第3.1:虐殺
【ヒューエツ山 ー 中】
警備員は引き金に指をかけ、ゆっくりとそれを引いていく。
だが、彼が引き金を引くよりも前にー
山の向こうから、大きな音が聞こえてくる。
赤いフレームは山内部を覆っていた壁を突き破り、その中へと強引に侵入した。
その壁の石が四方八方に飛び散り、中にいた人々は皆パニックに陥っていた。
鉱夫たちに拳銃を向けていた警備員は、押し戻されて地面に転がり落ちた。
赤いフレームは、二つの剣を操り、右腕をしっかりと握り、空に向かって持ち上げてから叩きつけた。カストディアの一体を、縦に真っ二つに切り裂く。
赤いフレームは地面に着地し、警備員を乱暴にすり抜けて、地面にあった剣を使い、滑りながら180度向きを変えた。
赤いフレームは左手を強く握りしめると、そのまま別のカストディアを横一文字に切り裂く。
そして今、赤いフレームの目の前には、その姿を目の当たりにして震え上がる警備員の姿があった。
赤いフレームは右手に持っていた剣を手放して、左手に持った剣を地面に突き刺した。
警備員は小便を漏らした。
赤いフレームは嘲るような声で話した。
「全部聞こえてたよ……。まあ、死体でもいいんだろ?」
警備員は拳銃を握りしめた、もっとも、その手は震えていたが、そして赤いフレームに銃口を向けた。
ほどなくして警報が鳴り響き、鉱山全体が警報音で満たされた。
警備員は赤いフレームに向けて、自身の拳銃の引き金を引いた。
だがもちろん、銃弾は何の効力も持たなかった。
「かわいいーーね?!」
赤いフレームは、大型トラックの一台から資材をひと掴み取り出した。
「それほどまでに資材が欲しいのなら…」
彼は手元にあったわずかな資材を警備員の上へと移動させ、そのまま警備員の真上に放した。
「その中に埋もれてしまえ!」
その後、赤いフレームは拳を握り、落下してくる資材を、警備員もろとも叩きつけた。
今、残りのカストディア全員が、採掘場に侵入者が入り込んだことを知ることとなった。
赤いフレームが気づいたときには、彼は鉱山内にいるすべてのカストディアたちに囲まれていた。
鉱山の最下層から最上層にかけて、彼を狙うカストディアが8体ほどいた。
最下層には4人のカストディアがあり、それとは別に4人のカストディアが上層階の各所に配置されています。
赤いフレームは姿勢を正し、立ち上がった。
「これだよ、これ!」
彼は今、自分に銃口を向ける8人のカストディアに囲まれて立っている。
カストディアたちの一人より。
「撃つ!」
カストディアたちは一斉に引き金を引いた。
赤いフレームに向けて、銃弾が雨あられと降り注いでいた。
弾丸が赤いフレームに命中しようかというその瞬間、搭乗していたパイロットは目を閉じ、そして再び目を開いた。
だが今回は、彼の目は濃い黄色を帯びており、その瞳はまるで獲物を狩ろうとする捕食者のように鋭かった。
「こい!」
赤いフレームに銃弾の雨が降り注いだが、それらはすべて装甲板に弾き返された。
赤いフレームは、まるで何かに取り憑かれたかのように不自然な動きを見せ始めた。全身を激しく震わせた末、それは咆哮を上げた。
その衝撃で坑内の照明はすべて破壊され、あたりは真っ暗になった。そこにある唯一の光源は、カストディアの銃から放たれる火花だけだ。
赤いフレームは剣を掴んで引き寄せ、投擲の構えをとった。
カストディアは、武器を手に持った赤いフレームを目にする前に、自身のライトを点灯させた。
赤いフレームは続いて、その検を左右へと投げ放った。検は、そちらの方向にいた2人のカストディア双方に命中した。
2つ、倒れた。
攻撃を受けた者のそばにいたカストディアは、仲間を襲った検を目にすると、悲鳴を上げた。
「ああああああああ!」
赤いフレームはまるで野獣のように四つん這いになっていて、目の前に陣取るカストディアに向かって突進する。
彼は突進しながら右手を掲げ、カストディアの頭部を掴むと、そのスラスターを作動させた。そして、鉱山の最上層へと飛んでいった。
カストディアは壁に叩きつけられ、そのまま鉱山の最上層へと引きずられていった。
すると赤いフレームはカストディアをしっかりと掴み、そのまま、さらに下方に位置していた別のカストディアに向けて投げつけた。
ブーム!
