話しかけて感想を聞いては優しく微笑んでいた。

 今思えば、俺から完全に蔑ろにされているのにも関わらず怒りもせず隣にいるだけの一体何が楽しかったのか理解ができない。

 秋良が感情を表す時は決まって俺が浮気した時くらいだった。

 怒って、泣いて、縋って「別れたくない」と言われ続けた。

 本当に一体俺なんかのどこに惚れてしまったんだコイツは…。

 でもまぁ、今のこの立ち位置が本来のお互いのあるべき場所なのかもしれない。

 俺は道端で有名人を画面越しに見るだけの一般人で、秋良は画面の中にいて一般人が手を伸ばしても冷たいガラスに触るだけの遠い遠い存在だ。

 決して実物には触れやしない。

 俺なんかに会ってしまったから秋良は少しだけ道を反れてしまったけれど、軌道修正はできたようだ。ちゃんと自分の人生と言う名のレールに戻れたのだろう。脱線したままにしておくには勿体ない逸材だった。


 そうこうしている内に話は進んでいき、今度は秋良の学生時代についての話になっていた。


『結城くんはそりゃもう学生時代モテたでしょう?この顔面を放っておくわけないもんね』


 人気若手俳優に対してはよく聞く質問だった。

 大体こういう時の返しと言うのは「そんな事ないですよ」と謙遜するか「全然モテなかったです」と否定しておいて好感度を上げるやり方をする俳優が多い。

 秋良の学生時代を一緒に過ごしている俺としては、番組を見ながらウンウンと首を縦に振って頷いていた。

 だってもう引くほどモテてたもんコイツ。そのお陰で俺はおこぼれにあり付けていたわけだけど。


『モテていたかどうかは…どうだったかな…?あまり覚えていませんね』


 お?秋良も例に漏れず否定して好感度を上げるやり方か?

 まぁこういうのって事務所から返答とか決められてる事も多いだろうしなぁ。こういう質問に対してはこういう返答をしなさいとか、事務所のマニュアルもあるだろうし。人気商売だからこそ失言は避けるよう教育もされている事だろう。


『覚えてないわけないでしょう~いや、逆に高嶺の花すぎて周りが近付けなかったやつかな?』


 司会者も流石上手い切り返し。これなら秋良に対して悪い印象を与える事もない。ベテラン司会者って凄いんだなと感心する。

 これでこの話題も終わるだろうと思っていた矢先、秋良がゆっくりと司会者を見据えて言い放った。


『僕ずっと好きな子がいたんですよ』

『へー!学生時代に?意外だな!結城くんの方が?』

『はい。僕がずっと片思いしてました』


 ん?

 んん?

 ちょっと待て?

 それ、一体誰の事言ってるんだコイツは?

 一体いつの頃の学生時代の話だ?

 小学の頃?中学の頃?まさか高校の頃とか言わねーよな?何なら幼稚園時代でもいいよこの際!

 初恋の相手は保母さんでしたなんてよく聞く話だもんねー!?


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