59章 銀に決着をつけるプラチナ!
「出て来て、ルフォーゼ!」
もうゴーストのヘッドチェンジを三回使い果たした事を突かれた華凛はそんな事はないという事をMr.シルバーに証明するためにスマホの中から光の玉を出し、自身が御頭デパートで制作したデュエル・デュラハンであるルフォーゼを実体化させた。
「ルフォーゼ、お初にお目にかかります…。」
ルフォーゼは黒いゴシックドレスやカラフルなアクセサリーを身に付けた球体関節人形のようなデュラハンでMr.シルバーに対してスカートを持ち上げて丁寧に挨拶してみせた。
「おぉっ、これはご丁寧に…。レディ?」
Mr.シルバーもつられてルフォーゼに対して紳士的にお辞儀し返した。
「ふむ…。あまり戦闘向きではなさそうに見えるデュラハンだが…。」
「ふふっ、デュラハンは見かけに寄らないものでしてよ?ねぇ、華凛様?」
「その通り!」
華凛はスマホとデバイスを合体させた。
「ゴースト、ルフォーゼに憑依して!」
「よし、来た!」
ゴーストはルフォーゼの背後に回る。
「ルフォーゼ、身体を借りるよ!」
「ふふっ、よろしくてよ?」
ルフォーゼの許可を得たゴーストはルフォーゼの体中に入った。
ルフォーゼは見た目が変化し、ゴーストの姿になった。
「ゴースト、ここに擬似的に実体!久々だなぁっ、身体がある感覚ってのは!」
ゴーストは自分の身体を見て両手でグーパーを繰り返した。
「ほう、面白い。アルウス君が三分間だけ仮初めの肉体を得られるデュエル・デュラハンという訳か。」
「その通り!しかもルフォーゼが使った扱いでヘッドチェンジもできちゃう訳!」
華凛はデバイスからカードを実体化して手に取った。
「ふむ。ならば、私もラゴウのとっておきでお相手しよう。」
Mr.シルバーもデバイスからカードを実体化させた。
「華凛ちゃん、うちのリスペクトゲールにもとっておきのヘッドカードがあるんや!せやから、安心して戦ってええで!遠慮なくぶち噛まして来いや!」
「私も式神で華凛さんたちをサポートしてみせるでしょうや!」
素子はスマホを、八雲は両手に石を持って構えた。
「私も加勢するぞ、華凛!」
「例え同一存在であろうとも私の方が性能が良いってところを見せ付けてやるんだから!」
颯は抜刀の構えを、ミストは両手にナイフを持って構える。
「いよいよ最終対決と言ったところか。さぁ、お互い悔いのない戦いをしようか、御頭ミステリー研究会の諸君!」
「勝負よ、Mr.シルバー!」
華凛とMr.シルバーは同時にデバイスにカードをスラッシュした。
「ヘッドチェンジ!ミステリアスヘッド!」
「ヘッドチェンジ、オミノウスジャーマ。」
ゴーストはプラチナ加工がされた頭部とマントの付いた騎士甲冑を身に纏い、虹色に輝く剣ミステリアスブレードを右手に持ってミステリアスゴーストの姿となった。
御頭デパートで華凛とゴーストが一緒に作り出したレアフレームヘッドカードだ。
それに対してラゴウは真っ黒な頭と鎧を装着し、大きな爪を付け、全身に黒炎を身に纏ったオミノウスジャーマラゴウに姿を変えた。
「ボクは華凛たちを守り、共に戦う騎士となった!さぁ、行くぞ!ボクと同じ、前の世界の亡霊よ!」
ミステリアスゴーストはそう言うとOJラゴウに刃を向けて突撃した。
OJラゴウは全身から黒炎を出して辺り一帯を燃やした。
「ゴースト!」
「大丈夫、ミステリアスの力なら!」
ミステリアスゴーストは足元から不思議な模様をしたプラチナでできたイルカを出現させ、背に乗った。
プラチナのイルカは自分の周りから水を放出し、黒炎に対抗した。
「そんな水では黒炎は消えんよ!」
Mr.シルバーがそう言うとラゴウは身体から放出する黒炎を強め、周りの水を一瞬で蒸発させた。
そこから飛び跳ねて黒炎を纏わせた両手の爪でミステリアスゴーストに襲い掛かる。
「ブロックパレード!」
華凛がデバイスを操作するとプラチナでできたイルカはバラバラのブロックになってOJラゴウに襲い掛かる。
OJラゴウは両腕を交差して防御した。
「再構成!プラチナゴーレム!」
OJラゴウの背後でプラチナが集まり、ゴーレムに姿を変えた。
「なるほど、変幻自在のブロックか…!」
Mr.シルバーがそう言うとゴーレムは絡めた両手を上に上げた後、勢いよく振り下ろしてOJラゴウを地面に向かって叩き落とした。
「ラゴウ!」
OJラゴウは着地と同時に黒炎を放出し、周りを更に燃やした。
