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大局

「始まったか……」


 作戦本部の慌ただしく動き回る情報士官達を眺めながらガルシア・ゴンザレス将軍は静かに頷いた。


「しかし……どうして中央から?こちらが網を張っているのがわかっているというのに」


 副官を気取るオーギュスト・ブルゴーニュの言葉にゴンザレス将軍は苦笑いを浮かべた。


「分かっていないな……あちらは完全にこちらに勝利しなければならない……東部と西部の戦力を削ってきているからな。こちらが物量戦を仕掛けてくれば戦線が破綻するのは紅籐太もカグラーヌバ親子もわかっているはずだからな」


「そうなると……敵はアサルト・モジュールを投入してきますかな」


 オーギュストの問いにゴンザレス将軍は不服そうに口を膨らませた。


「そんな当たり前のことを言わんでも……すでに央都の部隊には声をかけてある。肉を切らせて骨を断つだ……緒戦は勝てても次第に泥沼になるように仕掛けはしてある」


「怖い人だ……」


 思わず呟いたオーギュストにゴンザレス将軍は満足げに頷いた。そんな彼に情報士官の一人が歩み寄ってきた。


「どうした?」


「吉田少佐から連絡が」


「よろしい繋げ」


 情報士官からタブレットを受け取ったゴンザレスはその中に映し出された吉田俊平少佐の姿を見つめた。


「貴君は……この大事な時に何をやっているのかね?」


「大事な時だからこそ動いた……そう判断していただきたいものですな」


 タブレットの中で小馬鹿にしたような笑みを浮かべる吉田にゴンザレス将軍は興味深そうに身構えた。

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