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項垂れる女と身悶える豚。

呆然とするリディアと未だ余韻に浸る豚。

ガラスが割れるような音を立てて霧散した魔法陣はキラキラと辺りを漂い、幻想的な雰囲気を醸し出していた。

そんな辺りの様子とは裏腹に、リディアは鎮痛そうな表情をしながら口を開く。


「な、なんで・・・失敗・・・?」


愕然とするリディア。

トリップから戻った俺は、項垂れているリディアを見て小首を傾げる。

え、失敗?なんで?

嫌な感覚もなかったし、例のアナウンス的なのもなかったしなぁ・・・。

俺が原因じゃないのか?魔物に好かれてないと契約できないとか・・・?

いやでも、他の魔物はともかく俺はリディアのこと嫌いか好きかで言われたらどっちかといえば好意を抱いてる分類に入るだろうしな・・・。

首を捻りながら考えるが答えは出ない。


「こんな小さな魔物と契約できない従魔士テイマーなんて他にいるのかしら・・・本当に私向いてないのかな・・・ハハっ」


乾いた笑いを漏らすリディア。

うーんそんなに契約って重要なものなのか?

別に契約しなくても一緒に戦う位できるだろ。

俺はリディアの足元に寄り添い、出来るだけ明るい声で鳴いてみせる。


「ん・・・あなた慰めてくれるの?あはは、でもこんな中途半端な従魔士テイマーと一緒にいるより、他の人と一緒になった方があなたの為になるわよ」


歪んだ笑みを浮かべるリディア。

なんつー顔をしてんだ・・・。

今まで本気で打ち込んだりしたことがない俺からすればそんな気持ちわかんないけど、なりたいものがあってそのチャンスがあれば迷わず飛びつくものじゃねーの?

俺だったら目の前にブヒブヒがあれば何を犠牲にしても喰うね。

いや何を犠牲にしてもはちょっと盛ったけど。

あーほんと喋れないのめんどくさいわ。

念話とか覚えないかな・・・異世界言語習得っていっても喋れなきゃ意味ないし・・・ってそうだ!

思わずピコンと擬音が鳴りそうな閃きをした俺は、前足で文字を日本語・・・で書いてみる。

するとリディアは驚いたように俺と地面に書かれた文字を見比べる。


「え・・・?あなた文字を書けるの・・・?」


おぉ!上手くいったみたいだ。

やはり異世界言語習得はチートだった。

こっちの文字は見たことすらないし、出来るか不安だったが、無事変換できているようだ。

足元には蚯蚓がのたくったような幾何学模様が並んでいるが、見た感じ俺にも意味が分かるため、こちらの言語なのだろう。

これである程度の意思疎通が出来るな。

書きかけの言葉を最後まで書いていく。

困惑する様に俺の様子を見ていたリディアだったが、書かれた言葉を見て一瞬驚き、やがて泣き始めた。

ちなみに、俺が書いた言葉を要約すると『気にするな、契約できなくても仲間にはなれるだろう』という感じの文を少しクサくした感じだ。

晒せって?無茶言うなよ。

親に性癖を知られる並にこっ恥かしいわ。

リディアにも落ち着いたら口止めしとこう。


やがて落ち着いたリディアが頭を下げてくる。


「見苦しいところ見せてごめんなさい。今日はもう契約魔法が使えるような魔力が残ってないけど、また改めて挑戦させてもらえないかしら?そして私の従魔に・・・いや、仲間になってください!」


強い意志を宿した瞳で俺を見据えるリディア。

俺は短く1回鳴き、肯定の意志を伝える。

なんかハズいな・・・俺こんなキャラじゃないのに・・・。


ムズ痒くなるような空気に身悶えながらも、

俺はこの世界に来て初めての人間の仲間ができた。


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