表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界様の運命の相手は皇帝陛下でした  作者: ユミグ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/15

6


「………またですわ」


ため息をつきながらカーラが部屋に入ってきた。


「もう5日目ですわ」

「そうなんだ」

「そのようにつまみばかり食べては体を壊しますよ」


いつものように宴会にいるように食事を置いて、お酒を飲んでる姿は苦言を呈したくなるらしい。


「こちらの食事は召し上がりませんの?」

「だって美味しくないんだもん」


この世界に来た次の日に出された食事はやっぱり美味しくなかった。


「サラダだけでも召し上がってください。聖女様が芽吹かせた葉から採れた物なんですよ」

「ん、食べる」


サラダだけソファの前にあるテーブルに置いてくれた。

一口食べると美味しくて頬が緩む。


「きちんと眠っておりますの?」


精霊をどうにかして新しい世界に移動できないかと今は考えている。

だが考えは先に進まず、こうしてこの部屋のソファから一歩も動いていない。


「どうしたらそこに“ある”と錯覚できる?」

「そんなの簡単ですわ、思い込めばいいじゃありませんか」


思い込みで精霊に魂があると世界を騙すことはできないだろう。

魂を与えることはできるか。

答えは否。

魂も勝手に生み出てくる。

それを創り上げることは………いや、分からない。

やったことがないだけで、やってみる価値はあるかも。


「聖女様!」


窓から飛び降りて庭に出る。

杖を出して土に魔法陣を構築していく。

あれ?でも、魔法で無から有は生み出せない。

となると、私だけが持っている力、無から有の力で魂を生み出せばいいんじゃない?


ドガアアアアアアアアアン!!!


「…やっちゃった」


魂を生み出そうとしたら世界に一つ、大きな雷が落ちた。

世界が怒っている証拠だ。

このまま魂を生み出そうとすれば世界が崩れる。


「はぁっ、はぁっ、聖女様!外に出るならきちんと出口から出てくださいませ!」

「はあい」

「それにしても大きな雷でしたね、雨が降るかもしれませんから部屋に戻りましょう」

「雨は降らないよ」


世界が怒った結果、魂を生成するとなると世界が壊れてしまう。

それなら世界を変えてしまえばいいんじゃない?


「ちょっと行って来るね」

「え?どちらに──」


いつか消滅を嫌がる神の為になにも生まれない世界を創り上げていた。

その世界に移動した。

木々も動物も人間もいない、あるのは日の光だけ。


ここで魂を生成してみよう。


手のひらを上にして手の中に魂を生み出すイメージをする。


ドガアアアアアアアアアン!!!


雷が降る。


ドンッッッ!!!


大地が揺れる。


バンッッ!!


世界が崩壊していく。


「あ」


駄目だ。


世界の揺れが他世界にまで伝わった。

天界が揺れている。


うーん……魂を創り上げることはできない。

正確には出来る“かも”しれないけれど、犠牲が過ぎる。

一つの魂を創ってしまえば全ての世界が崩壊するだろう。


「きゃっ!」

「ただいま」


魂を創る以外を考えなければ駄目だ。


「一体どちらに…どうやって消えたのです?」

「ん?シュンッ!って」

「………戻りますわよ」

「はあい」


庭から直接バルコニーに戻るのは駄目らしく、カーラの言う通り入り口に向かう。

入り口付近を見ると誰かが口論してる。


「謀ってなどいない!」

「ならば呼んでみせろ」

「友達を利用する訳ないだろ!」


どうやらシェフィールドのようだ。


「どうしたの?」

「聖女様はお部屋に!カーラ!」

「ええ、分かりましたわ」


前見た制服の人がシェフィールドを拘束している。


「どうしたのって聞いているの。答えなさい」


私が声を出すと一斉に後退った。


「シェフィールド」

「は、はい…!」

「どうしたの?」

「……ディオニュソスと友達なのは嘘だろうと問いただされておりました」


あの子と友達なのが嘘?


「なにを言ってるの?あの子とシェフィールドは友達だよ」

「神殿は戯言ばかりだ」

「ぐあっ!」


シェフィールドの腕を捻ったのか苦しそうな声を上げた。


「離しなさい」

「はっ!偽物聖女が誰に物を言っている」


嘘はついていないけど、嘘つきってそんなに悪いことなのかな?


「離しなさいと──」


拘束している人間たちに手を翳す。


「言っているでしょう」


ドシンッ!


吹き飛ぶように人間が尻餅をついた。


「なにをした!?」


私に触れようとするから躊躇なく手を翳し、制服を着ている者達を吹き飛ばした。


「シェフィールドは私の大切な子よ。傷一つつけたら…」


シェフィールドを守るように立つ。


「殺す」


我が子を痛めつけられて黙っていられる親などいない。


「次この子に近付いてみなさい、骨を折るところから始めてあげる」


シェフィールドの手を取って神殿の中に入った。


「ありがとう」

「今のはなに?これからもこんなことが起こるの?」

「多分…」


嘘つきじゃない証明をしなければシェフィールドが傷付くかもしれない。

あの子を呼べば早いんだろうけれど、シェフィールドが言った「友達を利用しない」を尊重したい。


「とりあえず花を咲かせましょう」

「……助かる」


私が出来ることといえば、花を咲かせる以外に思い浮かばない。


「カーラはシェフィールドについてなさい」

「かしこまりました」


神殿の外に出ると未だに蹲っている人間もいた。


「コンラッドの元に案内して」

「皇帝陛下を名で呼ぶなど…!」

「花を咲かせる。それでいいでしょ」


約束を取り付けなければならない。


二度とシェフィールドを傷付けないようにと。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