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57章 もう一度アクセスディテクティブ!

「ケイトって…!?」


 華凛はMr.シルバーの隣に立っている燃え盛る身体のデュラハン、計都羅睺(けいとらごう)を見た途端にフラッシュバックが起こり、額に右手を当てた。

 華凛の脳内にケイトと笑いの仮面男の姿が記憶に蘇った。


「華凛!?」


 F(フレンドシップ)C(キャンドル)ゴーストは苦しそうな華凛を心配して来た。


「お、思い出したで!ケイトって奴!あの変な仮面を付けとった奴が連れてた奴と同じ名前や!」

「私も思い出したでしょうや…!仮面が使役していたデュラハンでしょうや…!」

「…! 素子ちゃん?八雲先輩まで…?」


 素子と八雲も計都羅睺を見て今まで思い出せなかった記憶が開示されたようだった。

 華凛は記憶の有無に関して仲間たち間で少し疎外感を感じていたので少し嬉しかった。


「どうだい、華凛君たち?これが私がやりたかった事、君たちに予め警戒心を植え付けるという行いさ。」

「あ、私も思い出したぞ!」

「くっ、私が最後なんて…!?しかも颯より遅い…!」


 颯もケイトの事を思い出し、ミストがこのメンバーで最後に思い出す事になったので悔しそうにしていた。


「ま、思い出すのに個人差はあるようだがね…。どうだい?君たちはその場に居合わせたらちょっとした未来予知ができてしまう訳さ。それでその脅威に立ち向かうか、逃げるかの選択できる余裕ができる訳だね。君たちはこの姿のラゴウを見てどう判断するかな?」


 Mr.シルバーに挑発された華凛は全身から炎を出す計都羅睺を見て洞察しようとする。


「悪いが、ヘッドチェンジ時間は限られている。こちらから攻めさせてもらうよ。」

 

