第24話 ご奉仕しますわ
《アッシュクラフト家 室内》
「……御待たせ致しましたわ。レイン様。ウグドリのドリアです」
「いや。これのどこがウグドリのドリアなんだ。シエル……ただのダークマターだろう」
「……いいえ。レイン様。これは私の愛妻お料理です」
「くっ! なんでそんな自信満々なんだ? そして、なんであんな新鮮な食材がこんなどす黒い料理に変わるんだよ」
現在、アッシュクラフト家には俺とシエルしか居ない。
一つ屋根の下男女が2人っきりならば何か起こると思っただろうか?
いや、まぁ。実際に起きてはいる。
それはいったい何か?……家事力ゼロのシエルが張り切って料理を作ってしまったのだ。料理と言うなのダークマターを……そして、彼女はそれは俺に今日の夜食として出してくれた。
どうしてこんな状況になってしまったなかって?
話は数日前に遡る
▽
《リビング》
「は? 竜族の式典に呼ばれている? 母さんが?」
「それと。エルフの御姫様のシンシアちゃんと聖獣のスピンちゃんもね」
「なのじゃあ~」「ウニャア~」
竜人状態のディアが母さんの膝の上でゴロゴロしている。ちなみにスピンは俺の膝の上……ディアの奴いつの間にか母さんに飼い慣らされているのか。
「それで私はエリシア聖教の代表として行くのよ~、シエルちゃんの代わりにね」
「……はい。申し訳ありません。アリシアお義母様」
「あらあら。全然気にしなくて良いのよ。シエルちゃん。これもレイン君を1人にしない為ですもの」
俺を1人にしない為? どういう事だろうか?
「なんでシエルだけ家に残るんだ? 普通式典なんてものは現役の聖女が行くんじゃ?」
「レイン君を家に1人きりにしてたら絶対新しい女の子を連れ込むでしょう?」
「……はい。確実に連れ込みます。もしくは可愛い女の子に押しきられていつの間に奇住みつけれてしまいますわ」
「うんうん。お嫁さんと一緒に住んでるのに最低のクズね。レイン君」
「……いえ。アリシアお義母様。そういう所もレイン様の魅力の一つです。(ポッ///)」
……何故、俺はシエルが式典に行かないのかを聞いただけだここまで罵倒されているのだろうか?
そして、何故、シエルは顔を赤くしている? 今の会話になにか恥ずかしいところがあったのか?
「本当にそうよね。天然クズって最低ね。レインは」
いつの間にか家に上がり込みリビングで寛いでいた金髪エルフ《シンシア》が更に罵倒してくる。
シンシアの奴。庭の大木の家が住みづらいとか言って事ある事に家に入って来るよな。かなりの薄着の状態で………
「何よ。レイン! 私をイヤらしい目で見て……襲う気?」
「………自意識過剰だな」
「何ですってぇー?!」
俺は普段から可愛いシエルに纏わり付かれていて、女性には耐性がかなりある。
こんな薄着状態のシンシアの姿を見て喜ぶわけが……シンシアの奴、身体がまた一段と成長していみたいだな。
「はい。喧嘩しない。喧嘩しない」
「アリシアママ。でもレインが私の事~」
「ハイハイ。分かってます。レイン君は親しい娘には口が悪いから仕方ないわね~」
シンシアは涙目になりながら母さんの胸へとダイブした。この2人いつの間に仲良くなったんだ? シンシアに至ってはオバサン呼びからママ呼びに変わっているし。
「『稀血』と『幸運』の使い方もそろそろ覚えてくれれば良いんだけど~……まだ無理そうだから鎮静剤の役割があるシエルちゃんを残していくからよろしくね」
「……はい。全力でレイン様をご奉仕致します」
最近になってやっと包丁を上手く持てる様になった家事力ほぼゼロのシエルがガッツポーズで意識証明している。
「妾が魔神から解放されたお祝いなのじゃあ。済まんのう。レイン」
いつの間にか俺の隣に座っていたディアがそう告げる。
「魔神から解放されたお祝い?」
「それ兼。今後の魔神の対策の会議もね。アレイス学園の件で色々と大変なのよ~、竜族に続いて人族にまで危害を加えて来るなんて思わなかったわ……それもテレンシア王国の王族にね。全く。ディアちゃんを保護したばかりだったのにもう次の事件が起こっちゃったわね」
母さんは溜め息交じりにそう説明するとディアな頭を撫で始めた。
「まぁ、そういう事だから王都の事は任せたわよ。2人共」
▽
そして、今日の朝、竜状態のディアに乗って母さん達はこの家を出たんだが───
「……さぁ、新妻シエルの愛妻料理です。レイン様。食べて下さいませ」
テレンシア王国の大人気聖女から謎の料理を食べさせられる日々が始まった。
「くっ! なんだその自信満々に満ちた目は……(この黒い塊を食せと? だが食べなかったらシエルが悲しむ)……ままよ」
俺はあらゆる覚悟を決め手シエルダークマターを口へと運び食べ始めた。
パクッ!
「…………うおおおぉぁおお!! 腹があぁぁぁ!! 熱い!!」
「……レ、レイン様。お腹を抑えてどうされましたか? レイン様~!」
案の定。俺は腹を壊し。その場で意識を失ったのだった。




