#4
いや、だって、めっちゃ可愛いんだよ?
目なんてクリクリーってしてて超アーモンド型だし、唇プルプルだし髪の毛も肩までの内巻きふわふわカールで激似合ってるし
身体もスラーとしてるのに出てるとこはちゃーんと出てるし、さすが1年で断トツ人気の女子だよね。納得の容姿だよ。
一回やりてーなーやらしてくんないかなー?って思うのは仕方ないだろ?男として当然の思考だよね?むしろそう思わないほーが失礼だよね?
ああいいなぁ、あーんな子と付き合えたら毎日楽しいんだろうなぁ。
彼氏とか居るのかなぁ?居なかったらいいなぁ。チャンス到来しないかなぁ。
「…ト!―大和ッ!!」
「うわ!ハイッ!」
いかんいかん、また見惚れてしまっていた。
けど悪いのは俺じゃないよ。魅力的なアイドルちゃんが悪いんだ。
「……………もう、限界だ」
「ん?何が?」
あれ?何か秋良の様子がおかしいんですけど?
なに?進化でもすんの?
「別れよう、大和」
「え……?」
え?
え!?
ゑ!??
今、別れるって言った?
あの秋良が!?
言ったよね!?
あの秋良が!?!?
「これ以上付き合っててもお前、俺のことなんて見てくんないだろ?」
「え?…ああ、うん。そーかも?」
否定しなかったら秋良の眉間の皺がより一層深さを増した。
「俺と一緒じゃなくても大和は変わらないんだな」
「まぁ、人間そんなすぐには変われないもんだしね」
「変われなかったんじゃねーだろ。変わろうとしなかったんだ。最初から最後まで、俺だけがお前のことが好きだった」
んなことないんだけどなー。
秋良のこと恋愛的には好きにはならなかったけど、嫌いではなかったし。
でも別れてくれんならそれに超したことはない。
「んー、でも秋良居ないと他の子が寄って来なくなっちゃうなぁ、それは嫌だなぁ」
ついうっかりで本音を声に出してしまった。
なんだよ俺のお茶目さん!
その言葉を聞いた秋良は横目で俺を見つめ、暫くして溜息を吐いて視線を逸らした。
「…皮肉なもんだよな。俺が大和の傍に居る時は大和は浮気三昧で、俺が傍に居ないだけで大和は誰のものにもならない。俺がどんなに望んでも大和を手に入れることなんて出来ないのに、俺が大和を欲しがらない限りは誰も大和には近付かないなんて……こんなの、拷問だ」
俺は死ぬほどお前が欲しいのに、その望みだけが叶わないと秋良は静かに泣いた。
「…ごめん、ごめんな秋良。俺、正直お前のそーゆー気持ち、分かんない。誰かを本気で欲しいって思ったことなんて一度もねーもん。一発やれれば満足しちゃうし、俺のもんにならなくてもいーやって思っちゃう。だからさ、秋良はもっとさ、もっと秋良のこと大事にしてくれる相手を探すほーがいいよ。俺なんかとは別れて正解なんだし。秋良いい奴だし、顔もいいから相手なんてすぐに見つかるよ」
秋良と別れられる嬉しさのあまりそんな言葉を並べていた。自分でも最低だって思うけど。
まぁ反省なんてしないけど。
「…要らない…大和以外で大切な相手なんて一生現れない。そんな事、俺が一番よく分かってる」
「んな事ないって…世界は広いんだぞ?俺らみたいな学生はこんな学校って言う狭い世界で生活してるから気付かないだけなんだ」
「じゃあ、俺が広い世界に出て…それでもお前だけだって思ったら、どうする?」
「そんな事考えても仕方ないっしょ?つかありえねーよ。そもそもお前が何で俺なんかの事がそんなに好きなのかも分かんねーけどさ、あー、まーさ、それは好みとかあるからかもしれないから…なんつーか、やっぱ学校だけで見てる世界だけの話だと思うんだよ。俺が好みってんなら広い世界に出たら俺以上に秋良好みの相手なんていくらでもいると思うぞ?」
そもそもこんな平凡顔なんてそっこら中に転がっている。謂わば俺なんてもんはその辺の道端に転がる石ころのようなものだ。
秋良はその石の中でも最高峰のダイヤみたいなものだ。本来はどこかの宝石店とか美術館とかのショーケースに入れられて、飾られて大勢の人に魅力を振りまくような立場だ。
一緒に並んでいる方が不釣り合いなんだよ俺たちは。だったらもっと見目の良い石を秋良は探した方がいい。俺は自分で自覚があるくらい性格と下半身が悪いし。秋良には絶対に他の奴がいい。そこだけは俺の唯一の良心かもしれない。
俺なんかと付き合わない方が秋良のためなんだ。
「…本当にそうか?これ以上の気持ちがあるって?大和を好きだって思う俺の今の気持ち以上の人に出会えるって?」
「だからそれは、出てみねーと分かんないって」
「分かった。でも、大和。これだけは覚えておいて。もし、…もし大和以上に好きな相手を見つけられなかったその時は、ちゃんと責任取ってもらう」
「はいはい。取りますよー責任でも何でも」
「その言葉、絶対に忘れんじゃねーぞ大和」
そして俺たちはその言葉を最後に別れた。
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