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世界様の運命の相手は皇帝陛下でした  作者: ユミグ


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白を基調とした城内と同じ室内は所々に金の模様が入っている。

ラグはなく、大きなソファがある。色はベージュ。

暖炉もなく、火を眺めたい時などは一体どうしたらいいんだろう。

クッションはあるけれど、数が足りない。


コト…


誰かが静かに置いた紅茶は摘み方が下手なのか、いい茶葉なのに味と風味が苦い。

色々と気になってしまうのはコンラッドが誂えたことへの反抗じゃない。

ただ、気に入らないだけだ。


「預言者様?」


ソファから立ち上がり、ソファを持ち上げた。


「預言者様!」


ガシャアアアアン!!


そして思いきり、窓ガラスに放り投げ地面にまで落ちていった。

ソファの次はテーブル。

棚もいらない。

全部外へ落とした。


だって気に入らないんだもん。


壁に手を当て、色味をターコイズブルーに変えて手持ちのラグとソファ、テーブルを置いた。


「邪魔だったから捨てておいたよ」


紅茶を淹れた人にそう伝えながらソファに座り、クッションをお腹辺りで持つ。

お酒を手に持ち、思考の渦に落ちる。


考えろ。

考えなくちゃ駄目だ。


消滅まで僅かなんだから。


ごちゃごちゃな心は仕舞え。


寿命のない世界を生み出したい。

それは一体どうしたら出来る?

神々は勝手に生まれ出る、世界も。

その理論は分かっていない。

分かれば答えに近づくはずだ。

私が創れるのは寿命ある世界。

無から有の力でも寿命はある。

だが、布はどうだろう。

初めの頃に作ったドレスを取り出してみるけれど、劣化などはしていないし消滅もしていない。

ならば世界だって………世界は命あるモノ。

世界に命を授けなければいい?

だがどうやって?


どうしたら命を授けないことができる?






「食事をしていないと聞いた」


コンラッドが無遠慮に部屋へと入ってきた。


「もう4日だ」


ソファまで来たコンラッドは私の手から酒を取った。


「食せ」


新しい酒を取り出して新しいグラスに酒を注ぐ。


「反抗のつもりか?」

「食べなくても平気だよ」

「駄目だ」


どうしてだろう?

私の言葉が通じていない気がする。


「眠っておるのか」

「寝てないよ」


この世界にきてから寝たことなんてない。


「今日は夜会だ。体調を整えなければ倒れるぞ」

「なんだか話をしたくなくなっちゃった」

「…」


話しても分かってもらえない。

理解してもらえない。

私の言葉が宙に浮いているよう。


「出ていろ」


部屋に必ず居る人に声をかけている。

その人が出て行くと私の前でしゃがんだ。


「怒りは最もだ」

「怒ってないよ」

「ならば食え」

「食べたら怒ってないことになるの?」

「我にとってはな」

「分かった」


怒っていない証明をしたくてつまみを出して口に放り込んだ。


「…我は──」

「もう出て行ってくれる?考えなくちゃいけないことがあるの」

「………エスコートは我慢してくれ」

「?」


立ち上がったコンラッドはすぐに出て行った。


「お召替えをなさいましょう」

「いらないよ」

「いいえ、しなければなりません」

「どうして?」

「預言者様のお披露目がこの後ございます。ドレスに着替えて頂きます」


どうしてかため息をつきたくなった。

立ち上がると服を脱がしていくから気にせず消滅について考えた。






「お綺麗ですよ」

「そうかな?可愛くないドレスだね」

「…」


黒のドレスは所々、金の刺繍がしてある。

足元があまりにもふわふわとしていて動きづらい。

これなら手持ちのドレスの方がいい。


「参りましょう」


女に着いて部屋から出ると制服を着た人達が扉前に立っていた。

そのまま着いて来るらしく、私の後ろを歩いている。

しばらく歩いていると扉前で立っているコンラッドが見えた。


「肘に手を乗せろ」

「どうして?」

「エスコートだ」

「しなくちゃ駄目なの?」

「…ああ」


コンラッドの肘を軽く摘むと扉が開いた。


その先にはドレスや堅苦しい服を着ている人達が跪いて首を垂れていた。

その真ん中を歩いている私たちの歩みは異なる。

コンラッドに着いて行くように足を速める。

段差の上にある椅子の前に着くとコンラッドが私の手を掴んだ。

なにをするんだと見ていたら肘から離された。

そしてコンラッドだけが椅子に座った。


「此度、預言の者が神殿に現れた」


触れた手は熱かった。


「同時に我の運命でもある」


ぬくもりが消えない。


「今は客人だが、丁重にもてなしている」


触れた箇所が気になって手で擦る。


「臣下らにも見習って欲しいものだ」


はっ!とあちらこちらから声が上がり、思わず体が跳ねた。


「預言者が言うには今、世界に危機が訪れている。その危機を回避する為、他世界からやってきた彼女には実らせる能力もある」


あの大木は今もそよそよと葉を揺らしているのだろうか。


「その力をもって、我が国の為に動いてもらう」


そうだった。

大木に腰を下ろしてまったりしたかったんだった。


「預言者よ」


顔を伏せている私はコンラッドがどんな顔をしているのか分からない。


「国の為にその力を示せ」


パチパチパチと人間達が手を叩く。


なんだかお風呂に入りたくなってきたなぁ。


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