第三章・第12話
【絶対的絶望】
黒の玉座の間。
ノクスが、一歩踏み出しただけで――
空気が、砕けた。
ドン……!
見えない圧力が、
Rたちを地面に叩きつける。
「……ぐ……!」
ユナが歯を食いしばる。
「……こんなの……反則……」
カイが走る。
「……スピードで――」
だが。
ノクスは、振り向きもせず――
腕を、振った。
次の瞬間、
カイは壁に叩きつけられていた。
「……速さも……意味がない」
ジンが斬りかかる。
「……なら、剣で――!」
剣は――
ノクスの“指”で、止められた。
「……軽い」
指が、弾かれる。
ジンは、宙を舞った。
「……ジン!!」
ユナが叫ぶ。
クロウが、前に出る。
「……下がれ」
クロウの動きは、速く、鋭い。
獣王を倒した時の“本気”。
だが――
ノクスは、避けない。
受け止める。
真正面から。
「……ほう……」
「……やはり……お前か、クロウ」
ノクスの拳が、
クロウの腹に突き刺さる。
「……っ……!」
クロウが、膝をつく。
「……師匠……!」
Rは、駆け寄ろうとする。
だが――
ノクスが、Rを見る。
“見ただけ”で――
身体が、動かない。
「……絶望しろ」
「……それが……現実だ」
Rの心が、折れかける。
――強すぎる。
――勝てない。
ノクスは、ゆっくり歩く。
「……これが……《原初》の力」
「……仮面は……人類の“神”だ」
クロウが、立ち上がる。
血を、吐きながら。
「……違う……」
「……仮面は……“呪い”だ……!」
クロウは、最後の力で、
ノクスに突っ込む。
だが――
ノクスは、手をかざす。
ドン!!
クロウは、吹き飛ばされ、
壁に激突した。
動かない。
「……師匠ぉぉぉ!!!」
Rの叫びが、
広間に響いた。
仲間たちは、
全員、倒れている。
立っているのは――
ノクスだけ。
「……終わりだ」
Rは、震える手で、
床を掴む。
涙が、落ちる。
「……まだ……」
「……終わらせない……」
そのとき――
Rの手元に、
“何か”が、触れた。
冷たく、重く、
意思を持つような感触。
Rが、見下ろす。
そこにあったのは――
原初の仮面。
Rは、息を呑む。
「……仮面を……」
「……持ってない……はずなのに……」
仮面が、
Rの手の中で――
“脈打った”。




