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『汗血馬の乗り手』再び

 そのまま車は何時間となく荒れ野を走り続けた。


「遼献ちゃん、大丈夫」


 声をかけてくる康子に遼献は苦笑いでこたえた。


「でも……大丈夫なんですか?甲武と遼帝国は同盟関係にある……重基様のご迷惑になるのでは……」


「大丈夫よ。お父様は遼献ちゃんを見捨てるほど弱い方ではないわ」


 そう言って康子は笑った。


 急に車が止まった。


「やはり……来たわね。彼女が」


「?」


 遼献は康子の悟りきった言葉の意味が分からなかった。


「ごめんね……あの子が動かないことが前提だったけど……やっぱり無理だったみたい」


 そう言うと康子は遼献の肩を叩いた。


 遼献ははじき出されるように四輪駆動車から降り立った。


「陛下……」


 車列の前に立っていたのは年端も行かない少女だった。


「通してって言っても……無理なんですよね」


 康子は穏やかにそう言い放つ。


「分かってんじゃねえか……そいつを手放せ」


 手に槍のようなものを持った少女はそう言って遼献を指さした。


「私も……あなたとはやりあいたくないから……仕方ないですわね。遼献ちゃん、ごめんね」


 そう言うと康子は遼献の背中を押した。


 遼献は一人、少女の兵団の前に立った。


「殿下。こちらへ」


 少女は静かにそう言うと遼献を別の車列へと誘導した。


 遼献はその言われるがままにその席に着くしかなかった。

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