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第23話 レイン様の光と影

《アレイス学園 執務室》


 とある執務室の一室にレインもシエルのかつての旅の仲間が集まっていた。


「念の為、駆け付けたけど杞憂きやだったわね」


「ホホホ。当たり前じゃ。聖女シエル・バレンタインがおるのじゃからのう。レインはワシが育てた弟子の中でも歴代最高。あれしきの魔神など相手にならんわい」


 楽しげに笑うはレインね魔法使いとしての師。トルギス。


「特別扱いし過ぎよ。シエルはともかくレインはアッシュクラフトの呪いで、本来の力を抑えられているんだから何が起こるかわからないのよ」


 魔技服装を来ているのは付与師のミリア


「それは元勇者パーティーの仲間としての心配かのう? ミリアよ」


「ええ、トルギス。彼は私の可愛い弟分ですもの……『稀血』なんて呪いを受けなければ今頃、レインもテレンシア王国の貴族として立場も変わっていたのにね」


「……じゃのう。鍛えてやった。後は自身の力で歪んだ未来に打ち勝ってもらいたいものじゃ」


 2人は今、窓際から闘技場の方を静かに眺めている。魔神が暴れ、2人の少年少女がそれを止め様としている様子を。


「そもそも本来のテレンシア王国の聖女になる筈だったユリナが聖騎士に勝手になったのが全ての始まりよ。それをあんな若いシエルに押し付けて自分は好き勝手動き回って暴れて……双子の妹があんなに健気に頑張っているっていうのに」


「……いや。これで良かったのかもしれん。レインにとってはのう」


 トルギスはそう告げると楽しげに笑い始めた。


「何故そう思うの?」


「あの光景を見てみよ。シエルとおるレインの奴。とても幸せそうに見えんかのう?」


 トルギスに言われたミリアは闘技場の方へと再び目配せをすると。


「…………そうね。凄く凄く幸せそうだわ。良かったわね。シエル……夢が叶って」


 嬉しそうにシエルに向かって優しく微笑むのだった。


《上級闘技場》


「…………うぅぅ」


 俺とシエルの合わせ技を喰らって倒れてしまったリーフ王女の容態をシエルに見てもらっている。


「リーフの様子はどうだ? シエル」


「……はい。顔色も良いです。血の気も戻り始めましたし。魔力の流れも正常です」


「そうか。それは良かった」


 俺は安堵すると同時に上級闘技場の下の方を見下ろした。


 魔神の力によって操られていた生徒達はリーフ王女の様に倒れるのかと思っていたがそうではなく。


 ボーッとたたずんでいるだけだった。


「……レイン様。これは……」


「ああ、魔竜城のモンスター達の様子に似ているな。ダリア居るか?」


ズズズ……

「はい。レイン様。ここに下ります」


「…………??? レイン様の影からダリアさんが?? 出てきました?」


 俺の影からメイド服を着た夢魔のダリアが現れた。


 そして、それを見て混乱するシエル。


 俺は懐から仮面を取り出すとダリアに命令を下した。


レイとして命令を下す。七席セブンス達を動かし今回の件を対象させろ。早急にな」


「失礼ですがレイ様。この国には元勇者であるアッシュなる者がいらっしゃいますが……」


「それが俺だ。だから王都に帰って来た……これだけ言えば察しの良い君なら分かるだろう?」


 勇者時代は闇世界からの暗殺者を警戒してアッシュと名乗っていた。俺が勇者をやっていた事は王族とごく一部の王族に信用された貴族しか知らないんだ。


「レイン様がアッシュ?………色々と合点がいきました」


「そうか。ならば直ぐにかかれ。今回も失敗は許されない」


 俺は物語に出てきそうな悪の首領の様な口調でダリアに命令した。そうしなければ彼女は何故か仕事にやる気を出してくれないからだ。


「ハッ!」

ズズズ……


「フゥー、行ったか」


「……あのレイン様? これはあのいったい? レイって何のことですか?」


 今の俺とダリアのやり取りの意味不明さに困惑しているシエル。


「ダリアに後始末を丸投げしただけさ……外も騒がしいし教室に戻ろう。シエル」


「……は、はい。よく分かりませんが良く分かりました。レイン様」


 俺とシエルは静かに闘技場を後にした。その後は教室へとなに食わない顔で戻った。その後は最後の授業を受け終え家へと帰路についた。


 どうやらダリアが率いる七席セブンス達は上手くリーフ王女が起こした騒ぎを揉み消してくれた様だな。流石は闇の集団だな。


《城下町》


「……では。リーフ王女の護衛の方々を」


「あぁ、全て吹き飛ばした。時間も限られていたしな」


「……随分とムチャをなさいますね。レイン様とも有ろうお方が」


「シエルがピンチなら駆け付けると決めているからな。仲間のピンチは自身のピンチさ」


「……仲間。そこは新妻のピンチはと言ってほしかったですわ」


 シエルは両頬を膨らませて抗議してくる。


「君がそう思って回りに宣伝しまくっているだけだけどな」


 ペチッと俺はシエルのデコにデコピンを喰らわして。


「…………痛いですわ。レイン様」


「全然、そうには見えんがな。それよりも今日の学園生活はどうだった? シエル。色々あったが楽しく過ごせたかな?」


 俺はあえて楽しく過ごせたかと質問した。今日の騒ぎなどアレイス学園では日常茶飯事だ。


 今後はあれよりも過激な事に出くわすかもしれないからな。耐性を付けてもらわないといけない。


 もしもアレイス学園が合わないようならば別の学校にでも通わせてあげても良いが……


「はい! 楽しかったですわ。レイン様……色々とありましたが。レイン様と共に今日1日過ごせて幸せでございました」


 シエルは幸せそうな微笑みでそう応えてくれた。


「そうか。それは良かったよ……少し城下町を見て回ろうか。新婚夫婦の様に……なってな。」


 俺は冗談交じりそう告げる。するとシエルは俺の右腕に抱き付き。


「……はい! 旦那様。新妻シエルがずっとお供します」


 そんな恥ずかしい台詞セリフを言って再び俺に向けて微笑むのだった。

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