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【完結】映画のようなワンシーンを。/美形(ヤンデレ系執着)×平凡(クズ系浮気性)  作者: ハタセ


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別れた後は。

 それから一日経過して、秋良が俺と別れたことは学校中に知れ渡り、現在秋良がフリーだと言う事で女の子たちが一斉に秋良に告白し始めた。

 でも秋良は誰と付き合うでもなく、それから一か月後にこの学校から転校してしまった。

 風の噂によると、道端で大手プロダクションにスカウトされたらしく、そのまま了承したとの事だ。

 今の学校にいては芸能活動も育成もできないため、芸能人御用達の学校へと転入させられたらしい。その日は学校の約8割の女子が3割の男子が机に突っ伏して泣いていたと言う。

 謀らずしも秋良は自ら広い世界へと飛び立っていった。芸能界なんてどの世界よりも美男美女の宝庫だろう。きっと秋良はその中で自分に合った人を見つけて、恋して、結婚するのかもしれない。


「…良かったな。秋良」


 何を考えるよりも先にポロっと出たこの言葉は俺の本心だったのかもしれない。秋良は俺なんかに入れ込んで、人生台無しにする事なんてない。

 俺たちの人生はまだまだ全然長いんだ。今が一番この人を好きだと思っていても、いづれそれ以上の人が現れるかもしれない。

 まだ俺たちは十代で、この先に出会う人の数の方が多いんだ。だからこそ俺は秋良とは一緒に居られない。好きと言う気持ちにはなれなかったかもしれないけれど、それでもこんなゴミ屑のような俺なんかを選んでくれて嬉しかった気持ちはあった。


 俺だって、罪悪感が無かったわけじゃないんだ。秋良の人生を無駄にしている自覚くらいはあった。だから早く俺なんかに見切りをつけてほしかった。別れると匂わせて、何度秋良に泣かれたか分からない。何度怒られたか分からない。何度好きだと真剣に言われたか分からない。その度にこんな可哀想な奴はいないと思った。

 俺じゃなければ良かったのに。ちゃんと秋良を好きになってくれる人を選ぶべきなんだと。

 今度こそ、秋良には良い人を選んでもらいたい。まぁ俺よりクズを捕まえる方が難しいか。そう自嘲気味に笑って、秋良が少しだけ載っているファッション雑誌を棚に戻して俺は「バイバイ」と告げた。


 それから俺は大学に入ってそれなりに有意義な生活を送っていた。

 Fランだけど周りは同じようなバカばっかだし、自分と同レベルの奴らと遊んでるのは楽しかった。高校の時はお洒落とかあんまできなかったから、大学に入った途端に俺は髪を金髪に染めてピアスも開けた。身だしなみをそれなりに小奇麗にして、持ち前のコミュ力と相手を誉めちぎる戦法で押せ押せで口説くやり方をするとそれなりにモテる事も分かった。

 でもやっぱり俺は人を好きになる事が出来なかった。キスしてセックスしてそれで終わり。付き合っても三ヶ月も持たない。友人からはまた別れたのかと呆れられるけどもうそれもそれでいいかとすら思っていた。


「やまとぉ~あたしこの映画見に行きたいんだよねぇ」

「ん~?映画?」

「そ!今めっちゃ流行っててさぁ~。んで今1番キてるイケメン俳優ってやつ?に載ってた人が出てんだって。恋愛映画らしいんだけどユーコとミナが見に行ってめっちゃ泣いたって言っててね?だから一緒に見に行かね?」

「お前それイケメン見たいだけじゃん。まぁいいけどさぁ」

「やった!じゃあ今日の講義終わったら一緒行こ!」

「はいはーい」


 映画には全く興味はないけど、この子とは身体の相性良いし映画見終わったら一発ヤれるかもしれないと思って了承した。

 見た目はケバいけどまぁまぁ可愛いし、お互いに下半身ゆるゆるだから欲求不満の解消には都合が良かった。こういうのをセフレって言うのかもしれない。

 あれ以来、秋良以外で俺も特定の相手を見つけられないままで居た。今もずっと。


「…嘘だろ聞いてねーって」

「なに?なんか言った?」

「あ、や…別に」


 映画館に行くとでかでかと今日見に来た映画のポスターが飾られていた。その中心に居たのは見目麗しい男女の二人でその男役が、なんと秋良だった。

 どうやらこの映画が初主演作だと言う。

 まさか元恋人の映画を見に来ることになるなんて、こんな貴重な経験するのなんて極一部しかいないはずなのにその一部になってしまった。

 ポスターに映し出されている秋良を見ると、高校の時よりもっとイケメン度が増しているような気がした。

 そりゃそうか、もうだってコイツ芸能人なんだよな。しかも今や飛ぶ鳥を落とす勢いのある人気俳優らしい。俺とじゃ天と地ほどの差だ。

 後悔とか、嫉妬とか不思議とそんな気持ちは湧かなかった。なんて言うか…知っているのに知らない人みたいなそんな感覚。

 一緒にいた時期があるのに、それすら幻だったんじゃ?と思えてしまうような感覚かもしれない。今はもう別世界の人。遠い所で俺なんて微塵も知らない所で活躍している人。もう、赤の他人。そう感じた。


 連絡を取ろうと思えば取れるのかもしれないけれど、俺はそうしようとは思わなかった。

 隣でキャーキャー騒いでいる女の子を見て、彼女は俺がこの俳優と知り合いだって事を知ったらどう思うのだろうと考えてやめた。

 言ったところでどうなるわけでもない。

 ただ、俺と秋良は過去に少しだけ人生が交わっただけだ。そう、ただそれだけだ。


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