圧倒的な力の差
「『汗血馬の乗り手』……どれほどの……!」
孝基がそう余裕をもって握っていた操縦桿を押し込もうとした時だった。
突如目の前の深紅の機体が消えた。
「なに!」
次の瞬間、背後にその機体の姿があった。
『ビビってんのか?元地球人』
背後を振り向いた孝基の眼前には先ほど遠くにいたはずの敵機があった。
「なにが起きてるんだ……一体……」
そう言うのが精いっぱいだった。孝基はすぐさまレールガンの銃口を敵に向けた。
しかし、再び敵影は消える。
「後ろか!」
訳も分からず振り向いた先にはやはり深紅の機体があった。
『オメー等、弱いな……話になんねーぞ』
通信からは幼い女の子のような声が聞こえる。
「餓鬼に舐められたら傭兵も終わりだな」
『じゃー終わってるわ、オメーは』
そう言うと敵機はそのまままっすぐ孝基の機体に斬りこみをかけてきた。
その特殊な形をした鉾が孝基の機体の手にした230mmリニアレールガンの銃身を真っ二つにする。
「終わりじゃねえんだよ!」
孝基は叫びながら大型軍刀を抜く。
「こっちは飛行戦車じゃねえんだ。格闘戦ぐらいできる……消えたり跳んだりするだけが取り柄のお前さんには……」
そう言って軍刀を振り上げる孝基だが、無情にもその両腕は深紅の機体の鉾の一撃に引き裂かれた。
「噂通りってことか……」
一分もたたずに勝敗は決していた。




