天界の聖なる裏側と、神々のスパチャ合戦
「ハッハッハ! 無駄だプロデューサーくん! 我ら天界の使徒に隠し事など存在するはずが――」
余裕の笑みを浮かべるミカエルに向かって、エンマが漆黒の『閻魔帳』をドカンと叩きつけた。
「――『大天使ミカエル』! 100年前、天界の聖歌隊のオーディションで緊張のあまり【歌詞を全部忘れて口パクで乗り切った】履歴を発見したぞ!!」
『……は?』
「さらに! 聖なる宝物庫の高級神酒を夜中にこっそり盗み飲みし、バレそうになって【『悪魔の仕業です』と偽りの報告書を出した】罪を記録!!」
『な、なぜそれを知っているぁぁぁぁぁっ!?』
ミカエルの神聖な顔面が瞬時に蒼白へ変わる!
『wwwwwwwwwwwwww』
『ミカエル様、口パク疑惑キターーー!!』
『罪を悪魔になすりつけてて草www』
『全然清廉潔白じゃなくてワロタ』
『【徳(10万ポイント)】もっとミカエルの恥ずかしい過去教えて!!』
天界のリスナーたちから、桁違いの投げ銭(徳スパチャ)が爆炎のように流れてくる!
「おいミカエル、天界の『徳』スパチャってマジで地上円に換金できるんだな。1ポイント=10円換算か?」
「れ、レン! 天界の投げ銭で我が口座の数字が恐ろしい勢いで増えておるぞ!?」
「バ、バカな……! 私の聖なるイメージが……! 止まれ! 拡散するなリスナーども!」
ミカエルが取り乱してカメラドローンを掴もうとするが、俺はそいつをすれすれでかわし、カメラに向かって不敵に言い放った。
「天界のリスナーの皆さん! ミカエル様だけではありません! 今なら【天界の全神々・天使の黒歴史】をリアルタイムで開示します! スパチャ(徳)を投げれば投げるほど、お目当ての神様の秘密が暴かれますよ!」
『【徳(50万ポイント)】ゼウス様の浮気現場の証拠見せて!!』
『【徳(100万ポイント)】戦神アレスが昔泣いて逃げ出した事件の真相を!!』
『【徳(200万ポイント)】ミカエルのポエム帳を朗読してください!!』
「任せるのじゃー! ゼウスの裏口座! アレスの黒歴史! そしてミカエルが毎晩鏡の前で練習している【決めポーズとキザなセリフ集】を今から朗読するぞ!!」
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
ミカエルが頭を抱えて玉座の前に膝をつく。
『同接:天界&地上あわせて【300万人】突破!!』
『獲得スパチャ:天界の徳あわせて【約12億円相当】!!』
「ふははは! 感謝するぞミカエル! お主のおかげで天界の投げ銭システムが解放され、我が『地獄の小遣い』が国家予算レベルになったわ!!」
「プロデューサーとして礼を言うよ、ミカエル様。最高の『ゲスト』だったぜ」
『お、覚えていろよ地獄の配信者どもぉぉぉ! 涙目で天界に逃げ帰るミカエルであった……』
光の渦とともに、ボロボロになったミカエルが天界へと逃げ帰っていく。
後に残されたのは、世界(と天界)のトレンドを独占した破格の配信結果と、呆然とするほどの巨額なスパチャの山だった。
「レン! 今夜は天界の高級神酒と、地上の特選黒毛和牛で大宴会じゃあー!」
「ああ。……だがエンマ、覚悟しておけよ。天界の最高幹部を公開処刑したんだ。次は『天界の本気』が攻めてくるぞ」
「ぬふふ! 望むところじゃ! 誰が来ようと、我が『地獄の裏帳簿』とプロデューサーの智略で、全員スパチャの肥料にしてくれるわ!」
地上、地獄、そして天界――三界を巻き込んだ、俺たちの『バズ無双』は、いよいよ神々の領域へと突入していくのだった。




