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騒乱の外で

「お義父様!」


 嫡子西園寺孝基が去ってからの西園寺家の守りとも呼ばれる西園寺康子の声に、当主西園寺重基はぼんやりとした視線を奥の間に向けた。


「ああ、康子さんか……義基は?」


「あの人は今日も外務省に出かけていますよ。まあ仕事があるというわけではないですが……」


「外務省で飼い殺し……アイツは逆にその方が気が楽でいいんじゃないか?」


 そう言うと手元に有るポットから急須にお湯を注ぐ重基。その様子に康子は大きくため息をついた。


「もうひと月も訪ねてくるものもないなんて……元宰相の肩書きが泣きますよ」


「世間の冷たさを感じるねえ……権力から転がり落ちれば誰も気にもかけない。一方で九条家は千客万来だろう」


 重基は悠然と湯呑を握って茶をすすり始めた。

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