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御所と言う名の長屋

 西園寺御所の中はまるで江戸時代の長屋を彷彿とさせる光景が広がっていた。


 遼献改め西園寺新三郎はそこで生きる庶民達の光景を珍しそうに眺めていた。


「そんなに珍しいんか?」


 新三郎の初めての友達である赤松忠満はそう言ってにやりと笑った。


「御所と言うからには……宮殿のようなものを想像していたからな」


「御門の外に出ればええやん。あそこはいろんな流派の御殿があるさかい、まさに御殿やで」


 そう言って忠満はあちこちをふらついている新三郎をあおって見せた。


「いや、あんなものは見る気はねえな……俺はようやく生きていく意味が分かったような気がするんだ」


「なんやそれ」


 赤い甲武の空を眺めつつ新三郎はそう言って天を仰いだ。


「俺は操り人形だった……孝基様のおかげでなんとか国を出て自由になった……」


「自由?違うわよ」


 二人の少年の背後から康子がそう言って声をかけてきた。


「新ちゃん。あなたには使命がある……ちょっと残酷な使命が……」


 康子はそう言って忠満に目をやった。


 場を察した忠満はそのままその場を立ち去って新三郎と康子の二人がその場に残された。

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