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汗血馬の乗り手

 コックピットの中。西園寺孝基は苦笑いを浮かべていた。


「こいつは……出てくるな。噂の『汗血馬の乗り手』ってのが」


『汗血馬の乗り手?』


 部下の慌てた言葉に孝基は笑顔で返した。


「あくまで……その存在は噂にすぎねえが……なんでも、億年単位の地層の中から餓鬼が一人見つかったって話だ」


 そう言いながら孝基が見据える先にはまだ敵影は無かった。


『そんな……古い地層と言っても億年単位って……石炭や石油じゃあるまいし』


『オパールや琥珀でも出たんですかね……餓鬼が入った』


 部下達のあざ笑うような声に孝基は眉を顰める。


「そんな甘っちょろい奴じゃねえよ、『汗血馬の乗り手』って奴は。なんでも殺しても死なねえバケモンらしい」


『殺しても死なないなら何度でも殺せばいいじゃないですか……所詮、練度の低い遼帝国軍お得意のブラフですよ』


 部下の一人がそう言って笑った。


「だといいが……」


 孝基はそう言って話題を中座した。


『敵本部から一機、猛スピードでそちらに向かっている機影があります!』


 管制官がそう叫ぶのを聞くと孝基の浮ついた笑顔が瞬時に来た。


「来なすった……『汗血馬の乗り手』だろうな」


 孝基の笑いが消えたのに合わせるように部隊に緊張が走った。

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