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世界様の運命の相手は皇帝陛下でした  作者: ユミグ


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9


神殿に戻った私はシェフィールドがどこにいるか魂を探り、そこまで転移した。


「うおっ!?」

「大丈夫?怪我はしてない?」


無理やり屈ませておでこにおでこを当てて体内を探ってみるけど、怪我はないようで安心した。


「いや、こっちの台詞!」

「うん?」

「大丈夫だったか?」

「うん、花を咲かせてきたよ」


心配そうな目を見て、くすりと笑みが零れた。


「大丈夫」

「それならいいんだ…」


手を伸ばすと屈んでくれたから頭を撫でる。

可愛い我が子に心配させちゃったみたい。


「シェフィールドには傷一つつけさせない」

「そんなにヤワじゃねぇよ」


人間は簡単に死ぬ。

私から見たら“ヤワ”に見えるけど、あの子の加護があるから大事にはならないだろう。


「そうだ、寿命が最初からないモノを作るにはどうしたらいいと思う?」

「難しいな…物だっていつかは劣化する」


そうだよねぇ。

魔法陣だって使い終わると消える。

紙だって空間収納に入れておかなければ風化する。


でも、出来るはずだ。


だって私が存在している。

神々が存在している。

寿命がない者がいるのは確か。


「ああ…!こんなところで飲みださない!」

「ん、戻る」

「そうしてください」


廊下でいつものように座り考え込んでいるとお叱りが届いた。

部屋に戻り、定位置になっているソファに座ろうとしたけどやめた。

ラグにあぐらをかいて座り、酒を煽る。


精霊の魂のようなカケラ、きっとあれが問題だ。

魂じゃないから移動ができないと思ってみよう。

魂を与えることは無理。

それならば今の姿で新しい世界に運び出さなければならない。

実験がしてみたいけど、世界から離れた瞬間消滅するのだから軽々しく実験もできない。

カケラを保護する?

世界の魔力を纏わせたカケラなら移動できる…ううん、それは駄目。

あちらに着いた時、世界の魔力は消える。

そうしたら精霊までも消えてしまうだろう。


消滅まで数十年しかない。


世界の移動か、寿命のない世界を創る。


それとも全く異なるやり方で回避はできるのだろうか。





「もう!聖女様!」

「せめて散歩くらいしましょう」

「ん?」


カーラとシェフィールドが部屋に入ってきた。

最近はカーラだけが部屋に入ってきたのに珍しいなと思っていたら叱られた。


「飲んでない時はありませんの!?」

「体壊しますって」


あれから何日経ったか分からないけど、痺れを切らした二人に手を引っ張られ強制的に立ち上がった。


「お酒はしばらく禁止ですわ!」

「綺麗な花畑になってるんですよ?せめて歩きたいとか思わないんですか」


適度な食事と適度な飲酒量、適度な運動について懇々とお説教されてます。


「私は大丈夫だよ?」

「その言葉だけは信用なりませんわ」

「俺、毎日歩いてるんですよ。いい気分転換になりますよ」


背中を押されて庭に出る。

二人が後ろを着いて回るらしく、1時間は歩けと言われた。


色々考えたけど、この世界の寿命をなくす方がいい気がする。

思い付いた実験をする時、精霊を使うのではなく世界を使った実験の方が害は少ない。


「もう!」

「聖女様!」

「ん?」

「「座らない!!」」


どうやら座ってはいけないらしい。

仕方ないから腰を上げてまた歩き出すけど、考え事をしていると足が止まる。


「そうだわ、街歩きでもしませんか?」

「どうして?」

「俺もその方がいいと思う、聖女様部屋に閉じこもってばかりだし」


街歩きかぁ…。

いつも我が子たちを連れて人間世界に降り立ったりするけど、神聖なオーラが邪魔してまともに物を買えなかったりするんだよね。

人間に案内してもらえばそんなことはなさそう。


「やめとく」


でもそれは今じゃない。

今するべきことは世界を考えることだ。


「我の誘いも受けぬか」


後ろを振り向くとコンラッドが居た。


「今はいいや」

「そう言うな、我に付き合ってくれ」


カーラとシェフィールドがしゃがんでる。

どうしたんだろう?


「なに、神殿とあまり縁がない人生でな。この際だ、案内してくれ」

「神殿内のことなら詳しくないよ?部屋に居るだけだし」

「この美しい庭なら案内できるだろう?」


満開の花が咲き乱れるここなら私でも案内できるのかな?


「このように美しいとは思わなんだ」


辺り一面の花畑を眺めて目を細めてる。

私の横に来たコンラッドはゆっくりと歩みを進めるので、私も自然と歩き出す。


「初めて葉のあるサラダを食べた」

「美味しかった?」

「ああ、実りとは素晴らしいものだな」


いつもそんな顔をしてればいいのに。


「部屋にばかりいて息が詰まらぬか」

「そんな気持ちになったことはないかな」


居場所はいつだってキラキラと輝いている。


「ここに神が来たのか」


ここじゃないかな?もう少し手前の方だったよ。


「どのようなお姿だ」

「んー、宴会にいると端の方にいつも座るよ。たまに私の元に来ては世界を生み出した感謝を伝えてくれるの。最近はあまり見かけなかったけど、友達と遊んでるのは楽しそう」

「なにを言うておる」

「あの子のことだよ?」

「はぐらかしておるのか」


そんなことはしてない。

ただ事実を伝えただけ。


「なにを隠し立てしたいのかは分からぬが、偽りはいつか崩れるぞ」

「なにも隠してないよ。偽りを持つ人がいるならば、偽りを貫き通せばそれが現実になる」

「…」


偽ることも悪い事じゃない。

どう偽るかが大切だと私は思うよ。


「その現実に巻き込まれる方の身にもなれ」

「それは偽りだと気付いている人の言い方だね」

「偽りでないと言うのか」

「なんのことだろ?私は嘘ついてないよ」


制服を着た人達が随分と多い気がする。


「我も嘘だとは思えない」


見上げると凛々しい表情が見えた。


「だがそれは我の気持ちだ」


まるで真意を探っているような目。


「お前が嘘をつく人間に思えなくてな」


コンラッドは全て勘違いしている。

私が人間という勘違いも、運命だということも、私の目的も。

どう伝えたら分かってくれるんだろう。

どう行動したら理解してもらえるんだろう。


果たして私は信じてもらいたいのかな。


「どうやら庭はここまでらしい」


私でも案内ができたみたい。


「お前の顔を見に来ただけ」


風が止んだ。


「そう、言えたら良かったがな」


静寂が訪れ、花の匂いがやけに感じ取れる。


「聖女は国預かりとした」


コンラッドがそう言うと、私の周りを制服を着た人達が囲った。


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