第2.2:最初のバトル
【アリーナ ー 観覧デッキ】
3人の先生は、画面を見ていた。
しかし今回、その画面には、アオとクルーズが現れる場所が示されていた。
アルヴァイン「これって、クルーズにとって有利すぎない?」
ハンセン「本当に? アオにとって、もっと有利になると思っていたんだが」
オードフは彼らの言葉を遮り、試合が始まろうとしているガラス窓の方に目を向けた。
「どちらにも長所と短所があります。どのように活用するかについては、私たちが判断を下すことになります。」
少し間を置いてから、オードフは口を開いた。
「彼らはここだ。」
【アリーナ ― 中】
アオの方から、大きな音が聞こえてくる。
ブーム!
音はアリーナ全体に響き渡る。
クルーズにアオの立場を伝えた。
だが、アオの居場所がわかったところで、何の役にも立たない。
その戦場は、たちまち砂埃に包まれた。
クルーズ側では、彼のフレームの中核から淡い黄色の光が輝いていた。
アリーナが砂煙に包まれている様子を見て、クルズは、アオがその砂煙を、自身の得意とする砲撃に対する遮蔽物として利用するつもりだと判断した。
クルーズのフレームの中核から、淡い黄色の光が輝いた。
クルーズは周囲をよく見渡すと、音もなく空へと舞い上がった。
フレームの中で、クルーズは砂煙に覆われたアリーナの状況を分析しようと試みた。
クルーズの目の前にある画面が、砂煙全体を分析している。無数の小さな画面が現れて周囲を分析したが、どの画面にも「そこには誰もいない」と表示されていた。
砂煙がゆっくりと晴れていく中、アオのフレームの姿はどこにも見当たらなかった。
「えっ? こいつ、一体どこにいるんだ?!」
急に、アオのフレームがクルーズのフレームのすぐ背後に現れた。
青みがかった白の瞳が2つ、クルーズの背中を見下ろすように輝いている。
クルーズは背後に何かを感じた。説明のつかない感覚だったが、1つ確かなことがある。それは、危険が迫っているということだ。
クルーズの頭から冷や汗が流れた。
クルーズが自身のフレームを振り返らせると、アオのフレームが両手を合わせ、空高く掲げているのが見えた。
「クソッ」
するとアオは、クルーズのフレームを地面に叩きつけた。
「クルーズがこれほど簡単に罠にかかるとは思わなかった。」
「主要な点だけに目を向けるのではなく、あらゆる方面に対して警戒を怠らないようにせよ。」
実は、あの砂煙は、クルーズを空へと誘い出すためにアオが仕掛けた罠だった。
アオは、両候補生が互いの専門分野を知っていたという事実を利用する。
そして、クルーズがアオを、空ではなく煙の中に隠れていたのだと思い込むように仕向けた。
【アリーナ ー 観覧デッキ】
ミリアは、何が起きたのかを遠くから見ていた。
彼女はペロペロキャンディを強く噛みしめ、売店の柵を掴んでから叫んだ。
「コアを起動せよ!」
【アリーナ ― 中】
クルーズは衝撃で回転しながら、地面へと倒れ落ち中。
フレームの中で、彼はアオの攻撃の衝撃に抗いながら、あるボタンを押そうと必死になっていた。
しかし、ついに彼はそれを押すことができた。
クルーズのフレームのコアが高速で回転し始めた。
フレームのコアから、鮮やかな黄色の光が輝いた。
クルーズのフレームはゆっくりと体勢を立て直し、地面に激突する寸前でなんとか停止した。
【アリーナ ー 先生の観覧デッキ】
顎に手を当てたアルヴァインは、今目の当たりにした光景に感銘を受けていた。
「ミリア、本当に最高の出来です。」
ハンセンが突然介入してきた。
ハンセン「クルーズについては、同じことは言えない。」
アルヴァイン「まあ、それは私の方が優れた先生だから。」
ハンセンはその発言に苛立ち、アルヴァインを射殺さんばかりの鋭い視線で見つめた。
アルヴァインはハンセンから視線をそらし、あっかんべーをした。
オードフは2人をなだめた。
「さてさて、アルヴァインさん。今何が起きたのか、説明していただけますか?」
アルヴァインは眼鏡を整えてから、説明を始めた。
アルヴァイン「クルーズが武器をあんなにたくさん抱えているのが見えるか?」
ハンセン「はい……」
