↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/120

記されたところまで

 トリスタットでの相談を終えた四人は、王都へ戻った。カーデルクス家に下された判断の根拠を知りたい。フルメアが口にした問いを、ラーメルトも確かめたいと思っていた。

 グレインが四人の前へ紙を示した。


「以前からある公的な記録の一部だ。今回、皆に公開できるのはこの範囲だ」


 家に関する過去の判断と処分の記録だった。フルメアは家名のある箇所を見つけると、顔を近づけた。


「残っていたのね」


 ラーメルトは横へ身を寄せた。これまで四人の間で話していたものが、実際の記載として目の前にある。彼女の指が止まる先を追い、示された部分を読んだ。

 判断が下され、処分が記されている。けれど、何を根拠にその判断へ至ったのかは、この一部だけでは答えにならなかった。ラーメルトは読み返し、家名の手前で視線が止まっているフルメアを見た。


「知りたかったことに、少しは触れられたわ。でも……」


 続きを急かさず、彼女が同じ行を読めるように身をずらした。レオンハイトも隣から紙を覗いていた。誰も、見つかったというだけで喜びの言葉を重ねなかった。


「処分が記されていることと、その理由が分かることは、別なのですね」


 ラーメルトが言うと、フルメアは紙から顔を上げた。


「ええ。どういう根拠だったのかは、まだわからないまま」


 その声には、読めたことへの重さと、読み終えても残った問いが一緒にあった。ラーメルトも、記録を見ればすぐ名を戻せるのではないかという期待を、紙に書かれていることと分けなければならなかった。

 エノアは示された範囲を、自分のメモへ残していた。


「その先にどんな記載があるかと、何を確かめて書かれたのかも見たいです」


 ラーメルトはグレインへ言った。ほかにも記録があると分かったわけではない。ただ、この部分を読んだからこそ、確かめたい内容は具体的になった。


「記録だけで足りなければ、誰かに聞く必要もあるかもしれないわ」


 フルメアの言葉を聞き、ラーメルトは紙へ視線を戻した。証言してくれる人の顔は、まだ浮かばない。グレインも、相手の名や新しい記録を示しはしなかった。

 読めた部分はある。その判断が正しかったかどうかは、まだ言えない。ラーメルトはフルメアが見終えるまで、紙のそばにいた。彼女が知りたかった過去のすべてには届かなくても、何を読んだかは、もう四人で示せる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。