 Mr.シルバーが左手を前に出すと計都羅睺が突進して来た。


「華凛、みんな!」


 F(フレンドシップ)C(キャンドル)ゴーストはキャンドルホルダーブレードを振り回し、自身の炎と計都羅睺の爪の炎で打ち合いを始めた。


「華凛、ボクが戦いながら君のブレーンにもなって見せよう!」


 F(フレンドシップ)C(キャンドル)ゴーストは斬撃を繰り出しながら三つの蝋燭の炎を華凛と同じ茶色に変えた。

 茶色い炎はまるで複数のルーペのような形になり、計都羅睺を観察しながらキャンドルホルダーブレードと炎の爪をぶつけ合わせる。


「…! ゴースト…!」


 ゴーストが見た情報や考察が華凛のデバイスに次々と表示されていく。


「やれやれ、アルウス君は実体のない幽霊だから無視して通過できるものを…。計都羅睺がムキになっているのか、それとも…。」

「ゴーストが自身の特徴を把握して、あなたたちと初めて戦った時よりも戦えるようになって成長した…に間違いなし!」


 華凛は自信満々にMr.シルバーに左手で指差してみせた。

 Mr.シルバーもそんな華凛を見てつい不敵な笑みを浮かべた。

 この試練の勝利条件は戦いに勝つだけでなく、Mr.シルバーを論理でも倒さないといけない。

 華凛はMr.シルバーに言葉をぶつける事にした。


「答えて、Mr.シルバー!何であなたがケイトの事を知っていて、しかも姿を変えて従えているの?」


 まず最初にこれを聞かなければ始まらない、と華凛は思った。


「さてね?私も影で君たちと一緒に再現映像を見ていたからケイトの事を知っていた…。」

「じゃあ、従えてるのは?」

「ふむ、単純に私が仮面男の正体ってだけかもしれないね…。」

「それはあり得ないでしょうや!あの時、吹き出した血で見づらかったでしょうや、仮面男の素顔はあなたとは全く違ったでしょうや!」

「声も違うしな!」


 八雲と颯がすかさずMr.シルバーに突っ込みを入れた。


「あの時…。」


 華凛は八雲の発した言葉に引っ掛かる事があった。

 仮面男がそもそも血を吹き出したのはどこかから飛んで来たナイフが額に刺さったからだった。


「まさか、あの飛んで来たナイフってあなたが…?」

「さてね。」


 Mr.シルバーはどうやらこちらの問いに対して惚け続ける姿勢のようだ。

 華凛はMr.シルバーの姿勢に対してムカついたが、デバイスを操作してF(フレンドシップ)C(キャンドル)ゴーストから送られて来た情報を見た。

 こうしている間にもF(フレンドシップ)C(キャンドル)ゴーストは計都羅睺と戦ってくれている。そろそろヘッドも時間切れが近い。

 華凛はF(フレンドシップ)C(キャンドル)ゴーストの頑張りに応えられるように思考した。


「今ある情報だけでなく、今まであった出来事も参照するんだ…!」


 華凛は御頭(おがしら)商店街での出来事も閲覧した。


「…Mr.シルバーに関係した人物…。…! そうか!」

「何かわかったの、華凛?」


 華凛に近寄って来たミストがつま先立ちをして華凛が持つデバイスを見た。


「羽島博士だ…!」


 羽島博士とは御頭(おがしら)商店街での騒動でMr.シルバーが誘拐した人物だ。


「ゴースト!」

「OK!」


 F(フレンドシップ)C(キャンドル)ゴーストは華凛に向かって二つの茶色い炎を飛ばした。

 二つの炎は華凛の左右に配置される。


「この炎は私のイメージを再現できる変幻自在の炎…!」


 華凛は右手で茶色い炎に触れると、炎が人型になっていく。


「私が四年前に見たニュースの映像を再現して…。」


 炎は華凛が四年前、商店街から帰って来て自宅に帰宅時にテレビで見たニュース。そこに映っていた羽島博士の姿に変わった。


「もう一つはゴーストの過去の再現映像から…。」


 もう一つの炎はデバイスのデータも利用して笑いの仮面男の額にナイフが刺さった際の姿に変えた。

 素子たちの精神面に配慮してナイフはすぐに消した。血の色も薄く調整した。


「よし、思った通り!笑いの仮面の正体はディサイド・デュラハンの知識に目覚めた羽島博士だったんだ!」


 華凛は炎で作った二体の羽島博士を真っ二つにした後に合体させた。

 顔が完全に一致した。


「やれやれ、君が制作した証拠映像ではねぇっ?何とでも言えるんじゃないか?」


 Mr.シルバーは両手を横に出して華凛の行いに呆れて見せた。


「私が作った再現体はあくまで今この場でわかりやすく伝えるため…。羽島博士の姿自体は私の記憶じゃなくても雑誌や写真で確かめられる…。笑いの仮面が死んだ時の映像はゴーストの過去じゃなくても、あなたがまたあの再現映像を見せてくれれば一致するだよ?あの時、あの場にいてナイフを投げたあなたならね。」


 Mr.シルバーは両手を下ろして華凛をじっと見て来た。


「笑いの仮面はゴーストと初めて会った時にこう言ってた。『自分は才能に目覚めて、自分のデュラハンを造った。自分の才能を評価しなかった奴らに復讐している最中だ』…って。これはそのまま犯行動機って訳。」


 ゴーストは華凛の推理中、元の姿に戻ってしまった。

 計都羅睺はゴーストが攻撃手段を失ったのを理解し、華凛たちに向かって炎の爪を立てて跳んだ。


「させない!」

「ミスト、無理するな!これは私ぁっのリベンジだ!」


 式神であるミストが燃え盛る計都羅睺に挑むのは危険だと思った颯は激!勇者丸を水の刀身に変えて計都羅睺の炎の爪と打ち合い始めた。


「ふふん、我が水の刃がお前の炎を全て消してくれるわ…!」


 颯は強がっているが、よく見ると冷や汗を掻いているのが華凛にはわかった。

 さっきラゴウに痛手を負わされた事で少し恐れがあるようだ。あまり無理はさせられない。

 颯と計都羅睺が戦っている間にゴーストは華凛の横に移動し、浮いた。


「ゴースト、今がディサイドヘッドの使い時だよね…!」


 華凛はそう言うとディサイドヘッド『アクセスディテクティブ』のカードをデバイスから実体化させると、同時に『コントラインディケーション・オア・ミラクル』のカードも勝手に実体化した。

 御頭(おがしら)デパートに行った際、華凛とMr.シルバーが共に触れた事でできたレアフレームカードだ。

 このカードは八雲のカラクリ屋敷の騒動の時も勝手に発動した。


「やっぱりこれもセットか…。誰かさんに似て目立ちたがりのカードだね。」

「私に言われてもねぇっ?君が勝手にやった事だろう?」


 Mr.シルバーはやれやれ、と華凛を左手を横に出した。


「そうだね。その勝手にやって生まれたこのカードこそがあなたに牙を向く、真実を穿つカード!」


 華凛は先にアクセスディテクティブのカードをデバイスにスラッシュした。

 その後に続けてコントラインディケーション・オア・ミラクルのカードをスラッシュする。


『ディサイドヘッド、承認。この承認に問いかけは必要ありません。』


 カラクリ屋敷の時のような強制発動という形ではなく、今度は華凛の意思でディサイドヘッドを発動させた。

 華凛の目とデバイスが青く輝き、全身から青いオーラを放つ。同時にゴーストが姿を変えていく。


「あなたの全てをこれで暴いてあげる…!覚悟しなさい、Mr.シルバー!」


 華凛が強気にそう言い放つとMr.シルバーは今まで何度も見た不敵な笑みを浮かべた。

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