黒炎は着地したミステリアスゴーストに襲い掛かる。
「防壁!」
華凛はデバイスを操作し、ゴーレムをバラバラにして飛び散らせ、ミステリアスゴーストの前に壁を作って向かって来た黒炎を防いだ。
「ユニコーン!」
華凛はプラチナの壁を再構成させ、ユニコーンに作り替えた。
ミステリアスゴーストは自身の持っているミステリアスブレードをユニコーンの角に装着させた後、跨ってOJラゴウに向かって走り出す。
「君がユニコーンに乗れる程、清らかなデュラハンとは思えないのだがね!」
Mr.シルバーはデバイスを操作し、OJラゴウの周りに炭の塊を二つ出現させた。
OJラゴウは炭の塊を魂とし、二体の黒炎の獣を作り出した。
「ボクの力が作り出したユニコーンだからね!それがボクのずるいところさ!」
ユニコーンに付けたミステリアスブレードは虹色に発光し、襲い掛かって来る黒い獣を真っ二つにした。
「ユニコーンストライク、ってね!」
ミステリアスゴーストはユニコーンから飛び降り、OJラゴウに体当たりさせた。
「コネクト!」
華凛がそう言うとユニコーンはプラチナブロックに分解され、新たにプラチナスネークとなってOJラゴウに巻き付いて拘束した。
ミステリアスゴーストはユニコーンから離れて宙に飛び、回転して飛ぶミステリアスブレードをキャッチした。
「一刀、両断ってね!」
ミステリアスゴーストは下降し、OJラゴウに向かってミステリアスブレードを振り下ろした。
「燃やせ、ラゴウ!」
OJラゴウは全身の黒炎を強め、身体に巻かれたプラチナスネークを焼き焦がして見せた。
「再び実体を持ってしまった事を後悔するといい、アルウス君!」
OJラゴウは全身の黒炎を更に強めてミステリアスゴーストに向かって突撃して来た。
ミステリアスゴーストはミステリアスブレードで、OJラゴウの両手の爪で打ち合う。
OJラゴウはミステリアスゴーストの右肩に噛み付いてそこから黒炎を吐いて来た。
胸の顔からも黒炎を吐く。
「ぐあぁぁぁぁぁーっ…!?」
「熱つぅぅぅーっ…!?」
「ゴースト、ルフォーゼ!?」
Mr.シルバーの言う通り、今のゴーストは実体があるので今までと違ってダメージを受けてしまう。
幽霊状態で透けている状態と実体を持った状態を使い分けるタイミングが大事になったのだ。
「こ、このぉっ…!」
ミステリアスゴーストは足場からプラチナの牛を出現させ、大きな角で自分ごと上空に投げさせた。
ミステリアスゴーストは右腕だけルフォーゼから分離してミステリアスブレードを逆手で持ち、OJラゴウの首を攻撃した。
早速ミステリアスゴーストは実体と霊体を活かして攻撃してくれた。
「慌てた…な!一瞬でも!」
OJラゴウは突然首を狙われたので焦り出し、その隙を突いてミステリアスゴーストは膝蹴りを喰らわして離れる事に成功し、着地した。
「ゴースト、今の内にお色直しを。」
「う、うん。」
ルフォーゼに見た目を気にされたミステリアスゴーストはボロボロのマントを横にバサっと広げると元の綺麗なマントに戻して見せた。
「くっ、あの黒炎が厄介…!あれは攻撃手段でもあり、防御手段でもある…!」
ミストの言う通り、燃え広がった黒炎のせいで式神系統の攻撃は無効化されてしまっている。
同じく式神であるMr.シルバーも不利のはずだが、黒炎が自分に当たらないように一定の距離を取りながら器用に立ち回っていた。
「老紳士殿に攻撃を仕掛けようにも黒炎が邪魔で…!げほっ、ごほっ…!」
颯が咳をし始めた。辺りで燃え盛る黒炎が呼吸をし辛くしている。
さすが自然界の天敵である炎の強化版と言ったところ。
シンプルなヘッドのように見えてなかなか凶悪な性能だと華凛は関心したが、相手の攻撃を褒めている場合じゃない!と首を左右に振った。
「ヘッドの時間は限られてる…!一か八か、勝負に出る!行くよ、ゴースト!ルフォーゼ!」
「キミの思うままに!」
「よろしくてよ?」
ミステリアスゴーストはミステリアスブレードを構え、OJラゴウに突撃した。
「行くよ、リアルファントムコンビネーション!」
ミステリアスゴーストは実体化と霊体化を何度も繰り返す事による不規則な斬撃をOJラゴウ相手に繰り出し始めた。
実体化した状態で斬り掛かった後、ゴーストは上半身だけルフォーゼから分離し、また斬り掛かる。そして、また実体化するを何度も繰り返した。
