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鬼女二人

 東和共和国東都。


 その空港に二人の女性の姿があった。


「本当に行かれるのですか?」


 明るい萌黄色のワンピースを着た女性、神前薫は確かめるようにそう言った。


「ええ、あの子を戦地に置いておくわけにはいきません……」


 話しかけられた紫色の小紋の和服を着た女性、西園寺康子は笑顔でそう答える。


「また……殺生をなさるんですね」


 薫の表情に影が入る。


「あそこは内戦になっていますから……でも、今回は少し脅す程度で話はつくと思いますよ……相手は傭兵ですから。お金で話が付けばそれが一番」


 そう言って笑う康子に心配そうな表情だった薫はつられて笑顔になっていた。


「でもまあ、遼献ちゃんを連れてくることはできないでしょうね……国境線で止められるでしょうし、うちの人の立場もありますから」


 康子はどこか残念そうにそうつぶやいた。彼女の夫、西園寺義基は甲武国外務省の次官を務める切れ者である。ただ、切れすぎるゆえに敵も多かった。


 今は甥の遼献の命を救うことしかできない。そんな思いが彼女のまなざしに力を与えた。


「では、これで」


 康子は薫に見送られて空港のゲートへと向かった。

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