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嵯峨惟基
食事は沈黙の間に続いた。
「遼献ちゃん」
沈黙を破ったのは康子だった。
「遼献ちゃんはいつまでもその名前でいるわけにはいかないわよね……お父様」
康子はそう言うと汁物を手にしたまま話題を重基に振った。
「そうだな……三郎……三男だからそうなるだろう
それだけ言うと重基は厚揚げを口に入れた。
「西園寺三郎……つまらんな」
義基はそう言って厚揚げを噛みちぎる。その様子を虎満は苦笑いで見つめていた。
「新三郎……そうしましょう!西園寺新三郎……なかなか切れ者っぽくていいんじゃありませんの?」
虎満はそう言って遼献を見つめた。
「西園寺……新三郎……」」
自分の新しい名前に遼献は戸惑いつつそうつぶやいた。
「いいわね、新三郎……じゃあしんちゃんね!」
すっかり決まりきったように康子はそう言った。
「西園寺新三郎……先ほどの嵯峨家の跡目の話は?」
「いいのよ、新ちゃん。十八になれば分家して嵯峨家の名前を継げばいいわ。あそこは通字が惟だから……嵯峨家を継いだら名前は惟基になるのは決まってる話だけど……
「西園寺新三郎……嵯峨惟基……」
遼献は自分の生きなおす名前が決まる様に少々驚きながらそうつぶやいた。