見ているうちに、彼はふと気づいた。
ハンセン「まさか」
アルヴァイン「はい、あれはモビリティのコアです。おかげでクルーズは、あれだけの武器を装備していながら、通常のフレームと同じように動くことができるです。」
【アリーナ ー 中】
今、空中にいるのはアオだ。彼はアリーナを見渡し、クルーズが落下していく様子を上から見下ろしている。
少々意外ではあるが、クルーズは衝突を回避し、現在は地面のすぐ上を浮遊している。
クルーズは、アオからできるだけ遠くへ離れようと懸命になっている。
アオのフレームの左手側でアタッチメントが動き、その左手にライフルが組み上がった。
そしてアオは、地上を高速で移動するクルーズを狙った。
アオが数発撃ったが、クルーズはそれらすべてを回避した。
アオはフレームの中から、クルーズを見下ろした。
「速い。だが、十分ではない。」
アオは狙いをわずかに変え、クルーズがいる位置の少し上へと向けた。
アオは撃たれた。
クルーズはアオが何をしたのかに気づき、避けようとした。
だが、そのビームはクルズの右肩、彼が携行していた火器類が収められていた箇所に命中した。
幸い、クルスの腕は無事だった。右肩に備え付けられていた火器だけが破壊されていた。
クルーズはパニックにする、自身のフレームを反転させてアオの方へ向けた。
クルーズのフレームは、空中に静止して浮かんでいるアオのフレームを即座に捕捉した。
クルーズは躊躇することなく、即座に自身が携行しているすべてのミサイルをアオに向けて発射した。
クルーズの左肩、右脚、そして左脚に装着された各ミサイル発射口が、順を追って次々と開き、それに続いてミサイルが射出された。
36発のミサイルがアオの方向へと向かっていく。
アオは、アタッチメントを介してライフルを本来の形態へと変形させた。
ミサイルが彼に迫る中、彼はゆっくりと空へと飛び上がり、宙返りをした。
アオは宙返りをすることで、自分に向かって飛んでくるミサイルをうまく回避した。
アオはうつむいた。その直後、ミサイルが数発互いに衝突し、背後で爆発を引き起こした。
しかし、すべてのミサイルが掃討されたわけではなかった。
生き残ったミサイルは爆発の雲を突き抜け、照準を再調整した。
ミサイルは向きを変え、アオのフレームに向けて追跡を続けた。
アオはその事実を知っていた、スラスターを全開にした。
彼はミサイルを背後に従え、可能な限りの速さで地上へと急降下した。だが、ただ適当な場所へ向かったわけではなかった。
アオはクルーズがいる場所へまっすぐ飛んでいる。
クルーズはアオが真っ直ぐ自分に向かって突っ込んでくるのを目にしたが、先ほどの爆発による雲のせいで、アオの背後に迫るミサイルには気づかなかった。
フレームの中で、クルーズは驚愕した。アオが自分に向かって、真っ直ぐに深く飛び込んできたからだ。
「マジで?!」
彼は、背中に備わっていた二門の大砲を作動させた。
大砲がフレームの肩へと移動し、アオの方を狙った。
大砲が設置されるのを目にしたアオは、右腕のアタッチメントを変形させ、長い刃へと変化させた。
クルーズは、青に向けて大砲を発射した。
アオは刃を掲げ、飛んできた二発の砲弾を切り裂いた。
アオは今、クルーズの近くにいる。
アオのフレームがクルーズのフレームに衝突する直前、アオは機動を行い、空へと飛び去った。
2台のフレームが互いにぶつかるのを、ほんの1インチの差で回避した。
クルーズは、彼らが互いに衝突して墜落する事態をどうにか回避できたのを見て、安堵した。
しかし、その安堵は長くは続かなかった。
アオを追っていたミサイルが、クルーズに命中した。
ミサイルが向きを変えるための空間はなく、アオを追尾していたミサイルはすべて、クルーズに命中した。
ブーム!
そして、砂煙が周囲を覆った。
砂煙はゆっくりと散っていった。
砂煙の奥から、白みがかった青い瞳がゆっくりと輝きを放つ。
そして、砂煙が収まると、アオのフレームは静止したまま、高くそびえ立っていた。
クルーズのフレームは、ミサイルによって破壊され、床に横たわっていた。
アオの勝利だった。
スタンドからの歓声が、ゆっくりと聞こえてくる。




