【悲報】大手ギルド、地獄の配信に『宣戦布告』してしまう
「ふははは! ケーキじゃ! 寿司じゃ! 高級焼肉の食べ比べセットじゃあー!」
配信終了後の隠し部屋。
テーブルの上には、俺が地上から緊急ドローン配達で取り寄せた豪華絢爛な料理がズラリと並んでいた。
エンマは振袖の袖をぶんぶん振り回しながら、口いっぱいにショートケーキを頬張っている。
「うむ! 人間の『甘味』というのは恐ろしいのう……地獄の針山で悶絶する亡者どもに見せてやりたい美味さじゃ!」
「行儀が悪いぞ、大王様。……しかし、凄まじい反響だな」
俺は端末の画面を操作しながら息を吐いた。
昨日のゴウ(炎上系探索者)の暴露&撃破シーンが、切り抜き職人たちによってSNSに拡散され、大バズり。
ちゃんねる登録者数:10人 ➔ 12万人
昨日獲得したスパチャ総額:約380万円
「過疎配信から、一夜にして銀盾(10万人超え)か。これならお前のガチャ代どころか、俺の装備更新も余裕だな」
「ぬふふ、余は満足じゃ! これなら毎日ケーキが食べられるぞ!」
平和な宴が続くかと思われた――その時。
俺の端末に、一通の『公式メッセージ』が届いた。
差出人は、国内最大手の探索者ギルド――『アポロン』。
「……チッ。やっぱり噛みついてきたか」
「なんじゃレン? 面白くない顔をして」
「『アポロン』だ。昨日俺たちが成敗したゴウが所属してたギルドだよ。……要約すると『うちのギルドの名誉を傷つけた。今すぐ謝罪動画を上げ、配信権限と昨日のスパチャ収益を全額譲渡しろ。拒否すればギルドの全戦力でお前らを潰す』だってさ」
あまりに身勝手な脅迫文。
アポロンは膨大な資金力と数の暴力で、ダンジョンの権力を握る悪徳巨大ギルドだ。元パーティーに俺を切り捨てさせたのも、裏で手を回していたアポロンの幹部だった。
「ぬ……? 余のケーキ代を奪おうというのか……? 許さん……絶対に許さんぞ!!」
エンマの瞳が、血のような赤に発光した。
部屋全体の温度がグッと下がり、壁がバリバリと凍りついていく。
「落ち着けエンマ。相手は人数も影響力もケタ違いだ。普通に喧嘩しても『悪者はどっちか』の言論戦で押し潰される」
「む……では、どうするのじゃ? 黙ってケーキ代を渡すのか……?」
「まさか」
俺は口角を釣り上げ、カメラドローンを起動した。
「向こうから巨大な『燃えやすいネタ』が転がり込んできたんだ。……生配信で『公開レスバ(裁判)』を開催する」
◇
【緊急生配信:大手ギルド『アポロン』様からの脅迫状(全原文)をそのまま公開してみたwww】
配信を開始した瞬間、同接カウンターが爆発的な勢いで跳ね上がった。
『1万人……5万人……10万人到達!?』
『緊急配信きたあああ!』
『タイトルヤバすぎて草』
『アポロンを敵に回す気か!?』
画面の中央には、堂々と玉座に座るエンマと、隣に立つ俺。
「リスナーの皆さん、こんばんは。先ほど、大手ギルド『アポロン』様から素敵なお手紙をいただいたので、みんなで共有(晒し)したいと思います」
俺は画面上に、アポロンから届いた脅迫メールのスクショをドカンと表示させた。
『えぇ……』
『ガチの脅迫状で草』
『収益全額渡せは強欲すぎて草』
『アポロンって裏でヤバい噂絶えないよね』
「アポロンの幹部さん、見てますか? 貴方方は『名誉毀損』とおっしゃいますが……そちらのギルドのトップ、そして幹部の方々の『閻魔帳(地獄の裏帳簿)』、今ここでめくってもよろしいでしょうか?」
エンマがニヤリと笑い、漆黒の閻魔帳をパラリと開く。
「者共! スパチャを投げる準備はできているか!? この巨大ギルドが隠してきた『ダンジョン内での捏造』『裏金口座』『ライバルギルドへの妨害工作』……1文字1,000円で読み上げてやるぞ!!」
『【10,000円】全暴露行けええええ!!』
『【50,000円】アポロンの闇を暴け!!』
『【100,000円】高級ケーキ100個分投げるから全部喋れ!!』
画面を埋め尽くす赤スパ(最高額投げ銭)の嵐!
その瞬間、アポロンの公式アカウントからコメントが叩き込まれた。
『【アポロン公式】:ふざけるな! デタラメを喋るなら今すぐ刺客を送り込んで貴様らを消す!!』
「あ、自白しちゃったww」
「言質取れたぞー!」
『自白草wwwww』
『公式アカウントで脅迫すなwww』
『同接20万人突破ァッ!!』
「さあエンマ! 視聴者からの熱いお供え(スパチャ)に応えて、巨大悪徳ギルドに地獄の審判を下すぞ!」
「うむ! 悪党どもの裏口座、すべて公表して破産させてやるのじゃあー!」
巨大ギルド対、地獄の王&プロデューサー。
世界中を巻き込んだ、前代未聞の『炎上裁判バトル』の火蓋が落とされた!




