名づけられた豚。
ドヤ顔で言い放ったリディアに抗議の声を上げていると、ディーが溜息を付きながらもフォローしてくれた。
ちなみに俺が言葉を理解出来るのは既に2人にも伝えてある。
最初危ないかな?とも思ったのだが、3人の会話に思わず頷いたりツッコミ(鳴き声)を上げていたらバレた。
いやぁ、久しぶりに人と喋ると楽しいね。
今までオークしかいなかったし、会話という会話がなかったから凄く新鮮に感じる。
「流石に豚と言えどもグラ豚はないんじゃないか・・・?無難にグラドとかにしてやれ」
おぉ、いいぞ。グラド。
かっこいいじゃないか。
ククク、我は《暴食》のグラド。闇を喰らい闇を統べる支配者なり・・・!
まぁ豚だし、そんな能力ないけど。
はー。早く魔法使いたい。
ディーの言葉に喜ぶようにうんうんと頷く俺。
それを見たリディアは不満そうにしながらも本人が気に入っているならと頷き返した。
「じゃあ、グラド。改めてよろしくね」
リディアの差し出した手に前足を乗っけて返事をする。
その瞬間例の電子音が頭に鳴り響いた。
『ネームド化しました!個体名が《グラド》になります!』
『ネームド化により基礎ステータスに大幅なボーナスを得ます!』
は?ネームド化って所謂、NMとかそういうやつだよね?倒すとレアアイテムだとか一杯落とすやつ。
それって野生の魔物とかだけじゃないの?
一応俺、リディアの従魔なんだけどって・・・。
よくよく考えたら分類的には野生の魔物ジャン・・・。
なんかあからさまにステータスが上がったような感覚が体にあるし・・・。
これテイムされてないってバレたらやばくね?
俺の困惑した様子に気付いたのかリディアが小首を傾げる。
「グラド?」
ディーも俺の様子が可笑しいことに気付いたのかじっと見つめてくる。
そして何かに気付き驚いたような表情を作りながらリディアに問いかけた。
「・・・まさかリディア。従魔魔法をまだかけてないのか?」
恐る恐るとリディアに問いかけるディー。
その様子に?マークを浮かべながらリディアは頷く。
「え、えぇ。やったんだけど失敗しちゃってね。また後日試してみようってことになってるけど・・・?」
「だからか・・・グラドがネームド化したぞ・・・」
「・・・へ?」
状況についていけないリディアはその言葉にぽかんとしたが、理解し始めるとみるみる顔が青ざめる。
その様子に呆れながらディーは続ける。
「リディア。知っていると思うがネームドモンスターはテイム出来ない。そして・・・その能力の高さから討伐対象になることが多い。言っている意味が分かるか?」
リディアをまっすぐ見つめるディー。
リディアはというと青ざめながら震えている。
「い・・・いやよ・・・そんなの・・・」
「・・・嫌とかじゃなく決まりなんだ。グラドにそういう意志がないことも知性があることも知っている。でもそれを知ってるのは俺達だけだ。このことが知られれば間違いなくグラドは討伐対象になる」
そんな、と項垂れるリディア。
従魔になって僅か数時間にして早くも人間界を追われる危機に直面した。




