グラッ豚。
「で、これからどうるするんだ?」
ディーが真剣そうな口調でリディアへ問いかける。
生還祝いと称して「千鳥足」という酒場兼飯屋足を運んだ俺たちはたたらふく飲んで食べた。
ちなみに俺はというと、この店の隠しメニュー的な「エルドレイノ大山丼」という名の大量の肉が乗った大凡4~5kgありそうな牛丼を3杯食べ、4杯目に突入している。
いやぁ、この世界に来てまさか牛丼が食えるとはね。
リディアについてきてよかった。
ちなみにエルガは勢いよく飲み始めたが、エールを3~4杯飲んだところで机に突っ伏して寝てしまった。
豪快な男は蟒蛇キャラじゃないのか・・・。
そしてリディアは果実酒的なオシャレな飲み物を飲んでいる。
こちらはグラスの数を10を超えたあたりで数えるのを辞めた。
一回もトイレに立ってないしどこに入っているのか謎だ。
「エルドレイノ大山丼」を4杯目に突入している俺が言うのもあれだけど。
「うーん、とりあえずこの子と冒険者活動しつつレベル上げでもしようと思ってるんだけど・・・」
ん?今レベル上げっていった?
本当にゲームだな・・・この世界。
ともあれレベルという概念はやっぱり魔物だけではないようだ。
はやく喋れるようになりたい。
自分のステータスを確認できるのと出来ないのじゃモチベーションのありかたが全然違うしな。
あ、店主、おかわり。
4杯目を食べ終わった俺は店主に5杯目の催促をする。
店主は初めは本当に食い切れるのか?という目線を送っていたが、2杯目を頼んだ辺りから困惑、3杯目を頼んだ時には尊敬、4杯目の時は畏怖に変わってた。
まぁ中型犬サイズの俺がそんだけ食ってたらそんな顔するよな。
ちなみに5敗目を頼んだ時は「はい!わかりました兄貴!」と元気よく答えて厨房に入っていった。
異世界では行き過ぎた食欲を持つと舎弟が出来るらしい。
「本当にあなたよく食べるわね・・・食費のことも考えなくちゃなぁ・・・」
リディアが遠い目をしながら俺を見る。
いや?我慢は出来るよ?
森の中でもある程度は我慢してたし。
でも牛丼だよ?牛肉を使ってるかはわからないけど丼ものだよ?
そうなればかっこむじゃん?すぐなくなるじゃん?仕方ないじゃん。
言い訳する様にブヒブヒ鳴くと、ディーが苦笑いしながらそういえば、と口を開く。
「こいつに名前はつけたのか?何時までも名前がないと不便だろう」
ディーの言葉にそれもそうね、といいリディアがこちらに顔を寄せる。
うっ。アルコール臭い。
「あなたって名前あるの?ないなら私が付けてもいいかしら?」
名前か。
日本で使ってた名前ならあるけど・・・。
異世界に来たことだし新しい名前でもいいな。
流石にオークが和名は変だし。
前の世界の記憶が云々かんぬん言っても信じられないだろうしな。
そう考え、俺はリディアの問いに頷き返す。
「うーん。そうね・・・じゃあよく食べるからグラットン、いやグラッ豚なんてどうかしら!豚だけに!」
ドヤ顔で言い放つリディア。
俺は自分の従魔士に血の涙を浮かべながら首を横に振った。




