第三章・第10話
【第八の門 ――《無》の仮面使い】
第八の門の先は――
何も、なかった。
壁も、床も、天井も、
すべてが“無”。
白い空間。
そこに、
ひとりの少年が立っていた。
仮面も、武器も、ない。
「……ここまで来たか」
Rは、目を細める。
「……お前が……最後の門の……」
少年は、頷く。
「……俺は《無》の門の番人――」
「……名は、クスト」
クストは、静かに言う。
「……ここでは……」
「……仮面の力は、使えない」
次の瞬間――
ユナ、カイ、ジン、クロウの仮面が、
砕け散った。
「……な……!」
力が、抜ける。
重くなる、身体。
Rだけが――
元々、仮面を持っていない。
クストが、Rを見る。
「……お前は……」
「……最初から、“無”だ」
クストは、構える。
「……来い」
Rは、拳を握る。
逃げない。
仮面がない世界で、
戦ってきた。
それが――
Rだ。
二人は、走った。
拳と拳。
ぶつかる。
痛み。
息。
汗。
すべて、“生身”。
クストは、強い。
だが――
Rは、倒れない。
「……仮面がなくても……」
「……俺は……立つ」
最後の一撃。
Rの拳が、クストの胸を打つ。
クストは、倒れた。
そして――
微笑んだ。
「……いい……顔だ……」
「……お前なら……」
「……行ける……」
白い空間が、崩れる。
門が、消えた。
――八つの門、すべて突破。




