↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/120

責任と不安のあいだ

「共通の基準で比べるとして、誰が実施を決め、負担を引き受けるのでしょう」


 辺境の相談相手が尋ねた。ラーメルトは、北で知らせた声を受けて人を下げたバルドロフを思い出す。測った自分が人の動きまで決めていたのではない。


「そこは、まだ相談が必要です。基準を揃える目的は説明できても、どこで誰が行うかまでは、私たちだけで決められません」


 王国の相談相手も、説明を聞くことと実施を引き受けることは別だと告げた。ラーメルトは頷き、今頼みたい仕事を一つに絞った。


「では、北で使った連絡のやり方を、救援に関わる人へ伝えていただけないでしょうか。使うかどうかは、その場で考えてもらうための説明です」


「何を伝えるのか、聞かせてください」


 エノアが目印の記録を辺境の相手へ向けた。ラーメルトは頁の端を押さえ、杭を置いたときから話した。


「持ち場からの距離を確かめて、目印を置きました。知らせるときには、近い側、遠い側と呼びました。呼び方を先に共有して、聞いた人が同じ場所を見られるようにしたのです」


 続いて、妖魔がその目印の近くへ進んだとき、自分が位置を声で知らせたことを話した。数字だけを渡す説明なら、ここが抜ける。北で使ったものを伝えるには、測った後に何をしたかまで必要だった。

 フルメアが彼の指す箇所へ目を向けた。


「私はそこへ光を当てたわ。でも、照らす側に見えているだけでは足りない。見る側からも、同じ目印を確かめてもらったの」


 ラーメルトは彼女に話を渡した。声を出すときに目印が見え、見る人と照らす人が同じ場所を指していた。その過程まで伝えると、距離の記録にあの夜の動きが戻ってくる。


「他の場所でも、その通りに行ってもらうのですか」


 ラーメルトは首を振った。


「立つ場所も、見える範囲も違うでしょう。私たちがどこを起点に、何を見て知らせたかを伝えてください。その場所で使えるか、人をどう動かすかは、そこで働く人に考えてもらいたいのです」


 相手は目印の記録へ視線を落とした。ラーメルトは、見終えるのを待った。北の戦況を自分が決めるような話にも、杭さえ置けば助かるという話にもしたくなかった。

 四人の説明を終えると、ラーメルトは顔を上げた。北で経験したことは話せた。あとは、この説明を救援に関わる人へ伝えることを、引き受けてもらえるかだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。