第35話 翌日の聖女様
《アッシュクラフト家》
テレンシア美術館での騒動から一夜明けた。昨日の夜は王都中で戦闘が繰り広げられていたらしく新聞にもその詳細が掲載されていた。
「〖謎の黒フード集団現れ『暗闇の教団』の構成員を次々に黒き影へと葬る〗か……ダリア達。かなり派手にやったみたいだな」
「レ、レイン様。ゴービー入りましたっ! どうぞっ!」
「あ、ああ。ありがとう。アスモール……身体は大丈夫か? 呪いの後遺症とかないだろうな?」
「は、はい。ありませんです。レイン様」
いつもは騒がしいアッシュクラフト家も今は俺と昨日、長年の苦しめられていた呪いから解放されたアスモールのみ。
その為、朝から一人優雅な朝食を取っている。それとアスモールの様子が朝から可笑しいが。七つの大罪の大概のメンバーは常に可笑しいのでこれが不通か。
「それは良かった。だが念の為、一月の休息を取ってくれ。旧アジトのルナの元でな」
「……一月もですか? それはえっと左遷とかですか?」
「いや。ルナが死徒化の研究の手伝いをアスモールにしてほしいそうだ。魔力循環を調べるとか今朝届いた手紙には書いてあったな。頼めるか? 嫌なら。王都で休息でも構わないが」
「死徒化の研究のお手伝い……い、行きます! それで死徒化する人が減るなら喜んで行かせて頂きます。レイン様」
アスモールは頭を激しく揺らしながらそう告げた。
「……そうか。ありがとう。何かあったら直ぐに駆け付けるよ。それと今回の事件で活躍してくれた俺に何か俺から送ろう。アスモールだけにな」
「わ、私だけにですか? あ、ありがとうございます。レイン様。(い、いったい何をプレゼントしてくれるのかしら? まさか例属の首輪とかかしら?)」
アスモールが嬉しそうに身体を揺らし始めたが。七つの大罪達が変なのはいつもの事なのでスルーする。
「久しぶりに落ち着いて朝食が食べれるな。いつもならばシエルのダークマターを強制的に食べされ。トイレへと直行するのが毎日で……」
コンコン……
「ん? こんな朝早くにお客様か? アスモール。俺の影の中へ隠れていてくれ」
「へ? は、はい。分かりました。レイン様」ズズズ……!
コンコンコンコン……!
先ほどよりも玄関のドアを叩く音が激しくなった? 全く誰だこんな朝早くに?
「今、開けるから待っててくれ……」
俺は玄関口へと移動し、扉を開けた。
◇
ガチャッ!
「全く。誰だこんな朝早く? 母さんか? シンシアか? 帰ってくるなら連絡の1つくらいしてから……」
「…いえ。私です。レイン様」
「やほー、レイン。遊びに来て上げたわよ」
玄関の扉を開けると私服姿のシエルとリーフ王女が立っていた。そして、シエルは両手にランチバックの用な物を抱えている……嫌な予感がしてきたんだが。
「シエル?……何故、君がここに? 確かミサが終わる夜までは帰って来ないんじゃなかったのか?」
「……昨日の事件で今日のミサは中止になりました。ですので私はレイン様に会いたくて……実家で朝食を作って持って来たんです。ザンドイッヂを……食べてくれますか? レイン様」
シエルはモジモジと赤面しながら俺の前にランチバックを見せてくれる。そして、これにより俺の優雅な朝食はヘルモードへと移行する事が確定した。
「良いわね。ラブラブで……(本当ならシエルの愛情は私だけの物なのに)」
何も知らないリーフ王女は何故か俺を睨みながら不機嫌になっている。
「あ、ああ。ありがとう。シエル……さっき朝食を取ろうとしていた所なんだ。だからありがたく…君が作ってくれたザンドイッヂを貰うよ」
「……ふわぁ//// ではこの場で一切れどうぞです。レイン様」
シエルはランチバックからザンドイッヂを一切れ取り出すと俺の口目掛けてザンドイッヂ《ダークマター》を突っ込んだ。
「なっ? や、止めろ! こんな場所でまだ心の準備が? むぐっ?!……なっ?! 塩辛何か?……何だこの味は? ギャアアア!!」
そして、俺は口から火魔法を放ち。断末魔の叫び声をあげ倒れたのだった。