2人のカストディアは互いに衝突し、爆発した。
4つ、倒れた。
赤いフレームは左腕と左脚を使って壁に取り付き、そこにぶら下がっている。
残されたカストディアたちは動揺し、赤いフレームを追うように照準を修正した。
彼は右手と右足の位置を調整し、それらで壁を掴んだ。
彼は、鉱山の最上階から自分に向けて発砲しているカストディアの姿を目にした。
獣のように壁伝いに走り、あのカストディアのもとへと向かった。
だが、赤いフレームはそのカストディアに激しくぶつかるのではなく、その体を回り込むようにして取り付くと、自身の腕を使ってカストディアの銃を制御下に置いた。
続いて彼は、カストディアの銃を手に取り、下の階にいた他の2人のカストディアに向けて銃口を向けた。
2人のカストディアはどちらも、味方の武器に当たって爆発した。
6つ、倒れた。
赤いフレームはカストディアの武器を放り捨てると、その両腕を掴み、崖の縁の方へと持ち上げた。
赤いフレームは右脚を上げると、カストディアの胴体めがけて前蹴りを叩き込んだ。
カストディアの腕が引きちぎれ、その体は今、最下層へと落下している。
彼は手に持っていた手を投げ捨てた。
そして、赤いフレームは最上階の端から下の階へと飛び降りた。
そのカストディアは床に激しく墜落し、最後まで残っていたもう1人のカストディアの目の前に着地した。その後、赤いフレームは壊れたカストディアの上に降り立ち、彼を押し潰した。
7つ、倒れた。
今、最後の1人となったカストディアが、赤いフレームの前に立っていた。
赤いフレームはゆっくりと彼に近づいた。
最後のカストディアは怯えていた。後ずさりしたところで足をもつらせ、そのまま尻餅をついて地面に倒れ込んだ。
彼は今、背中を壁に貼っています。
彼の傍らには、味方であるカストディアがいたが、赤いフレームの剣の一撃によって破壊されていた。
赤いフレームは左手で剣の柄を掴み、引き抜いた。赤いフレームは右腕をもう一方の剣に向けて、手を広げた、もう1つの剣が腕に向かってまっすぐに飛んできた。
これで赤いフレームは、自身の剣を2本取り戻した。
壁際に置かれたカストディアンの前に立っている。
赤いフレームが語った。
「生きたいか?」
カストディアのパイロットは、声を震わせながら応じた。
「は、はい……」
赤いフレームが反応した。
「そのガラクタから出て逃げろ。」
そこで、カストディアのパイロットはコックピットを開けた。
カストディアの胸部が開き、パイロットが座席から出ようとしているのが見える。
パイロットは立ち上がり、カストディアの胸から床へと降りた。
彼は赤いフレームから離れ、先ほど赤いフレームが作り出した壁の壊れ目に向かって走った。
彼は震える、疲れ切った声で言う。
「ありがとう!ありがとう!」
赤いフレームは、地上で必死に逃げ惑うカストディアのパイロットに目を向けた。
パイロットがちょうど赤いフレームの脚部を通り過ぎたその時。
赤いフレームは右脚をわずかに持ち上げてから、パイロットに足を踏み入れる。地面に押し伏せる。
鉱山での惨劇を生き延びた者たちは皆、身を潜めていた。彼らは、目の当たりにしたばかりの虐殺に怯え、縮こまっていた。
赤いフレーム、
「私を褒めて!」
赤いフレームは両腕を大きく広げた。
「皆さんは解放されました!」
しかし、赤いフレームは沈黙をもって迎えられた。
3国によって奴隷にされた人々でさえ、どう答えるべきか分からずにいる。
確かなことは、彼らの誰も、自分たちが解放されたとは感じていないということだ。その代わり、別の恐怖が彼らの全身を満たす。だが、少なくとも彼らにとって、この恐怖は恐れるべきものではない。
