第25話 『嵐の稲妻《テンペスト》』の首領
《レインの部屋 地下》
俺の部屋の下には秘密がある。テレンシア王国……いや。世界情勢を変える程の力を持った秘密が────
「零様。七席筆頭一席ダリア・フレデリカ・デウスがここに」
「二席・シモンズ・ルシフェルがここに」
「第三席・マモン・がここにぃぃ!」
「四席・サターン・リンネ」
「……………五席リヴァイ・エレノア・べルゼ」
「第六席がベルフェ・ゴルにございます。首領様」
「末端七席。アスモール・ミルクです」
『『嵐の稲妻』が筆頭。七つの大罪。魔王・レイ様の元へ参りました』
「ああ、大義である。おまえ達……」
七人の美男美女が俺へと跪づいている。そして、そんな光景を俺は偉そうな態度で黄金の玉座に足を組んで座り不適な笑みを浮かべていた。
そんな七つの大罪の後ろにはフードを被った何千人という数の彼等の部下らしき人達が俺を羨望の眼差しで見てくる。
…………どうしてこうなっているか? 俺にも最早、分からん。
俺がまだ幼く無知だった頃、彼等は俺の『幸運』という力が欲しいといって襲いかかって来た。
それはもう色々な種族の奴等が俺を狙って来たが。俺はそれを全て返り討ちにし彼等を許した。
それで話が終わる筈だったのだが───
▽
(行って良いよ。これから心を改めて全うに生きて)
トゥンク♡
(ハゥ?! なんたる慈悲深さ。一生ついて行きます!)
魔神のダリアが仲間になったり。
(傷付けて悪かったね。もう悪さは駄目だよ)
トゥンク♡
(何? 命を狙った俺を許してくれるのか? アンタは?)
魔神のシモンズが仲間になったり。
(もう悪い事は止めて真っ当に生きるんだ)
トゥンク♡
(お、お優しいお方! 一生従いますわ)
魔神のベルフェが仲間になったり……そんなやり取りが数千回ほど続いて来た結果。
◇
「レイ様。アレイス学園での騒動鎮圧は上手くいっております」
「おー、兄弟。隣国バレスの裏工作は順調だぜ」
「魔王様。『嵐の稲妻』の収益も順調に右肩上がりです」
「入団希望者も日を増す事に増えており……」
七つの大罪達はやる気に満ちた表情で俺に闇組織『嵐の稲妻』の現状報告をして来る。
ここは俺の部屋の真下に造られた超巨大地下建造『嵐の稲妻』だ。
テレンシア王国の地下は元々巨体な水路遺跡となっていた。そこに目を付けたダリアが俺の許可を取り数万人が快適に暮らせる場所へと変貌させた。
………小さい頃の俺は自分に酔っていた。遊びに行く先々で出くわす盗賊や亜人。襲って来る悪魔や魔神達に殺さずとはいかないまでも、容赦なく正義な鉄槌を下す事に。
そんな彼等は何故か俺を慕い勝手に付いて来て、この世界でも有数の闇組織へと成長させていたのだ。
七つの大罪達なんかは俺の事を最近、魔王などと言う始末だ。
「…………ふぁー、どうしてこうなってしまったのだろうか?」
「はい? シエルさんがどうかなさいましたか? ご主人様様」
赤色の仮面を装着し俺が座る玉座の横で立っていたダリアが心配そうな声で俺に話しかけて来た。
しかしシエルが今日、教会に呼び出されていて良かった。聖女が住む家の地下に魔神が住んでいるなんて知られずにな。
「いや。何でもないダリア。それよりもその《反転派》の魔神の話をもう少し詳しく聞きたいんだが」
「畏まりました。ご主人様……私達《穏健派》の魔神の殆どは。ご主人様の『快復』を受けたお陰で《魔堕ち》から救われました」
《魔堕ち》……高位の種族になればなる程なりやすい魔力暴走の病気だ。
主に多いのが魔神、魔族、エルフ、竜族等が上げられる。
これに掛かると理性は吹き飛び。自身の欲望のままに動く化物になっていき自我を失うというが表の世界ではまだ治療法すら見つかっていない奇病の一つだ。
「あぁ、よく覚えているよ。皆を救えて本当に良かった」
「レ、レイン様。そんな私を救えて良かっただなんて……このご恩はダリアの一生をかけて報いさて頂きます」
「おいっ! なに勝手に抜け駆けしてんだ! 俺も俺も」
「私もですレイ様」
「……我も」
「この世界を魔王様に献上します」
「レイ様バンザイ!レイ様バンザイ」
「ほれ! 皆も復唱するですよー!」
「「「「「おおおぉぉ!! レイ様バンザイ! レイ様バンザイ! 魔王レイ様に栄光あれーー!」」」」」
「………ふむ。悪くない。感謝する。皆の者」
「「「「「うおおぉ!!」」」」」
止めてくれ。恥ずかしさで死んでしまう。だがこう振る舞わないとダリア以外は嫌な顔をするんだ。
《なんだか変わってしまいましたね。レイ様。俺達、私達、悲しです》などと泣かれてしまう。
本当にどうしたてこうなった?
「コホン。《反転派》のお話に戻ります。レイ様」
「……あぁ、頼む」
「彼等は完全に《魔堕ち》した者達なのです。このナリアと言う世界に怨みを持った存在……聖女の力かレイ様の力でしか魂が解放されない《死徒》なのです……」