霊体化する際にルフォーゼの身体から出現する位置はバラバラで相手に予測をさせないようにした。
「何だ、あの変態的な攻撃方法は!?」
Mr.シルバーもミステリアスゴーストの意外な攻撃方法に驚きを隠せなかったようだ。
「こらっ、誰が変態だ!?」
「ラゴウ、見掛け倒しだ!ルフォーゼの方を狙え!」
Mr.シルバーはゴーストの突っ込みを無視してOJラゴウに指示した。
OJラゴウは黒炎を纏わせた爪と胸の顔からも黒炎を吐いてミステリアスゴーストの斬撃を妨害する。
「ゴーストちゃん、でしょうや!」
八雲はOJラゴウに向かって式神化させた小石を両手で投げた。
多数の小石たちはOJラゴウの周りを飛び回って動きを妨害した。
「私にもこれくらいの注意を引き付けるくらいはできるでしょうや!」
「ありがとう、八雲!」
ミステリアスゴーストはOJラゴウに対して斬撃を繰り出しながら八雲にお礼を言った。
「ふむ、変態的か…。おい、ミスト。耳を貸せ。」
「は?何ですか?」
ミストは嫌そうながらも颯に近寄る。
颯はミストに何かを小声で話していた。
「よし、私たちの飽くなき冒険心と探究心、その強さをプラチナに込めて!」
華凛はデバイスを操作するとミステリアスゴーストの足元からマーメイドの騎士を出現させた。
「海縹星海岸の人魚騎士伝説の謎!」
マーメイドの騎士はヒレで地面を叩くと水を発生させ、黒炎に掛けた。
「さっき言ったはずだ、華凛君!黒炎はそんな水では消えないと!」
「この弱まった炎ならなぁっ!」
颯がミストに抱きつかれながら風を身に纏い、回転しながら黒炎の中を突き進んで来た。
「なっ…!?何という命知らずな…!?」
「私の無鉄砲さはもうとっくに承知の上だと思ったがな、老紳士殿!」
颯は激!勇者丸を風の刃に変えていた。
ミストを下ろして地面に着地した後、抜刀の構えを取った。
「疾風ぅっ!」
颯は横一閃を繰り出すとMr.シルバーに風の刃が飛んで行った。
「ちぃっ!」
Mr.シルバーは咄嗟に近くの木の影に隠れた。
木を盾代わりにして風の刃を防いだ。
「これが私がついて来た意味です!」
ミストは素早く動き回り、Mr.シルバーの顔に冷却枕を投げた。
「ふごっ!?」
「ふふっ!素子の所有物、冷却枕です!」
ミストは両手から糸を出し、Mr.シルバーを捕縛した。
「くっ!?何故冷却枕がここに!?」
「さぁ?それは素子に聞いて下さい。」
遠くで素子がミストに対してピースサインを送っていた。
「それはともかく…。式神であるあなたにとっての安全圏は私の安全圏でもある訳よ。ふふっ、完全に裏目に出たわね。颯にしがみ付いて黒炎の中を突っ切るのは結構度胸が必要だったけど…。」
ミストは颯を見て不機嫌そうな顔をした。
「でも、あなたを捕らえられたなら良しとしますか。やっちゃえ、華凛!」
ミストは糸を操り、Mr.シルバーの右手からデバイスを落とさせた。
「十糸の森の巨大カブトムシ!」
プラチナでできたマーメイドは一度バラバラバラになって、新たにカブトムシとなった。
大きな角でOJラゴウに体当たりし、吹っ飛ばした。
「首無し鎧武者!」
巨大カブトムシは首無し鎧武者に変わり、槍を構えた。
ミステリアスゴーストと共に突進し、OJラゴウを近くの木に叩きつけた。
OJラゴウが背にした木は黒炎で燃え始める。
「宇宙人に魚人、神秘のアイテム!それにデュラハン!私たちの街には、興味深い多くの謎が秘められてる!私たちはそれに向かって突き進む!みんなと一緒ならきっとどんな困難にも立ち向かえる!」
華凛がそう言うとプラチナでできた首無し鎧武者はキャンドルゴーストの姿になり、キャンドルホルダーブレードを構えた。
「…何とまぁっ、予測不可能な上に奇想天外で…お転婆な娘たちだ…。」
Mr.シルバーは呆れたように下を向き、それを見た華凛は笑みを浮かべた。
「それでいい!私たちは私たちで我の道を突き進む!それが私たちの!」
「ボクたちの!」
ミステリアスゴーストはプラチナでできたキャンドルゴーストと共に剣を構えた。
「「solved the 『silver』case!(銀色の事件を解決する!)」」
ミステリアスゴーストとキャンドルゴーストは共に剣を振り、OJラゴウの胸の顔を罰の字に斬った。
斬った瞬間、ルフォーゼは時間切れで光の玉となって華凛のスマホに戻り、ゴーストだけがその場に残った。
ラゴウも元の姿に戻り、黒炎で燃える木と共に倒れた。




