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落人

「西園寺卿が……戦死されました」


「叔父上が……死んだ……」


 遼献は輿に乗りかけた足を止めて女官の言葉にそう言って答えた。


 すでに影武者達はそれぞれに先を急いでいた。


 静かにそのまま輿から降りようとする遼献を女官は押しとどめた。


「余は……皇帝だ。余の首を差し出せば領民は助かる!余は残る!」


「お静かになさりませ!陛下が下られてももはや状況は何も変わりません!」


 女官はそう言って遼献を抑える。共の者達もまた無理やり遼献を輿に乗せた。


「余は卑怯者にはなりとうない!余は!余は!」


 先頭をバイクで先導する孝基の腹心はそのまま全員に合図を送る。


「余は……余は……強くなりたい……強く……」


 遼献は初めて自分の非力を悟った。


 あまりにも彼は非力だった。

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