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正義の戦い

「ワクワクしてくるねえ……」


「隊長、不謹慎ですよ」


 相馬の一言に西園寺孝基は苦笑いを浮かべた。


 格納庫の中。整備兵達が走り抜けていくその中でコックピットに座って二人はただ周りを眺めていた。


「ゴンザレスの首……取れますかね」


「取らなきゃならん。さもなきゃ負けだ。まあ俺なら取れない方に賭けるけどな」


 孝基の本音に相馬は苦笑いを浮かべた。孝基の機体のコックピットのモニターには彼に従い戦地をくぐり抜けてきた猛者達の顔が映し出されている。


「ゴンザレスごとき……田舎大名相手に全滅なんてありえないですよ」


「正統は必ず勝つ」


 部下達は口々につぶやいている。相馬もまたそんな中の一人として諦めた調子の孝基に目を向ける。


「今回の作戦……引くなら引いてもいいんだぞ」


 部下達の勇敢な言葉にどこかしら卑屈な心を見て取った孝基はそう言って部下達を見回した。


 部下達は沈黙して周りに目をやる。誰一人口を開こうとしない。


「こっから先は命を惜しむ人間は必要ない。名に生きる人間だけの世界だ」


「命を惜しむな名をこそ惜しめ」


 孝基の言葉に相馬が続いて呟いた。部下達は静かに頷く。


「よし。これで決まりだな……前線部隊が戦闘を開始する時刻だ……始めるぞ……ガルシア・ゴンザレス将軍。紅籐太孝基の戦い方、じっくりと体験していただこう」


 西園寺孝基はそう言ってにやりと笑った。


「時間だ」


 士官はそう言うとモニターに顔を向けた。


「全砲門開け……機甲部隊は進軍開始」


 その言葉を待っていたかのように周囲で大砲とミサイルの発射音が響く。


「ついに始まりますね……」


「ああ、甲武を出て3年だ」


 士官の言葉で彼が甲武浪人であることが分かる。周りの兵達も穏やかな表情で笑っていた。


「正義は勝つ……そう信じろ」


 そう自分に言い聞かせるように士官がつぶやくが誰もその言葉を聞いてはいなかった。


「反撃は……上空のドローンが撃墜されました」


「それはそうだろう。相手も油断はしていないだろう」


 次の瞬間周囲に着弾の轟音が響いていた。


「敵、反撃開始したもよう。先制攻撃のため戦力は60パーセント以下に低下しています」


「今のうちに叩くぞ」


 士官はそう呟くと手元のミサイルの発射スイッチに手をかけた。

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