相談のための問い
父へ尋ねたいことを書いた頁を、ラーメルトは少し戻した。札を見る前の記録には、遠い側の杭、届いた声、目で追えた人の動きが残っている。
「ほかの場所でも確かめるなら、何を一緒に残してもらえばいいでしょう」
四人へ手帳を向けると、エノアが自分の帳面を開いた。
「誰が見たかと、誰から聞いたかは分けておきたいです」
彼女の指が、井戸の記録を示した。その場で水面の氷を見たことと、一行が来るより前にも氷を見たという村人の話が、別々に記されている。
ラーメルトはその二つを読んだ。見た場所から離れれば、同じだったとは言えない。杭を目印に声をかけられたのも、自分が目で追えた範囲でのことだった。
「どこまで見えていたかも要りますね。場所や条件が違う記録を、どう比べるか」
新しい頁に問いを書き始めた。ほかの場所の観察と比べる前に、何を確かめるか。書いてみると、知りたいことの広さが目に見える。氷を見た一つの井戸から、北の水面すべてを思い描くわけにはいかなかった。
フルメアが紙の端へ指を置いた。
「見えた範囲を広げて書くのではなく、次に確かめる条件を相談するのね」
ラーメルトは頷き、問いの脇に場所と条件を添えた。レオンハイトが下の余白を覗く。
「手伝う方の話も、あったよねー」
観察のことに気を取られ、道中で聞いた困り事を後回しにしかけていた。ラーメルトは行を空けて、そちらへ筆を移す。
「何を約束するにも、まず誰のどんな話を確かめるべきか、聞きたいです」
「誰と相談できるのかも、残しておきませんか」
エノアの言葉を書き添えた。困り事を聞いていても、四人だけで引受けの範囲を決められるわけではない。品物や割当ての名を置く前に、尋ねることがあった。
「私たちが引き受けると書く前に、ですね」
ラーメルトは筆を持ち直した。何かを決めれば、一つ片づいたように感じる。その軽さを求めて、相手にまだ聞いていない答えを埋めたくはなかった。
エノアが書いた問いを読み、ラーメルトは元の記録と見比べた。杭の近くで見た動き、井戸の氷、人から聞いた困り事。それぞれから生まれた問いを、相談したいこととして残す。
グレインへ尋ねたい札のことは、前の頁にあった。外見と拾得の話の下に、答えのない問いが続いている。
ラーメルトは二つの頁を見返し、手帳を閉じた。誰にもまだ渡していない問いを、手元に残した。