【エンパイアー・オブ・セイント・ドミニカー】
現在、老人の背後、右側に立っている女性ボディーガードが、右手の指をイヤピースに当てている。
イヤホンから小さな声が聞こえ、女性にヒューエツ山が襲撃されたこと、そして10人のカストディア全員が破壊されたことが告げられた。
彼女はイヤホンから手を離すと、黒髪の男のもとへゆっくりと近づいていった。
彼女は身を乗り出し、口元を覆ってから、その男の耳元でささやいた。
女性は、受け取ったばかりの情報をその男に伝えた。
その男の目は、衝撃と怒りで大きく見開かれた。彼は杖をしっかりと握りしめてから、立ち上がった。
「ヒューエツ山が攻撃を受けたようだ。」
紅茶をすすっていたブロンドの男は、むせた。
「何?」
黒髪の男は手袋を整え、応じた。
「最初は青白いフレーム、そして今度赤いフレーム…」
黒髪の男は背を向けた。
「行かなければならない場所があります。」
一歩踏み出したところで、彼は立ち止まった。
「忠告しておこう。あの正体不明の赤いフレームが、我々が配置していたカストディアをすべて撃破した。」
黒髪の男は、ソファに座ったままのブロンドの男から離れていった。そして、男女のボディガードたちが彼に続いて部屋から出ていった。
ブロンドの男は、ソファに背を預けた。
それから彼は屋根の方に目を向け、続いて護衛へと視線を移した。背の高い、金髪の男だった。
「ねえアレクサンダー、そんなことって可能なのかな?」
金髪の男の後ろにずっと立っていた警護が応じた。
「どれほど優れたパイロットであっても、あの状況で10人のカストディアに勝つのは不可能だ。」
「考えられる答えは一つしかない」
座っていたブロンドの男が、顔を向けた。
「それは?」
背の高い、金髪の男が応じた。
「彼らのフレームは、我々のフレームを凌駕している。」
背の高い金髪の男の目は、これから戦うことを知っているかのように鋭くなった。
その背後では、座っているブロンドの男が不平をこぼしている。
「そんなはずはない!我ら三国は、世界の他のどこよりもはるかに優れた技術を有しているのだ――」
【ヒューエツ山 ー 中】
赤いフレームは、両腕を大きく広げたまま、じっと立っていた。
その赤いフレームは、両腕を大きく広げたまま、微動だにせず立っていた。
彼はゆっくりと目を開けたが、今度は瞳が普通の状態に戻っていた。
「何をしてしまったんだ?」
【宇宙ステーション】
ヴィクトリアさんは、赤いフレームの最近の戦闘が映し出されている画面を見つめていた。
彼女は目の間の鼻に指を入れてつまみつつ。
「トビーには、やりすぎないように言ったん。」
宇宙ステーションの前方右側に座っていた金髪の女性、アメリアが応じた。
「しったねえな、でも、彼の容体は悪化していると思いませんか?」
ヴィクトリアは深く息を吸い込み、それから心配そうにため息をついた。
そして画面は、先ほどの戦闘の様子から、スパイから受け取った情報に基づく、多数の赤い点が記された世界地図へと切り替わった。
宇宙ステーションの前方右側に座っていたピンク色の髪の少女、シェリーが口を開いた。
「じゃあ、この情報は本物だ。」
シェリーは画面にヒューエツ山の画像を表示させる。
「表面から見ると、本当にただの普通の山のように見える。」
ヴィクトリアは、鼻の付け根をつまんでいた手を離した。
「じゃあ、スパイから得た残りの情報を確認してくれ。特に、あの青と緑の点についてだ。」




