父と娘
「村の方の銃声が消えた……」
「何が起こったんだ?」
黒ずくめの兵士達がそれぞれに不審に思いながら道を歩いてくる。
「今だ!」
シャムはすぐさま剣を抜くと三人の兵士の喉笛を切り裂いた。銃声が響き、シャムはそのまま木陰に転がり込む。
「遊撃部隊を殺った餓鬼が来るぞ」
兵士達の声が響く。シャムはそのまま木陰を進み敵の背後に回り込む。
「生存しているのは……」
「我々だけのようです」
「化物か……」
指揮官らしき男の声にシャムは状況を理解した。すぐさま飛びつき指揮官の背後に剣を突き立てる。
「うわ!」
シャムの襲来に棒立ちの若い兵士の首をシャムの刀が切り裂いだ。
「終わった……」
力なくそのままシャムは州境の検問所がある場所へよたよたと歩いていく。
道には黒ずくめの兵士と見慣れた村の若者達の死体が転がっていた。
「生きている……お父!」
検問所の有刺鉄線の間に虫の息のアサドの姿を見つけたシャムは駆け寄った。
「シャム……シャムラード……」
「お父……話しちゃダメだよ」
「なに……もう時間がない……お前との日々……楽しかったぞ」
腹に数発の縦断を受けたアサドの言葉にシャムは涙を流しながら頷く。
「シャム……生きろ……」
「お父!」
アサドの手が力なく大地に落ちた。シャムは涙を流しながらアサドの顔を抱いた。
「また……一人ぼっちだ」
それだけ言うとアサドを大地に寝かせ、静かに剣を地面に突き立てた。




