記されたところまで
トリスタットでの相談を終えた四人は、王都へ戻った。カーデルクス家に下された判断の根拠を知りたい。フルメアが口にした問いを、ラーメルトも確かめたいと思っていた。
グレインが四人の前へ紙を示した。
「以前からある公的な記録の一部だ。今回、皆に公開できるのはこの範囲だ」
家に関する過去の判断と処分の記録だった。フルメアは家名のある箇所を見つけると、顔を近づけた。
「残っていたのね」
ラーメルトは横へ身を寄せた。これまで四人の間で話していたものが、実際の記載として目の前にある。彼女の指が止まる先を追い、示された部分を読んだ。
判断が下され、処分が記されている。けれど、何を根拠にその判断へ至ったのかは、この一部だけでは答えにならなかった。ラーメルトは読み返し、家名の手前で視線が止まっているフルメアを見た。
「知りたかったことに、少しは触れられたわ。でも……」
続きを急かさず、彼女が同じ行を読めるように身をずらした。レオンハイトも隣から紙を覗いていた。誰も、見つかったというだけで喜びの言葉を重ねなかった。
「処分が記されていることと、その理由が分かることは、別なのですね」
ラーメルトが言うと、フルメアは紙から顔を上げた。
「ええ。どういう根拠だったのかは、まだわからないまま」
その声には、読めたことへの重さと、読み終えても残った問いが一緒にあった。ラーメルトも、記録を見ればすぐ名を戻せるのではないかという期待を、紙に書かれていることと分けなければならなかった。
エノアは示された範囲を、自分のメモへ残していた。
「その先にどんな記載があるかと、何を確かめて書かれたのかも見たいです」
ラーメルトはグレインへ言った。ほかにも記録があると分かったわけではない。ただ、この部分を読んだからこそ、確かめたい内容は具体的になった。
「記録だけで足りなければ、誰かに聞く必要もあるかもしれないわ」
フルメアの言葉を聞き、ラーメルトは紙へ視線を戻した。証言してくれる人の顔は、まだ浮かばない。グレインも、相手の名や新しい記録を示しはしなかった。
読めた部分はある。その判断が正しかったかどうかは、まだ言えない。ラーメルトはフルメアが見終えるまで、紙のそばにいた。彼女が知りたかった過去のすべてには届かなくても、何を読んだかは、もう四人で示せる。




